記事提供:LITALICO 発達ナビ

発達障害児の特性の1つとして「切り替えがしづらい」というものがあります。これは、「好きなことをなかなかやめられない」というような言葉で理解されることが多いのですが、実際は本人にとってはもっともっと苦痛なことなのです。

発達障害の子は「切り替えが苦手」って、他の子と何が違うの?

発達障害児の特性として「切り替えが苦手」ということがよく言われます。

たとえば、「好きなことに夢中になっていると、次の行動に移れない」といった例が挙げられますが、その程度なら「子どもは誰だってそんなものだよ」とも思いませんか?

わが家の息子もそうでしたが、あらかじめ遊べる時間を予告し、タイマーをセットして終わりの合図がわかるようにしたら、克服できたように思います。

では、発達障害の子における「切り替えが苦手」とは、他の子といったい何が違うのでしょうか。

どうやら、息子が一番苦手で困っていたのは、活動ではなく気持ちの切り替えだったのです。

気持ちの切り替えができないとき、息子の頭の中は

「友達に嫌なことを言われた、」、「先生に叱られた」

そういったネガティブな経験は、誰にでもありますよね。でも、息子の場合、それが頭の中にずーっと離れずに残ってしまうようなのです。

嫌なことを言われてもお互い「ごめんね」と言って済ませれば良い場面でも、自分の頭の中でネガティブな気持ちがどんどん増幅してしまいます。

その結果息子は、

「あの子にあんなことを言われた」

「どうして」

「なんで」

「僕は悪くない」

「あ~もう腹立つ」

「ああーー!」

と、ブツブツブツブツと言い続けながら、体をどこかにガンガンぶつけるようになるのです。

その時、周囲の人や友達が「おまえが悪いんだろ」などと言おうものなら火に油。一気にパニックに陥ります。こうなると、もう、活動も気持ちも、切り替えどころではなくなってしまうのです。

以前、こんなたとえ話を聞いたことがあります。

「発達障害の子どもの頭の中には、パソコンのようにいくつものウィンドウが立ち上がっている。その量に本体が悲鳴を上げているのに、×マークを押してウィンドウを消すには、ものすごい時間がかかる」

息子の頭の中もまさにそんな状態なのでしょう。お友達に言われた不愉快なセリフを頭から消してしまいたい、けれども×マークを押しても押しても全然消えてくれないのです。

そして、ウィンドウがいくつも立ち上がって熱くなり始めたパソコンを強制終了させようと、息子は体の一部をどこかにぶつけ始めるのです。

これが子どもにとってどんなに苦痛なことか、想像に難くないでしょう。

私の腕をつかみながら「助けて…」と言う息子に

切り替えができずに苦しいとき、息子は私の両腕を握りしめながら「ああもう!うぅっううううっ」と呻き続けます。

息子自身も、切り替えなければならないことは理解しているのです。たまに、私の両腕を握りしめながら「助けて…」と言うことすらあります。

こういうときに「納得いくまで話し合う」は、意味を成しません。子どもからすると、次々とたたみ掛けられるように感じ、頭の中で乱立するウィンドウは増えていってしまうだけです。

そんな時は場所や話題を変えて、少しでも落ち着きを取り戻せるような環境をつくり、それから「大丈夫だよ」と言葉をかけ続けるようにしています。

そのうちに、ふっと気持ちが変わることがあり、そこですかさず「あ、切り替えられたね。よくできたね」と伝えるのです。

この経験を積み重ねながら、「気持ちを切り替える」という感覚を理解し、身体で覚えていったようでした。最近では、嫌な気持ちから解放されたとき「はあ、切り替えられた~!」と言って喜んでいます。

大人が思っている以上に、「できないこと」に子ども本人が苦しんでいるから

「切り替えができるようにする」という言葉は、子どもにとってあまりにも漠然としています。

こういう漠然としたものを習得させるには本人が「できた!」と実感を持てる経験を増やしていくことが大切です。

切り替えが苦手という事は、私たち大人が思っている以上に子ども本人にとって苦痛なのです。うまく折り合いをつけていけるように、サポートしていけると良いですね。

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