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7月26日に発表された厚生労働省『2015年度の雇用均等基本調査』によると、男性の育児休業取得率が2.65%となり、これまで最も高かった11年度の2.63%を更新。1996年度の調査開始以来、最高の所得率となりました。

とはいえ、わずか2.65%という数値は、「2020年度までに13%に引き上げる」としている政府目標には届かず、育児休暇を実際に所得している男性がまだ少ない事には変わりない様です。

男性の育児休暇100%の企業がある?!

そんな中、ある企業が男性の育児休暇所得率100%を3年連続で達成したと話題になっています。その企業とは、生命保険最大手である日本生命保険相互会社。2013年に「男性育休取得率100%」を打ち出し注目を集めた同社は、初年度の2013年、2014年、2015年と3年連続で100%を達成。

全社員のうち女性社員数が約9割を占めるとはいえ、2013年は503人が取得、現在までで累計1000人以上の男性社員が育児休業を取得しました。約7000人いる全男性社員のうち約15%が育児休暇の経験者となった計算になります。そして、3年連続で100%を達成した事により、社員に子どもができたら「その人は育休を取るんだ」という認識に変わってきたそうです。

前年の所得率はわずか1%だった

2012年はわずか1%程度だった男性の育児休暇を、目標を設定した2013年に100%達成させたものとは一体何なのでしょうか。そこには、女正社員が9割を占めるという会社だからこその取り組みがあった様です。

従業員の9割が女性で、会社が成長を続けていくためには女性が活躍できる環境を作らなくてはと感じていました。そのためには、女性社員を対象とした取り組みだけでなく、男性の同僚や上司が女性の働き方を理解し、意識や風土を変えていく努力も必要だと痛感したのです。そこで2013年に「男性の育休取得率100%」を全員目標としてトップから打ち出しました。

出典 http://wotopi.jp

まずは1週間の育児休暇を徹底

同社の育休制度は、男女問わず最長2年半休める仕組みになっていますが、有給扱いは7日間のため、まず男性も取得しやすい1週間の取得を徹底したといいます。実際には、土日と合わせての1週間程度の休暇を取る社員が多かったそうです。

子育て中の女性の立場からすると、1週間では短過ぎるのではないかと感じる人が多いのかもしれません。しかし、いきなりの長期休みは取得するのに躊躇してしまう男性も多いでしょうし、実際に業務に影響が出る可能性も考えられます。

それよりもまずは確実に育児休暇を所得して育児の現場を体験する、そのきっかけとして男性が取得しやすい期間という配慮が、100%達成の大きな鍵であると思われます。

1週間経って「やれやれ、父親としての役割を果たしたぞ」ではなく、「母親がこれほど大変な思いをして子どもの世話をしているのだから、なるべく仕事を効率よく終わらせて、早く帰宅しよう」「もっと主体的に育児をしなければ」という気持ちを持たせることが狙いです。

出典 http://wotopi.jp

掛け声だけでなく実際に取得できるような対策を

「育児休暇を所得するように」とただ言われても、実際には仕事の引き継ぎなどで難しい現状がある場合がほとんどです。その為、ただ掛け声だけで終わらせない為に対象社員への働きかけを行いました。

経営陣がことあるごとに男性の育休取得を呼びかけたこと、上司から育休を考慮した年間計画を提出するよう声をかけたこと、社内イントラネットで『~イクメンの星★~』として育休取得者を紹介したことが大きかったようです。

出典 http://beauty.yahoo.co.jp

人事部が年度初めに、各部署に「対象者リスト」を提供し、所属長に「いつ取らせるのか」を確認、「育休取得計画予定」を提出させます。その計画がちゃんと実行されているかもチェックします。

出典 http://asahi.gakujo.ne.jp

顧客に直接対応している部署など休みが取りにくい場合は、業務分担表を作り、メイン・サブ担当を決め、どちらかが休んでも支障がない様に普段から共有するなど、働き方自体を変える工夫もしてきました。

30%といった中途半端な目標でなかったのがかえってよかった。3人に1人なら、育休対象の部下3人のうちだれを休ませるか、となってしまい、現場はもっと混乱したでしょう

出典 http://asahi.gakujo.ne.jp

実際に所得した男性社員へのアンケートによると、ほとんどの社員が「100%目標がなかったら育児休暇を取らなかったと思う」と回答。男性社員が育児休暇を取るという習慣のない日本では、会社からの働きかけがないとなかなか実現しづらいという事がわかります。

育休で子育て中の妻への気持ちに大きな変化が

実際に育児休暇を取得した人は、平均土日を含む1週間、長くても16日程度だったそうですが、それでも多くの社員が取得前とは大きく気持ちが変化したと言います。

実際に2013年度に育休を取得した本社企画部門の課長補佐(33)は2児の父。下の子が1歳のときに土日を含めて育休として9連休を取りました。「自分ではそこそこがんばっているつもりだったけれど、休んで専念してみたら全然違う。妻の苦労が具体的にわかって、それ以降も『できる限り早く帰ろう』と思えるようになった」

出典 http://asahi.gakujo.ne.jp

育休取得後、「妻はのんびり子育てをしているものと思っていたが、実際にやってみたら息つく暇もなかった」「育児の大変さを知って、妻を尊敬し、感謝の思いが強くなった」「子どもが寝返りをうつ決定的瞬間に立ち会えた」などの感想が聞かれた

出典 http://baby.mikihouse.co.jp

女性社員が活躍する為には、男性の理解が不可欠

また男性の育児休暇の取得は、会社にも大きなメリットがあります。「女性管理職520人」の目標を2年前倒しで達成した同社ですが、女性の活躍を更に推進してゆく上で男性社員の理解が必要不可欠と考えた事が、この育児休暇取得100%という目標を掲げた大きな理由でもありました。

女性だけに『頑張れ』というのにどこか違和感がありました。一緒に働く男性が女性の“大変さ”を理解してくれないことには始まらないと思ったんです

出典 http://asahi.gakujo.ne.jp

予備軍も含めたパパ職員・ママ職員が集まって話ができる「パパママランチ交流会」を実施したり、男性社員に「イクメンハンドブック」を作成、セミナーも開催したりと、子育てへの積極的な参加を促してきました。しかしその結果、言葉や文字だけでは意識改革は難しいという事が分かりました。そこで2013年に「男性育休100%達成」という目標を掲げる事にしたのです。

平均で1週間という育児休暇取得ですが、文字や言葉だけではわからない多くの事を感じる取る事ができる時間となる様です。そしてそれは、自分の家庭だけでなく一緒に働く女性社員への気持ちにも大きな変化をもたらしました。

育休を取得した日生の男性10人への調査でも「子育て中の女性の急な休みを理解できるようになった」(30代・労務部門)との声が聞かれた。

出典 http://style.nikkei.com

ある管理職の男性によると、仕事と育児を両立している女性には「母親」と「社員」という2つの顔があるんだと普通に考えられるようになり、保育園のお迎えの時間や、子どもの体調不良を自然に考慮できるようになったそうです。結果、部下のプライベートを把握しながらマネジメントできるようになった、と。

出典 http://wotopi.jp

また男性社員だけでなく、女性社員の意識にも変化が生まれました。

「外からの評価もうれしいけれど、いろいろ変化していくうえで、若手や中堅の女性社員が、『今までは考えたことがなかったけど、管理職になりたいと思えるようになった』と言ってくれるのが一番うれしい」

出典 http://asahi.gakujo.ne.jp

日本での男性の育児休暇所得はまだ難しい?

日本生命保険相互会社の場合は、会社サイドが本気になって男性社員に育児休暇を取得するように働きかけた事で、3年連続取得率100%を達成しました。しかし同社では、以前から育児休暇を取得する事は可能だったにもかかわらず、ほとんどの男性社員が所得する事がありませんでした。

おそらく「本当にとっていいのだろうか?」「取る人は本当にいるのだろうか?」と考えていた男性社員の人がほとんどだったのではないでしょうか。これが現在の日本の多くの会社での現状でしょう。

みずほ銀行が「男性育休率100%」を目標に掲げたり、リクルートコミュニケーションズが「男性の育児休暇取得を必須化」したりと、男性の育児休暇に対しては取り組み始めている会社が出てきました。今はまだ、会社側からの働きかけがないと男性が育児休暇を取得するのはハードルが高く感じるからこそ、この様な企業が増えてくれる事が大切だと感じます。

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