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<シングルマザー、家を買う/55章>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス…。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。

「割引」「セール」――この言葉に心ときめかない人はいないだろう。

5%引きというワードに、何度心ひかれてクレジットカードを作ったことか!「初年度入会金タダ」という言葉に誘われたはいいものの、2年目を知らぬ間に更新され、いつのまにかビックリするような年会費を払っていたりするのだ。

先日はたった数円安いだけでスーパーをはしごした結果、安さに目がくらんでいつもよりも多く買い、そのまま素材が腐り、結局無駄にするハメに…。

そんなことも、一度や二度ではない。管理が行き届くマメな性格とはほど遠い私は、「値引き」という言葉に踊らされ、結局損をしている気がする。

そんな私、一番パニックになったのは、「増税」という言葉を聞いたときだった。

◆増税を「まとめ買い」で乗り切る!

それは数年前。消費税が5%から8%に引き上げられたあの年、私はこの瞬間を、どうお得に乗り切るかを考えたのだ。たった3%、されど3%。頭を抱えて考えた結果、たどり着いた答えは「まとめ買い」だった。

とはいえ、食料には賞味期限があるし、私が一番お金を落としている本やCDなどの商売道具はまとめて買えるものでもない。そこで選んだのが、「日用品」だった。

食器用洗剤から柔軟剤、洗剤、シャンプーに洗顔フォームなど、液という液をまとめて買おうと決心したのだ。

私は決断した後の動きは誰よりも早い。考えた瞬間にパソコンを開き、日用品を激安で売っているお店の通販サイトへとアクセスした。

どうせ消費するもの。どうせ買うもの。そう自分に言い聞かせて、柔軟剤の購入数を10と入力、洗剤も10と入力、その他もろもろも10と入力し、決済ボタンを押したのだった。この合計額はたしか1万円ほどで、80袋は買っていたと思う。

日用品を一度にこんなに購入することは、そうそうない。でも、このときの私は、充実感に満ちていた。今考えると、規模の小ささに泣けてくるが、どこの誰よりも、増税前にいい買い物ができていると思っていたのだ。

1週間ほどして商品が到着。その量は想像以上で、大きめの段ボール2個分もあった。そこで私はあることに気づいたのだ。

あれ、置く場所がない。

洗剤はそんなに早くなくなるものでもなければ、見える場所に置いておくものでもない。少々悩んだあげく、急きょ物置の大掃除をして、その大量の詰め替えの洗剤たちを次から次へと放り込んだ。

そう。少々雑な性格の私は、そこに文字通り多くの洗剤を投げるように放り込んだのだ。

◆真夜中に響いた“銃声”

それから数日。もう詰め替えには当分困らないし、得をしたと思い込んでいた私は、「少し多めに洗剤使っちゃうもんね」くらいの気持ちで洗濯をする日々を送っていた。

1万円買ったとしても、たった300円しか得をしていないというのに、それくらいの心の余裕ができていたのだ。全く安い女である。

ある日、夜中にいつも通りパソコンを開き、原稿を書いていると、いきなり「パンッ!」という、銃声のような大きな破裂音が聴こえてきた。

銃声か!?テロか!?でもここは日本だぞ!本気で驚き、机の下に身を隠すも、我が家に大きな変化はない。

恐る恐る音が鳴った方に向かうも、足が震えている。怖い…怖いよ!

ドアをあけ、廊下を一歩踏み出すと、とてもいい香りがすると同時に、足元にぬるっとした感覚を覚えた。

ひゃっ!と声を上げ、足元を確認すると、なにか液体のようなものが物置から流れ出ている。よく見て、匂いを嗅いでみると、ほんのりフローラルの匂いがする…。こ、これはもしや…。

意を決して物置のドアを開けると、そこには放り投げられた際に一番下になっていた柔軟剤の詰め替え用の袋が無様に裂け、中身をぶちまけている。床には柔軟剤の香りがほんのり…いや、がっつり漂っている。

そう、まとめ買いした詰め替え用の袋が、上に重ねられた袋の重さに耐えかねてついに破裂してしまったのだ。

◆まとめ買いは計画的に

この詰め替え用、198円…。約200円…。

なんということだ…もうすでに得した金額がほとんどがチャラじゃないか…。

必死に買った柔軟剤も、破裂したあとの後処理を考えたら、金額も時間もマイナスでしかない。何なの…増税…何なの!?

性格の雑さが生んだ不運を増税に当たった。そこしか当たるものがなかった。

必死に広がるフローラルの匂いと戦いながら、この日以降、むやみにまとめ買いはしないでおこうと決めたのであった。

その後、柔軟剤のパッケージに記入してある、“3週間以上香りが長持ち”という文句通り、1カ月以上はこの物置がとてもいい香りだったことを追記しておく。

みなさん、まとめ買いは計画的に!

【吉田可奈 プロフィール】

80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky)

ママ。80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。

逆境にやたらと強い一家の大黒柱。娘(8歳)。しっかり者でおませな小学2年生。イケメンの判断が非常に厳しい。息子(5歳)。天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをものともせず保育園では人気者。

※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。

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