記事提供:日刊SPA!

群馬県の風光明媚を象徴する赤城山で、バイオマス発電所の計画が進行している。放射能で汚染された木質チップを年間8万トン、20年間燃やし続けるものだ。

県都前橋の象徴である風光明媚な「赤城山」。

東電グループの関電工が前橋市苗ケ島町に建設を計画する木質バイオマス発電所について、市民オンブズマン群馬は、建設の白紙撤回を同社などに求めるよう山本龍市長に要請した。

代表の小川賢氏は「建設予定場所の目と鼻の先に住む住民の方にとって、住環境が根底から否定されてしまう重大な事件」と懸念する。

「バイオマス」とは、動植物などの生物から作り出される有機性のエネルギー資源で、一般に化石燃料を除くものの総称。そのエネルギー源を燃焼したり、一度ガス化して燃焼したりして発電する仕組みを「バイオマス発電」と呼ぶ。

しかし、今回の計画は他県のものとは異なるという。実態はどうなのか?

「住民の声を聞かず国や群馬県、前橋市の施策だけで推し進められる前橋バイオマス発電は他県のバイオマス発電と大きく異なっています。

事業者の関電工は、頑なに拒否し続けてきた住民説明会でも、住民からの疑問や懸念に対してまともに答えようとせず、次回まで調べると言ったきり、何の回答もしていません。

また、事業主体は東電グループの関電工ですが、その背後には当然東電の思惑があり、この計画では群馬県以外からの放射能汚染木材の搬入もありうるとされています。

したがって、この群馬県の前橋バイオマス発電計画では、原発事故によって発生した木材を集めて焼却処分するための、いわゆる廃棄物の中間処理を通じた、原発事故による森林の放射能の除染が本当の目的なのです」(小川氏)

関電工は、電力中央研究所赤城試験センターの敷地の一部を買い取り、木質チップを年間8万トン、20年間燃やし続けるバイオマス発電所(チップ製造施設を同じ敷地内に併設)の建設を計画している。

同県には「首都圏の水がめ」として8か所のダムがあり、当然その影響は首都圏も無視できない。神奈川県を除く関東6都県に水を供給する利根川水系のダム8か所はいずれも群馬県にある。

「ダム群は、平地にある渡良瀬貯水池を除いて北部、西部の山間部に存在し、山間部は福島第一原発由来の放射性物質による放射能汚染が酷い状況にあります。

多くの専門家が放射能はいまだ殆ど移動しておらず、森林に留まったままであると報告しており、

バイオマス燃料源としてこうした森林の木質資源を間伐、皆伐のかたちで実施すれば、森林内に留まっていた放射能が外部に流れ出し、水がめであるダムに流れ込むのは自明の理と言えます。

その結果、周辺のみならず、下流の首都圏にも放射性物質の流出の影響が及ぶものと推察されます」(同)

SPA!の「放射能リスクのある街ワースト3」で2位となった群馬県の榛名湖周辺でも震災以降は高い放射線が検出されており、農家の多くが廃業している。

近隣の旅館経営者は「ウチも、野菜の調達に不自由するようになりました」と話す。計画が実行された場合、群馬県民、そして首都圏への影響は?

「赤城山からの北風、通称・空っ風は半年近く吹き荒れ、夏場には首都圏からの南風が赤城山に吹き寄せます。バイオマス発電施設で燃やされた放射能汚染木材から生じる排ガス中のセシウム等放射性物質は、バグフィルターでは全く捕獲できません。

空っ風や南風にのって群馬県や埼玉県方面にもひろく撒き散らされ地表に降り注ぎ、群馬県の農産物は首都圏へ出荷されています。

この計画によれば、水分を多く含む間伐材や廃材等を年間8万トン、20年間燃やすわけですが、蒸気を発生させるボイターに投入する前にチップにしたものを圧縮プレスにかけて、水分を60%から40%程度になるまで搾り取るという方式を採用しています。

このとき、8万トン×(60%-40%)=1.6万トンものセシウムを含有する絞り水が発生します。

関電工らは、この水をそのまま地下に浸透させるとしており、地下水脈を経由して首都圏の水系に放射性物質が拡散され、それらが水道水や灌漑用水を経由して体内に入ることが懸念されます」(同)

バイオマス発電所は2017年6月から24時間運転予定だ。

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