激動の昭和の時代を振り返るとともに、現代に残したい当時の学びを探るコーナー「昭和土産ばなし」。今回のテーマは「タバコの歴史」について。

初めまして、昭和ライターの服部です。2016年7月28日、現代を象徴するようなあるニュースが少し世間を騒がせました。

男性の喫煙率が、調査開始以来初めて30%を割り込んだというものでした。室内では喫煙所以外のほとんどの場所が禁煙、そればかりか路上ですら喫煙できないエリアが増えてきている現在、30%近くの男性が喫煙し続けていることに逆に感慨深く感じさせられるニュースでもありました(著者は十数年前に、喫煙に対する風当たりの強さに苦痛を感じ、禁煙した派です)。

そう思うと、昭和時代は喫煙者にとってパラダイスでしたよね。ということで、今回は昭和時代の喫煙事情についてまとめたいと思います。

驚くほど男性喫煙率が高かった昭和40年

平成28年(2016年)の調査で初めて男性の喫煙率が30%を切ったということですが、昭和時代の喫煙率はどのくらいだったのでしょうか。

厚生労働省が公開しているJT(旧・専売公社)の調査によると、この調査が始まった昭和40年度(1965年度)では男性喫煙率はなんと82.3%、年代別に見ると一番高い40代にいたっては86.7%と、健康に問題のない男性は、ほとんどが喫煙者だったといっても過言ではなさそうです(女性の平均喫煙率は15.7%と、現在とそれほど差はありませんでした)。

ここまで多くの喫煙者を生み出していた理由としては、「タバコは健康に悪影響」という情報が公に叫ばれていなかったこともあります。健康先進国だったアメリカですら、公衆衛生局がタバコの危険性を訴えた「喫煙と健康に関するレポート」を最初に出したのは、昭和39年(※)のことでした。

※参考文献「タバコの社会学(世界思想社)」

昭和時代はどこでもタバコが吸えた

では、喫煙率がこれほどにも高かった昭和時代、タバコはどこで吸えたのでしょうか。
平成生まれの人には信じがたいかもしれませんが、「ほとんどどこでも吸えた」のでした。

電車や飛行機の中でも喫煙可能だった

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駅のホームは喫煙所ができて制限されるまで、喫煙所や灰皿のあるところでの喫煙という概念はなく、駅ホームのいたるところで喫煙する姿が見られましたし、電車が近づいてくると吸い殻を線路にポイ捨てなんて光景も当たり前のように目にしました。

JR(昭和62年以前は「国鉄」)の中距離電車(東海道線など)には車内に灰皿がついていて、一部区間を除き喫煙ができましたし、新幹線をはじめとする長距離列車は、禁煙車が登場するまで他人の副流煙を避けることはできませんでした(新幹線に初の禁煙車が設定されたのは昭和51年のこと。しかも自由車に1両のみ)。

飛行機も国際線・国内線ともに、喫煙席が設けられていました。機内は空気が乾燥していることもあり、喉をやられることが多かったように記憶しています。世界の多くの航空会社が全面禁煙を始めるのは、平成10年(1998年)頃から。意外と最近のことだったのです。

教室でタバコを吸っている教師まで…

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昭和時代を舞台にしたドラマなどでは、仕事中もプカプカと喫煙するシーンが出てきますが、日本の禁煙問題30年史一般社団法人タバコ問題情報センター)によると、東京23区の庁舎で初めて分煙が行われたのは昭和61年(1986年)4月のことだったようです。この手のことは、役所関連が最初に取り組むことが多いので、まさにこのころが転換期だったのではないでしょうか。

学校の教師の職場である学校では、小学校でも教室でタバコを吸っている教師がいましたし(著者の隣のクラスの担任がまさにそれでした)、学校によってでしょうが、職員室はタバコで煙っていたものです。今思えば、教育に非常によろしくない環境だったですね。

映画館や病院までもタバコが吸える場所だった

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お寿司屋さんを含めたレストラン・食堂も、現在のように禁煙席などはありませんでした。他にも、病院の待合室には灰皿が設置してありましたし、診察室でタバコを吸っている医師もいたようです。映画館内(一応禁煙でしたが)で映画を見ながら吸っている人もいたりと、ガソリンスタンドなど引火の恐れがあるところ以外なら、ほぼどこでもタバコが吸えた時代もあったのです。

gooランキングでは、「昔はタバコが吸えたと知って驚く場所ランキング」を発表してますので、こちらもご参考に。

未成年でも簡単にタバコが手に入った

昭和育ちの中には、親に頼まれタバコを買いに行ったという人もいるのではないでしょうか。著者は子供の頃、父への誕生日プレゼントとしてタバコを1箱贈ったことがありましたが、一人で近所のタバコ屋さんに買いに行き、普通に売ってもらえました(逆に「偉いね」などと褒められたもの)。

それは小さい子供だけでなく、中高生ぐらいでも平気で売ってくれた店も少なくなかったのです。取り締まる法律が緩かったというのが、一番の問題だったのでしょう。

平成12年(2000年)に「未成年者喫煙禁止法」が改正され、未成年者にタバコなどを販売した側の罰金が引き上げられたこと、それになんといっても、平成20年(2008年)に「taspo(タスポ)」(成人識別ICカード)が導入されたことにより、徐々に未成年が購入できないようになっていったのです。

21世紀に入り、タバコの販売本数は減少

日本は先進諸国の中で最も喫煙率が高い国でしたが、2000年に21世紀における国民健康づくり運動が行われ、「未成年者の喫煙をなくす」、「公共の場及び職場における分煙の徹底」など、様々な目標が設定され、また、2005年にたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約が発行されました。

その後、駅や多くの職場では喫煙所以外での喫煙が禁止になり、路上での喫煙に罰金が課せられるようになるなど、喫煙可能な場所がどんどんと狭められていきました。さらにはタバコの値段が高騰していくことも手伝い、現在のような「スモーキンクリーン」な日本になっていったのです。

今ではタバコを吸っている人の方が少ないので想像もつきませんが、かつてはこれほどまでに喫煙大国であった昭和の日本。次回はどんな昭和の常識が見られるのでしょうか。

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Spotlight編集部。東京都出身。ウェブの編集をやったり、文章書いたりしてます。脚本家の端くれでもありアニメ好き。かなりの酒好きで、頻繁にそこここで酒に飲まれてます。
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