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不眠症に悩む人にとって、解決策の一つが睡眠薬の使用ですが、薬に頼りすぎてしまい、なかなか手放せない状況に陥ってしまうこともあります。

しかし、その薬の量を減らすことができ、再発の可能性も低い治療法をご存知でしょうか。それが、不眠を招いている『悪いクセ』を治すことで、薬に頼らず不眠を改善する「認知行動療法」です。

そこで、認知行動療法に詳しい、臨床心理士で早稲田大学人間科学学術院助教の岡島義先生に、不眠の基礎から認知行動療法の実践法までお話を伺っていきます。今回は、そもそも不眠症とはどんなものか、また、不眠症と判断する基準についてお聞きしました。

これは不眠? 不眠症? 判断のカギは日中の症状にあった

そもそも、不眠症とはどんな病気なのでしょう。なんだか眠れない…と思っている人も、自分が単なる「不眠」なのか、医療ケアが必要なレベルの「不眠症」なのか、素人目には判断は難しいもの。

まずは岡島先生に、「不眠症」の定義や症状について伺いました。

「不眠症かどうかの判断は、夜の睡眠時に起こる症状だけではなく、日中の症状があるかどうかがポイントになります。まず、夜の睡眠時に起こる症状としては、なかなか寝つけない『入眠困難』夜中に何度も起きる『睡眠維持困難』朝早く目が覚めてしまう『早朝覚醒』の3種類があります。これらのいずれか、または複数の症状が認められることが、不眠症の条件の一つとなります」(岡島先生)

ちなみに、十分な睡眠を確保しているにも関わらず、寝た感じがしない「熟眠困難」も、2014年まで不眠症の症状の一つとされていました。

しかし、不眠症だけに見られる特徴的な症状とはいえないことから、現在は医学的な不眠症の定義からは外されているそう。

「熟眠困難」は年齢とともに眠りの質が低下するため、高齢者に多い症状ですが、若い人でも不規則な生活によって熟眠困難に悩まされる可能性があるといいます。

話を戻すと、3種類ある睡眠時の症状に加えて日中にも眠気、疲労、集中困難、気分の落ち込み(抑うつ気分)などの症状が認められる状態が週に3回以上、かつ3カ月以上続く場合に、「不眠症」と診断されるそう。

入眠障害などの症状が現れても、日中の症状がなかったり、または本人が問題を感じていない場合などは、「不眠」であっても医学的には「不眠症」とは診断されません。

例えば、早朝に目が覚めてしまい、睡眠時間が5時間であっても、日中の症状がほとんどなく、本人も眠れていないことを問題に思わなければ、不眠症ではないということです。

不眠症チェック

上記でご紹介した症状をセルフチェックしてみましょう。

【睡眠時のセルフチェック】
□入眠困難…なかなか寝付けない
□睡眠維持困難…夜中に何度も目が覚めてしまう
□早朝覚醒…朝早くに目が覚めてしまう
□熟眠困難…十分な睡眠を確保しているのに寝た感じがしない

【日中に起こる不眠の症状をセルフチェック】
□眠気…しっかり寝たのに、眠気がひどいと感じる
□疲労…日中から激しい疲労を感じる
□集中困難…勉強や仕事に集中できない
□気分の落ち込み…なんとなく気分が上がらない(抑うつ状態)


不眠症になりやすい人っているの? 生活習慣のほかにもある、不眠症の原因

国民の約20%が睡眠に問題を抱えているといわれる日本。不眠症は、決して他人事ではありません。その中でも、不眠症になりやすい人の特徴を伺いました。

「性別でいえば、女性のほうが多い傾向にあります。女性はホルモンバランスが生理周期によって変わりますし、出産や更年期などによっても変化します。ホルモンバランスが崩れやすいので、睡眠にも影響が出やすいのです。また、夜遅くまでパソコンのモニターを見ていたり、日中あまり外に出なかったり、運動をしないなど、生活習慣自体が睡眠に悪影響を及ぼしている人が多いようです」(岡島先生)

また、性格的な面で見れば、神経質な人がなりやすいという傾向も。「◯時までに寝なきゃ」「◯時間寝ないとダメだ」といった思い込みや、「朝起きられなかったらどうしよう」という不安が強まると、それが原因となって不眠症を引き起こす恐れもあるのだそう。

「不眠症で悩んでいる人は、こだわりが強かったり、きちんと寝ているのに『眠れていない』と自分の睡眠時間を過小評価してしまいます。そういった精神的な要因を取り除くことで、不眠が改善することも多いんです」(岡島先生)

チェックしてみよう、あなたは不眠症になりやすいタイプ?

あなたは不眠症になりやすいタイプ?なりにくいタイプ?
セルフチェックしてみましょう!

□生理周期によって眠れない日がある
□夜遅くまでスマホやパソコンを触っている
□日中は外に出ることがほとんどない
□最近、運動不足だと感じている
□自分は神経質な方だと思う
□「朝、起きられなかったらどうしよう。」と不安になるときがある
□「〇〇時には寝る」などのこだわりがある方だ
□「眠れていない」と感じることがある

いかがでしたか?
このような生活習慣が原因となって、不眠症を引き起こすこともあるのです。

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夫婦仲に亀裂が!? 放っておけない不眠症

最近は睡眠の重要さが広く知られ始めたためか、不眠症と診断される人や、睡眠外来や専門クリニックを利用する患者も増えてきたといいます。昔に比べ、患者の属性や症状に変化はあるのでしょうか。

「私が担当してきた患者さんの傾向として、入眠困難と睡眠維持困難など、複数の症状を抱えた混合型が多いようです。年代では、昔は高齢者が大多数でしたが、近年は30〜40代の方も増えてきました。働いている方だけではなく、中には主婦の方もいらっしゃいますね。また、以前は不眠症になってから5、6年経って認知行動療法にたどり着く方が多かったのですが、最近は不眠歴1、2年という方も増えています」(岡島先生)

さらに、不眠症を抱える患者さんには面白い特徴があるのだとか。

不眠に悩む人の配偶者やパートナーは、よく眠れるというケースが多いんです(笑)。夜、なかなか寝つけずにいる横でいびきをかいて眠っていたりするので、ちょっとしたケンカの種にも…。そうした場合は、別々に寝ることをおすすめします」(岡島先生)

不眠症はうつの兆候として現れることも多く、症状が急激に悪化していくようなら要注意。

「なんとなく眠れない」という状態でついつい放置してしまい、気づけば慢性化・悪化していくこともあるため、正しい知識を持って早めに気付けるようにしたいものです。


監修:岡島義(早稲田大学人間科学学術院助教)
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