第155回芥川賞に村田沙耶香さんの『コンビニ人間』が選ばれました。2003年に発表した「授乳」で群像新人文学賞優秀作を受賞してデビューした村田さん。デビュー後も「ギンイロノウタ」で野間文芸新人賞、「しろいろの街の、その骨の体温の」で三島由紀夫賞、「殺人出産」でセンス・オブ・ジェンダー賞を受賞と順調な作家生活を送りながらも、今でも週に3回のコンビニのバイトを続けている事でも話題になりました。

作家仲間からは「クレイジー沙耶香」と呼ばれているという村田さんですが、確かにその作風は個性的です。『消滅世界』では、人工出産が主流となり夫婦間のセックスが近親相姦として忌み嫌われ、家族という制度も過去のものとされている世界。「殺人出産」では10人子供を産めば殺したい人間を一人殺せる(男でも人工子宮を埋め込んで出産でき、殺したいと選んだ相手は牢獄の中で死ぬまで出産に従事する「産刑」に処せられる)という世界。その独特の世界観はまさに「クレイジー」と呼ばれるのも納得する衝撃度です。

しかし彼女が「クレイジー」と呼ばれるのは、実はその作風からではなく、彼女のその不思議なキャラクター。

なんと、ずっと自分の年齢を間違えて色々な人と「同じ年だね!」と盛り上がっていたという村田さん。編集の人が教えてくれて気がついたのだとか。友達作家の西加奈子さんが38歳の時に「38歳おめでとう!」と言われているのを見て、自分も38歳だと思っちゃったのだそうです。それからずっと38歳と言い続けていたそうですが、実は当時村田さんは35歳!なんで間違えちゃうんでしょう。

小学校では運動会を一時中断させた

大玉送りの大玉を「これは先生が頑張って作ったから大事に扱ってください」って言ったのが忘れられず、ものすごく大事に運んでたら遅すぎて予定の運動会が一時中断みたいになって(笑)でも先生が大事って言ってたからって思って。大人から見たら神経質すぎて怖いだろうなって。

出典「ボクらの時代」2016年5月22日放送

眠る時には別人になって眠る

芥川賞作家・羽田圭介さんの「なかなか寝付けないんだ」という言葉に「『羽田圭介』のままだから眠れないんじゃない?別な人になればいいよ、私はいつも別の人になってるよ」と答えた村田さん。

村田「私たぶん、子供の頃から「村田沙耶香」のまま眠ったことは、すごく疲れて泥のように眠った時以外はないです」
加藤「それは誰になるの?」
村田「色々いるんだけど私が作った色んな人格」

出典ニッポン放送『朝井リョウ&加藤千恵のオールナイトニッポン0』(15年12月18日放送)

「以前、寝るときに別人になると加藤さんに暴露されていましたが、詳しく聞かせてください」
村田さん「別人になってドラえもんとかと遊ぶと寝れるよ、ね?」

出典 http://www.allnightnippon.com

「死んでたら気付いてあげられる」

ある飲み会で男が村田さん含む女性陣に対して「あなたたちと結婚したらどういうメリットがあるのか」と聞いたそうだ。まぁ「え、なにこいつ。何様」と思うのが一般的な反応だと思うが、そこは本題ではないので置いとこう。で、女性陣は「私は料理を...」とか「子供を産んであげられるかな...」などと答えたそうだが、村田さんは「死んでたら気付いてあげられる...」と答えたそうである。

出典 http://akiokio0115.hatenablog.com

他にも、好きな男性に告白した際「度肝を抜かれましたか?」と聞いたことがあるとか、男の人と付き合って周りの事を何でもやってあげると その人がダメになってゆく「それを観察してた」とか、ナイスエピソードありすぎです。

殺人のシーンを書くのが喜び。

モチベーションになってるのは喜びかな。人間の未知の部分知るのって喜びじゃない。殺人のシーンとか書くのもすごい喜びです。こんなに血がいっぱい出るとか、人体調べたりして。

出典BSジャパン『ご本、出しときますね?』2016年4月29日放送

人間っていう動物そのものに興味があります。動物番組をよく見るんですけど、あれで「人間」をやってほしい。(例えばどんな映像見たいですか?)例えば交尾とか。

出典BSジャパン『ご本、出しときますね?』2016年4月29日放送

コンビニで人間観察はしない。もっとちゃんと働いている

よくアルバイトしてることを言うと、題材のためにお客さんを観察してるんでしょ?って言われるんですけど、でも違うんです。真剣に働いてるんで。だって、自分のこと観察してくるコンビニ店員って嫌じゃない? 

出典BSジャパン『ご本、出しときますね?』2016年4月29日放送

破壊力のあるイラスト

作家仲間で作っているLINEグループでは、村田さんの描いたイラストをスタンプ代わりに使われているのだそうです。その理由は、あまりに破壊力のあるイラストだから。

出典 http://www.houdoukyoku.jp

タイトル「神保町でブラブラ」
驚いた加藤千恵さんが「これモデルは沙耶香ちゃんなの?」と聞いた時の答えが「私、こんなにスタイル良くないから〜」だったとか、いや、そこじゃない!

「本当の本当はなんだろう?」

小さな頃からの口癖が「本当の本当はなんだろう?」だったという村田さんは、なんでも疑って考えてきたのだそう。

例えば中学生の時すごく嫌われてる先生がいて、みんなにセクハラするって言われてる先生がいて、たしかにギューギュー体を押しつけてきたりおかしかったんだけれど、嫌悪感はあったの、でも嫌悪感っていうのはこれは正しい嫌悪感なんだろうか?って思って。公平だろうか、みんなの噂話に惑わされて嫌悪感を持ってるだけじゃないかとか。例えば他のあの先生なら、ギューギュー体押しつけられてもやめてくださいよで終わってたことなのに、これは差別っていう感情なんじゃないかと思ってずっと分析してるうちに、嫌悪感全然無くなってくるなみたいな。

出典 http://superball.hatenablog.com

んー露出狂ってけっこう電車の中に出るよね。電車の中で露出してる方がいて、でもそれはうっかりなのか…変態じゃない可能性もある。

出典 http://superball.hatenablog.com

うっかり…はなかなかないと思いますが。でもこの感覚こそが村田さん!

「殺人出産」も殺人が弾糾されない世界を、「消滅世界」では当たり前だと思われている家族愛というものを逆に見た世界を、常に「何の疑いもなく当たり前」だと思われていることに「本当かな?」という視線を向ける村田さん。

「私も正義や正しさは変化していくという気持ちがあります。家族の影響で、小さい頃から感情的な正義というものに対する、冷静な意見を聞くことが多かったからだと思います。正義というものに感情を持ち込んだり、美談にしたりすることは怖くて危険。その危険さを、究極な形で書きたいという願望があるんです」

出典 http://www.quilala.jp

村田さんの作品を、直木賞作家の朝井リョウさんは「共感や感動ではない方法で心を揺さぶってくる」同じく直木賞作家の西加奈子さんは「この世界の”常識”を疑う勇気のある作家」と表現。確かに作家・村田沙耶香の紡ぐ世界には、透明なクレージーさと素手でいきなり心を鷲掴みにされる様な力強さがあります。その作品を生み出す村田さん自身もまた、とてもクレージーで魅力的な女性の様です。

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