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医師が解説する医療・健康サイト「Doctors Me」編集部です。
私たち日本人の睡眠時間の平均は、平日7時間14分。これは世界でもワースト1位の数字です。そしてそれを裏付けるかのように、不眠や睡眠不足で悩む人も多いですよね。でも、ここで疑問がわいてきます。「いったい、人間は寝ないとどうなるの?」今回は、そんな素朴な疑問について調査してみました!

睡眠の主な目的は「脳の休息」

まず、睡眠は体の疲労をとるためのものと思われがちですが、動かず安静にしたほうが睡眠よりもエネルギーの消費量は少ないのだそうです。しかし、安静にしているだけでは単純な体の運動能力は回復しても、疲労感や思考能力といった脳の働きが回復しません。

つまり、睡眠の主な目的は、さまざまな実験の結果によって「脳の休息」だということがあきらかになっているのです。「昼間は交感神経が働いて活動的になり、そして夜間は副交感神経が優位になる」これが、人間の本来のリズムです。

しかし夜型の生活が続いて交感神経が働き続ける状態になると、脳の動きが低下し、さまざまな不調が心や体に起こります。

264時間寝ないと、人間はどうなるのか?

睡眠の役割を知るために、眠らせないとどうなるのかという「断眠実験」というものがあります。これは連続して寝かせない方法(完全断眠)と、1日の睡眠時間を短くする方法(部分断眠)があり、人間の完全断眠実験は1964年に米国の高校生、ランディー・ガードナーが医師や友人の支援の下で実験をおこなった結果、264時間12分(約11日)という記録が残っています。

この実験開始後、ランディーは日がたつにつれて集中力が低下し、情緒が不安定になり、幻覚が出現しました。運動機能に大きな異常はみられなかったものの、言語は不明瞭になり、簡単な計算すらも困難になってしまったそうです。そして最後には無表情になり、誰かが刺激を与えないと数秒でも寝てしまう状態(マイクロ睡眠)になり、実験は中止されたそうです。

睡眠は長さではない、質が大事!

また、2002年にカリフォルニア大学サンディエゴ校のダニエル・クリプケ教授は、110万人による大規模な健康検査で、睡眠時間と死亡リスクの関係をあきらかにしました。

これは日頃の睡眠時間を3時間から10時間以上まで8グループにわけ、6年の追跡期間が終わった時点での生死を調べたもの。諸条件が同じになるように統計処理して分析した結果、死に至るリスクがもっとも低かったのは睡眠時間が7時間(6.5~7.4時間)のグループだったそうです。

さらに特筆すべきは、睡眠時間が短いグループだけでなく、長いグループの10時間以上のリスクが最大で、7時間に比べると男性は1.34倍、女性は1.41倍だったとか!そう、睡眠は単に「時間」で決まるわけではなく、その「質」が大切だということがあきらかになったわけです。

そしてそれは、すべての人間が同じ睡眠量が必要なのではなく、それぞれの生活スタイルに合った自分の眠りを大切にすることが重要なのです。

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偉人たちのびっくり不眠エピソード

では、ここで不眠にちなんだ偉人列伝をご紹介しましょう。ナポレオンの睡眠時間は3時間?かの偉人ナポレオンは、ほとんど寝なかったという逸話が残されています。

しかし、実は側近による回顧録によると、1日合計6~8時間は眠っており、会議中や馬に乗っての移動の際に居眠りをしていたのだとか!もっとも過酷な修行を終えた日本人1300年間でわずか1人しか成功しなかった修行「大峯千日回峰行(おおみねせんにちかいほうぎょう)」を成功させたのは、日本の慈眼寺(じげんじ)住職・塩沼亮潤氏です。

この修業は、奈良県大峯山の48kmの山道を16時間かけて1,000日間毎日歩き続け、それが終わると9日間四無行(しむぎょう:断食、断水、不眠、不臥)という行を続けます。さらには「失敗したらその場で切腹」という条件つき!

修業を途中でやめることは「死を意味する」というのですから、想像を絶する過酷さですよね。そんな彼が、修行を終えて見たものは「人間として大切なものは何か」ということだったそうで、感謝の心、反省の心、敬意の心を挙げています。

睡眠をとらないと、脳が休まらないということ。そして睡眠時間は長ければいい、というわけではなく、自分に合った睡眠方法がその質を高めるということがわかりましたね!

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