記事提供:AbemaTIMES

AbemaTV『AbemaPrime』の水曜コーナー「世界再発見“World Moving”」6日放送回で、23日に公開される映画「ラサへの歩き方 祈りの2400キロ」が紹介された。

同コーナーは、1本の映画から、あまり日本では伝えられない世界を再発見していくというコンセプト。チベットで、今も行われている“聖地巡礼”とは。

■チベット仏教に伝わる“聖地巡礼”:五体投地

両手・両ひざ・ひたいを地面につけながら、まるでしゃくとり虫のような進み方で目的地へ。これは「五体投地」と呼ばれるチベット仏教でもっとも丁寧な礼拝だ。聖地巡礼を行うのは、大人から子どもまで。

映画「ラサへの歩き方 祈りの2400キロ」は、およそ1年をかけ、聖地巡礼の旅をした11人の物語。そして、登場する役者は、全員が現地の人たち。そのため、ドキュメンタリー映画さながらのリアリティが感じられる作品となっている。

雨の日も雪の日も。五体投地を続けながら目的地へ向かう村人たち。なぜ彼らは過酷な聖地巡礼を行うのか?

番組には、映画の舞台となったチベット出身のロディ・ギャツォさんと、チベット文化に詳しい東京外国語大学の星泉教授が出演。チベットの聖地巡礼について、映画について、トークを繰り広げた。

■映画に登場する11人の村人が歩んだ道

映画では、チベットの東に位置するマルカム県から聖地ラサに向かい、そこからカイラス山まで2400キロをおよそ1年かけて進んでいる。北海道の最北端から鹿児島の最南端までの道のりがほぼ2400キロだ。

:映画はあくまでもフィクションで、演出もつけているんですけれども、実際に現地の人たちが出演していて、リアリティがあり、本当の巡礼の姿を伝えていると思います。例えば妊婦さんは(本当に)赤ちゃんが生まれるまでは歩くんです。

最近は病院で出産するようになったけど、前は家で産む人が多かったから、巡礼にでて、途中で産んだり。あいだに子供ができてラサに着いてから産んだりとかしていました。

――映画の道のりは、どういう場所なのでしょう?

ロディ:僕はこの出発地点の近くで生まれたのですが、そこは標高4080メートル。もともと高地に住んでいるので、標高が高いのは大丈夫。逆に私は日本にくると、身体がだるくなったり、地下では空気が苦しくなったりしました。

■五体投地Q&A

――どうして五体投地をするの?願いとかきっかけとかがあるのでしょうか。

ロディ:人それぞれですが、ほとんどは来世のために。2~3歳からやり始めます。特に教わるというよりも例えばお母さんがやっているのを見たりして、自然に覚えていくものです。

星教授:よりよく生きる、仏教の教えを身体に染み込ませようとしているのではないでしょうか。

ロディ:チベット仏教の教えでは、“人にいいことをすると自分にいいことが戻ってくる”というものがあります。自分のためにするのではないです。

映画を撮影したチャンヤン監督によると、普通に進むと1日10キロ程度だが、撮影のため同じところを何度も行き来したため、1日1キロしか進まない日もあったという。

――夜集まってお話をするシーンがあったが、何を話しているの?

ロディ:そのなかのいちばん年上の人が今日の出来事とか、よくできたらよくできた、できなかったら反省会のようなもの、それからお経をよんで、ご飯を食べて寝るという流れです。

――日本人でもできる?

ロディ:誰でもできます。

――やるのに、お金はかかる?

ロディ:かかりません。お金を出したら自分のためになってしまう。

星教授:道中、お茶をふるまったりして人のために尽くすというのも当たり前。

ロディ:五体投地のあいだ行くと、いろんな人が手伝ってくれるから、そんなに経済的に大変にはならない。五体投地をしている人は尊敬される。

最後に星教授は、「(日本人は、普通)自分が幸せになることを第1に考えてしまうし、忙しいので、こういう映画をみると、人のために時間をつかって祈ることの大切さ、という気づきがあると思います」とコメント。

過酷に思える巡礼でも、どこか楽しげな11人。祈る、歩く、眠る、笑うというシンプルな生活から浮き彫りになる、心の在り処。同映画のなかに、普段忘れがちな「何か」を思い出すヒントが散りばめられていそうだ。

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