お寺や神社に行ったときの恒例行事といえば「おみくじ」。特に新年におみくじをひく場合、1年の運勢が示されるわけですから「大吉」が出ればうれしいもの。いや、「小吉」くらいでも何だかホッとします。いやいや、とりあえず「凶」さえ出なければ…と考える人もいるでしょう。

しかし、ある有名なお寺のおみくじは「凶が多く出る」とネットで話題になっているのです。

そのお寺とは、東京の浅草にある「浅草寺」。628年から歴史が始まったとされる「都内最古の寺院」であり、年間に訪れる人々の数は約3,000万人。東京の初詣といえばまずここが浮かぶ人も多いかもしれません。

Twitterでは多くの人が「凶」の報告

これだけ人々に愛される浅草寺のおみくじが、凶ばかりというのは不思議なもの。ツイッターを見ても、その程度がわかります。

「3回連続で凶」「7人中2人が凶」というのは、なかなかの驚き。実際、浅草寺のホームページにも「『浅草寺のおみくじは凶が多い』とよく言われますが…」と記載されています。下手をすれば浅草寺への足が遠のきかね無い状況につながりますが、それでも多く入れるのには、何か理由があるのでしょうか。

そこで今回は真相を探るために、思い切って浅草寺に直撃!すると、浅草寺のおみくじにまつわるさまざまな資料をいただきました。この資料を見れば、いろいろな疑問が解けるようです。

やっぱり「凶」が多かった!一体その理由とは…

まず知りたいのは、本当に凶が多いのかどうか。渡された資料によれば、浅草寺のおみくじは、100本のくじのうち、大吉17本、吉35本、半吉5本、小吉4本、末小吉3本、末吉6本、そして凶が30本という構成。つまり「3割が凶」ということです。ほかのお寺のおみくじに比べると、高めの割合になっています。

凶が多いというのは、どうやら本当な様子。それにしても、ここまで細かく割合が分かるとは…。では、その理由ですが、浅草寺としては、意味があって凶を多くしているわけではなく、古来から伝わるくじの割合を変えていないだけのようです。

浅草寺としては、「本来伝わった通りの形を守るのが正しい」という考えのもと、それを続けてきたのでした。凶が多いことに、特別な理由はなかったんですね。

筆者がひいた時も「凶」が。

ちなみに、筆者も取材の前に浅草寺でおみくじを引いたのですが、結果は見事に「凶」。くじの後にもらう紙籤(しせん:願い事や病気などについて助言が書かれた紙)の文面も、「願事:叶いにくいでしょう」「失物:見つかりにくいでしょう」「結婚・付き合い:ひかえましょう」とのこと…さすがにくじけそうです。こちらも、ほかのおみくじより明らかに厳しい言葉が並んでいました。

この紙籤についても、もともとのものを現代語に翻訳しているだけで、根本の内容は変えていないようです。

凶が出ても落ち込むなかれ!凶の持つ意味とは?

さらに資料には、おみくじに対するこんな考え方も書かれていました。以下にまとめます。

「おみくじとは『占い』ではなく、本来は神様への『おうかがい』です。凶を引いてしまい、紙籤に厳しい言葉が書かれていたとしても、それを観音様の御訓戒と心に止め、凶を吉に返すよう努力することが大切。凶が出たからすべて終わりということではありません」

ちなみに浅草寺では、凶のおみくじのみ境内に結びつける決まりとなっています。それも、この考え方に起因しているのかもしれません。

つまり、凶を引いたからこそ、それを「結ぶ」という行為をする。そして、お寺が結ばれたおみくじを焚き上げる。この一連が「吉に転じるよう努める」ことにつながっている--こういった説もあるようです。逆も同様で、大吉が出たからといって油断をしたり、高慢な態度を取っていたりすれば、やがて凶に転ずる可能性もあるようです。

あとがき

お寺の中には、「正月だけおみくじに凶を入れないようにする」といったところもあるようですが、浅草寺のおみくじは、時期にかかわらず、割合や内容は一緒。とにかく元のやり方を尊重することが第一で、これまでに割合を変えようとしたり、時期で変えたりしたこともないようです。

ネットで思わぬ話題となった「浅草寺のおみくじは凶が多い」説。その裏には、もともとのおみくじを伝え続けたいという考えがありました。凶を引いたら「1年終わりだ…」と落ち込んでしまう人もいるかもしれませんが、大切なのはそこから吉へと転じるために前向きに努力していくことではないでしょうか。そんな視点で、これからもおみくじを楽しみたいですね。

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