アメリカの新学期は8月末に始まる学校が多く、8月に入る頃から今年も子供たちは慌ただしくもワクワクとした日々を過ごします。

アメリカ、ウィスコンシン州アップルトン。この小さな町に住むひとりの少女が今年の新学期を迎えることはありません。

Jerika Bolenちゃん14才。彼女は、生まれてまもなく、医師から難病の脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)Ⅱ型であると診断が下されました。

「脊髄性筋萎縮症」とは
脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)とは、脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の病変によって起こる神経原性の筋萎縮症で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じ運動ニューロン病の範疇に入る病気です。体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮を進行性に示します。

Jerikaちゃんが診断されたのは II 型で、中間型(別名:デュボビッツDubowitz病)。
II型は支えなしに立ったり、歩いたりすることができません。舌の線維束性収縮、手指の振戦がみられます。成長とともに関節拘縮と側弯が著明になります。また、上気道感染に引き続いて、肺炎や無気肺になり、呼吸不全に陥ることがあります。根本治療はいまだ確立していません

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シングルマザーのJenさんは、わが子を愛する親なら誰もがそう思うように、娘の幸せのためなら何でもしたい、と思い続けていました。

Jerikaちゃんは、今までに38回も手術を受けています。

2013年には脊髄融合手術を受け、昨年は腰の痛みを軽減するという目的で大腿骨頭の切除手術を受けました。いずれも危険な大手術です。その上彼女は1日12時間、人工呼吸器を装着していなくてはなりません。状態の良い日でさえ10段階(10が最悪0は無痛)で7段階という激しい痛み(Jerikaちゃん談)に耐えて来たJerikaちゃん。

昨年の手術を終えた後、彼女はこんなことを考えていました。

あの時、もう死ぬ覚悟ができていました。そんな風に思ったのは、それよりもずっと前からだったかもしれません。手術をしても痛みは少しも軽くはならず、それどころかひどくなっている。

私は自分のために痛みに耐えて頑張ってるの?それとも家族のため?

私が頑張って来たのは、家族のためだった、と自分の中ではっきりとわかったのです。

出典 http://www.postcrescent.com

愛する家族を悲しませたくない、そんな思いから痛みに耐えて頑張っていたJerikaちゃんだったのです。

そんな思いを、母のJenさんに・・・

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「来年の夏を最後にさせて。もう一度だけ夏を家族や友達と過ごしたい。そして、人工呼吸器を着けないことにしたい。」

それは自ら命を絶つということではありません。自然にまかせて、この世を去りたいという決断でした。

激しい痛みに加え、服用している薬が少しずつ内蔵もむしばんでいました。看護婦だったJenさんは、「いつかこの日が来るかもしれない、と心のどこかで覚悟していました。私は母親です。頑張る娘をどんなことでもして支えたいとそう思ってきました。」インタビューに応えてこう語っています。

「それが娘の望みならば・・・その望みを全力で支えてあげるしかない。」

「娘が安らかになるのなら、きっと私も安らかな気持ちになれるはず。」

この決断を下した時、私は心から幸せでした。そして同時にとても悲しかった。みんなで泣きました。でも私は痛みから解放され、幸せな場所に行けるのです。このことは誰もが想像するよりも、ずいぶん前から考えて来たことです。

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Jerikaちゃんは、14年の短い人生を和らぐことのない痛みと闘いながら生きてきました。

家族のために頑張っていたという健気な思いに胸が詰まります。

ひょうきんなJerikaちゃん

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毎日幸せでいられることは難しいと思うけれど、残りの日々をできる限り幸せに楽しく過ごしたいと思います。

神様がなぜ私がこの病気を持って生まれるように選ばれたのか・・・今でも知りたいと思います。でも、その答えを得ることはできないのはわかっています。もしかしたら私が強い女の子だから選ばれたのかもしれない。

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周りの人が驚くほど、彼女は自分が置かれた状況を苦々しく思っている様子がみじんもないのだそうです。

同じ年頃のティーンエージャーが好きなポップス、それもちょっとダサい系の音楽が好きで、パソコンでSIMSゲームを楽しみ、2匹の愛犬と時間を過ごしているJerikaちゃん。8年生の昨年はオンラインのクラスで勉強をしました。オシャレが好きで、ウィットに富んでいていつも人を笑わせるのが好きなJerikaちゃん。

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近影
プロムを前に髪を染めてお化粧も!

7月22日Jerikaちゃんが主催したプロムが開かれる

Jerikaちゃんからのメッセージ

出典 YouTube

「私の決断は家族を傷つけたかもしれないけれど、でも時間が経てばきっとみんな大丈夫だと思うの。私の思い出と私が遺したものは、たとえ私が居なくなっても行き続けるはずだから。」

最後のダンス

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“J’s Last Dance” と名付けられたプロムパーティーには、アップルトンに住むすべての人が招待されています。おいしい食事とたくさんのケーキ。それからダンス、ダンス、ダンス。Jerikaちゃんのチョイスでマイ・ケミカル・ロマンス(My Chemical Romance)の音楽が演奏されることが決まっています。

Jerikaちゃんは、自分で選んだ大好きな色(黒と緑)の美しいドレスに身を包み、プロムクイーンになって最後のダンスを踊ります。

「今は楽しいことだけ考えていたいの!」

そして8月末、彼女は緩和ケアに入り自宅で静かに余生を過ごします。愛する家族と愛犬囲まれて、呼吸器を装着せず、その最後のひと呼吸をするまで、静かに穏やかに。

「天国に行けば、また歩けるようになる。痛みもなくなり自由になれる・・・」

天使の羽が生えて、空高く飛び立つJerikaちゃんが見える気がします。その瞬間まで、遠くから彼女を想い祈り、そして送ってあげたいものです。

出典 https://www.gofundme.com

愛犬のチワワと

パーティーには全米から1000人もの少女たちが!

出典 http://www.msn.com

中には31時間もかけて運転してきた人もいたとか。

大盛況に終わったプロム。笑顔と涙で溢れていました。そこには確かにJerikaちゃんの決断を尊重し、彼女が望んだプロムを大成功させてあげたいと思う人々の愛がありました。

「今日は彼女が生きた命を喜び祝う日!」
「私が強くいなくてはいけないと思っています。」

最後の日が近づいていることを知る鼻のJenさんの言葉が印象的でした。

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公式プラチナライター。テキサス州在住。料理研究家でフリーランスのコラムニスト

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