風俗で働くことを選んだシングルマザーの実態

知られざるママの実態や本音を紹介するコーナー「ママのホント。」

性産業で働く女性は、今や日本に数十万人いるといわれています。彼女たちのほとんどは、自らの仕事について周囲に赤裸々に語ることは少なく、その中にはシングルマザーである女性も多くいるといいます。

彼女たちが性産業を選ぶ理由の大半は、やはり短期間に目標とする金額を手にできる可能性が高いから。厚生労働省が実施した平成23年度全国母子世帯等調査によると、就業しているシングルマザーのうち、非正規雇用者は約5割程度にものぼるとされます (パート・アルバイト等=47.4%、派遣社員を含むと52.1%)。

その裏には、子育て優先で残業不可なママを雇わない企業が多数あるという事実が存在します。つまり、家族を養うお金が必要なのに、正社員として雇ってもらえない。そうなると、割のいい性産業への従事が選択肢として浮上してくるということです。

今回、そうした道を選ぶ女性たちの実態について知るべく、一人で子どもたちを育てるために性産業への扉を叩いたという、沖縄の元風俗嬢・らんさんにお話を伺いました。

借金返済のため、そして離婚資金を貯めるために風俗店で働きはじめた

ーーらんさんは今年の3月まで風俗店で働かれていたとのことですが、働き始めたきっかけは何だったのでしょうか?

らんさん(以下、らん):私の場合は、結婚生活の中でできた借金を返済することと、離婚資金を貯めることが目的で働き始めました。借金ができた原因は、旦那の浪費癖です。給料を家に入れてくれるのですが、今いくらあるかを考えずに高いものを買う人だったので、どうやりくりしても収支が合わず、多額の借金ができてしまったんです。

しかも、旦那はブラックリストに載っているため、私のクレジットカードで返済する以外に手がなくて…。それに、お金がなくなると暴力をふるう人だったので、最終的に離婚を決意するに至りました。

でも、すぐに新しい生活を始めることは難しかったので、しばらくは別居しながらお金を貯めることにしたんです。といっても、金銭的な不安なく離婚するためにはそれ相応の金額が必要なので、離婚するまでには2年の月日を要しました。さらに、その後も、新たな目標に向かって資金を貯めた期間があるので、通算で4、5年はこの仕事を続けましたね。

ーーできるだけ短期間でお金を稼ぐためには、風俗店での仕事がベストと考えられましたか?

らん:そうですね。それまでは会社員だったこともあるんですが、少しでも早く返済するためには、これまでより割がいい仕事を選ばなくてはと思ったんです。ただ、風俗店の場合、割がいいといってもお店によって稼げる額はピンキリ。もちろん、お店だけでなく、個人の資質も給料に大きく影響します。

目安として、私が住んでいる沖縄では、例えば10時から17時までのシフトで、その間に50分のサービスを5人のお客に提供したとしたら、平均的に3万円から5万円程度稼げます。高級店だと、7万円から10万円くらいの日給になります。ただ、お店に出勤したら必ず稼げるとは限らないため、日給0円の日もあります。

子どもと過ごす時間を確保しながら働けるというのが風俗のメリット

ーーらんさんご自身はどんなシフトで働いていたのですか?

らん:私は昼勤務でした。夜は子どもたちと一緒に過ごしたかったので、そこだけは絶対に譲れないポイントでしたね。夕方に帰宅して、子どものお迎えに行って、家族でごはんを食べる時間が一番幸せを感じられる時間ですから。周りにいた同業者のシングルマザーも、ほとんどが同様でしたよ。

やはり、子どもと過ごす時間を確保しながら働けるというのは、この仕事の大きなメリットなのですが、加えて、子どもが体調を崩したときなどに休みやすいというのもありがたかったですね。

企業で社員として働いていると、子どもが熱を出したからと早退を申し出ても、「急に休まれたら困る」といい顔をされないことも多いですよね?でも、性産業の場合、理解ある店を選べば、休むべきときは休みながら仕事を続けることができる場合もあります。

ーーということは、お店選びも重要なんですね。

らん:その通りです。働き手の希望を尊重してくれるか否かという以前に、経営がなっていない店で給料が支払われなかったり、講習で“本番”を要求されたりという話もよく聞きます。なので、本気で稼ぎたいという想いがある人ほど、自分の目できちんとお店を見分けることはとても大切です。

実際、私も掛け持ちしたり移動したりしながら、いくつかの店舗での面接や勤務を経験した中で、よくない印象を抱いた店は非常に多いです。というより、やはりちゃんとしているお店のほうが少ないのが実情です。

私はそうやって性産業の世界で働いている間に、お店選びをはじめとするさまざまな悩みを抱えている女の子たちの役に立ちたいと考えるようになり、その足掛かりとしてまずはブログを立ち上げ、一人で悩んでいる女性たちにメッセージを発信することを開始しました。そのうち、相談を持ち掛けてくれた人への個人カウンセリングもするようになりました。

次なる目標としては、私と同じように目標を達成してきちんと“卒業”したい人に向けてのコンサルを本格的に行っていこうと考えているところです。

一人でも多くの女の子に、新たな道を切り開いてほしい

ーーやはり性産業に従事している人は、身近な人には相談しにくいものですか?

らん:はい。私も初めはそうでした。家族はもちろん、友だちにも打ち明けることができず、次第に友人同士の集まりからも足が遠のくようになりました。「今、なんの仕事してるの?」と聞かれたとき、嘘をつくのが辛くって。でも、コンサルやカウンセリングの活動をしたいと心に決めてからは、実は16歳の長女にも打ち明けたんです。一瞬、「まぢか…」っていう反応でしたけど(笑)、普段から性に関する社会問題などについても真剣に話し合うことがある間柄なので、ちゃんと理解してもらえました。

身近でも、娘と同じくらいの年代の子が援助交際をしているという話も聞くことがあるので、娘にはそういったことで嫌な想いをしてほしくなく、自分の身体を大切にすることの重要さをしっかり伝えたかったんです。それに、若い子は一般的に性病に関する知識が浅いので、定期検査の大切さも知ってほしくて。なのでうちでは、子どもたちに早い段階から性教育を行うようにしています。

らん:話を聞いてくれる人が一人でもいたら、それだけで救われるという人もきっと多いと思うんです。それから、借金を抱えて風俗店で働いている子たちの中には、きちんと返済計画を立てずにその日暮らしになっている子も多くいるので、金銭面でのプランニングもサポートしたいと考えています。

今いくら借金があって、いつまでに返したいという希望があれば、月にいくら稼がなければならないか、何日出勤すればいいか、一日いくら貯金すればいいかはきっちり割り出せるんです。そういったことまで細かく指導することで、一人でも多くの女の子に、望み通りの時期に卒業していってもらえたらうれしいですね。

また、これからは、性産業に関わっていない人に対して、この仕事について理解してもらえる機会も積極的に設けていきたいと考えているんです。性産業に従事している子に対して理解されづらいのが現状ですが、働いている側は真剣に仕事に向き合っていることをもっと多くの人に知ってほしいという想いが強まりました。

もちろん、中には仕事に対する意識の低い女性もいますが、未来を切り開くために一生懸命な子も多いので、そういった子たちのケアもしっかり行っていきたいですね。始まりはお金目的であっても、次なる一歩への足掛けとなりうることは確かだと考えていますから。

女性たちが風俗店で働く理由はさまざまですが、らんさんのお話は、私たちが彼女たちへの理解を深めるきっかけになるのではないでしょうか。らんさんのリアルな意見はブログでも読むことができるので、ぜひご覧になってみてください。

ライター:松本玲子

※出典:ひとり親家庭の支援について(厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/shien_01.pdf

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