記事提供:TOCANA

昨年末、日本の大手シンクタンクがイギリスの有名大学と組んで衝撃的なレポートを発表した。それは2030年に日本の労働人口の49%の仕事がロボット人工知能に代替されるという内容だ。

グーグルの自動操縦車や、アトラスのような二足歩行ロボット、アルファ碁のような囲碁の名人に勝つ人工知能が登場した以上、その未来の延長線上に人類が仕事を機械に奪われていく未来が来るのは仕方がない。それは冷徹で残酷な未来の真実である。

しかしあまり言われていないことだが、このレポートは決定的なところで間違っているようだ。

発表されたレポートを読むと、日本人の仕事をひとつひとつ人工知能やロボットに置き変えられるかどうかを判断して、それを積算して「日本人の49%の仕事がなくなる」と未来予測をしたようなのだが、そのリストが不思議なことに結論が逆なのだ。

なくなる仕事のリストを見るとこんな仕事が並んでいる。

【なくなる仕事(一部)】

警備員、給食調理人、建設作業員、産業廃棄物収集運搬作業員、自動車組立工、スーパー店員、清涼飲料ルートセールス員、バイク便配達員、ビル清掃員。

イギリスの一流大学の教授の目には、単純で厳しい肉体労働が「消えていく仕事」に映ったらしい。一方で2030年になってもなくならない仕事のリストはこうある。

【残る仕事(一部)】

アートディレクター、インテリアデザイナー、クラッシック演奏家、ゲームクリエイター。作詞家・作曲家、シナリオライター、心理学研究者、内科医、そして経営コンサルタント。

つまりこう言いたいのだろう。感性や知性、知識や研究、そしてそれらの習熟が必要な仕事は、当分の間はなくならないと。

だが、この考え方は実に疑わしい。

人工知能の発展はこれからさらに加速する。囲碁という狭い世界で過去の棋譜をどの棋士よりも高速で学び、最終的に人類が思いつかない「神の一手」を編みだしたのがアルファ碁だ。

現段階でも分野を限れば、人工知能は人類よりもいいアイデアを生み出すことができる。

この領域は今後、急速に一般化するだろう。レンブラントの絵の技法を真似て、レンブラント風の肖像画を描く人工知能が話題になっている。

やがて過去のアートの技法すべてを学習し、人類が思いもつかなかったような発想の絵画が生み出される時代がくる。

人工知能は過去ヒットした音楽としなかった音楽を比べて、より感性をゆさぶる曲を作曲するようになるだろう。

ヒットするドラマとしないドラマを学び、確実にヒットするドラマのシナリオを人工知能が生み出すのもそう遠くない未来だ。

経営判断という最も難しそうな領域でさえ、経営コンサルタントが浅薄に見えてくるぐらい深く正しい経営判断を人工知能が下すようになる。

もちろんそこに関わるすべての利害関係者の感情や意見を理解したうえで、人工知能が人類よりも正しい判断をする時代が来るようになる。

つまり頭を使う仕事では、今後15年間で急速に人工知能が人類を凌駕することになる。それも一台ではない。数億台の人工知能があなたよりも正しく、創造的に、優れた仕事をこなす時代がやってくる。

それと比べてロボットの完成の方がかなり遅れてやってくる。

もちろん、自動車のように、決められた道路を決められたルールで動く機械だけは例外だ。

運転手の仕事は2030年にはなくなってしまうだろう。しかし単純労働に関して言えば、ロボットよりも人間の方がはるかにフレキシブルに「動くことができる」のだ。

理由は金属やセラミックとモーターで動作する機械の部分のスペックが、なかなか筋肉で動作する生物のスペックを越えられないからだ。

汎用機械として考えると、人間の体はロボットよりも当面の未来においては優れている。一方で人間の脳は、あと10年以内に、人工知能よりもはるかに劣ったハードウェアになってしまうだろう。

つまり、今、労働者の中でも優位にある「知的労働者」の仕事の方が先に失われ、給料が安いといわれる「肉体労働者」の仕事は当分の間、なくなることはない。

簡単に言えば、近未来に起きることは大手シンクタンクの予測とは逆で、人類を支配する役割が人工知能にうつり、人類には単純労働の仕事だけが割り振られる。

そんな未来社会がもうすぐやってくるのである。

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