記事提供:CIRCL

蒸し暑く寝苦しい、夏の夜。エアコンをつけないと暑くてなかなか寝付けない日々が続く。でも夏の間じゅう、朝までエアコンをつけっぱなしにするのは、冷房代もかかるし体にも悪そう…とお悩みではないだろうか。

そんな夏の夜の冷房の悩みを解決する答えを教えてくれる研究が公開された。研究によると、夏の夜はエアコンを28度に設定してつけっぱなしにするのが、最も経済的には優れた選択のようだ。

冷房代はもちろんかかるが、睡眠の質が向上するため、翌日の作業効率がはかどり、電気代を上回る経済的なメリットがあるためだ。

睡眠と省エネを貨幣価値に変換 経済的にベストな選択は?

慶応義塾大学と東京ガス、鹿島建設などの共同研究グループは、睡眠時の冷房の経済的にベストな選択を調べるため、睡眠と省エネを貨幣価値に変換することで、数値化して比較した。

冷房をつけると、エネルギー消費が増加し、冷房費用も増加するという経済的なデメリットがある。

しかし、冷房をつけないで睡眠をとることで、寝苦しい夜を過ごすことになり、睡眠の質が低下して翌日に響く、というデメリットがある。そこで、どうすれば一番経済的なのかという疑問が出てくるのだ。

この関係を明らかにするため、20歳の健康な男子学生が研究に参加した。環境条件の良い2階建てアパートのメゾネットタイプの部屋を使い、2013年と2014年に実験をしてデータを取った。

睡眠の質向上には、省エネのメリットを上回るメリットがある

実験はエアコンを連続運転26度(ケース1)、連続運転28度(ケース2)、そして自然送風のみ(ケース3)の3つの条件で睡眠を取り、翌日の作業効率に与える影響を比較した。

3つの条件の睡眠効率を比較した結果、ケース2の28度のエアコン設定が、最も睡眠効率が良かった。26度の温度設定では、睡眠には温度が低すぎるようだ。

睡眠効率が1%減少するごとに作業効率も1.1%減少

翌日の作業効率は、睡眠効率が1%減少するごとに1.1%減少していた。省エネと睡眠の質を数値化して検討した結果は、睡眠の質が上がったときの経済的影響は省エネのメリットを上回る、というものだった。

特にエアコンの設定温度28度には、最高の経済的な価値があった(※1)。

多くの人がやる「タイマー設定」。9割が中途覚醒

もう一つ気になる冷房条件は、寝入りばな2時間くらいのみ冷房をオンにして、時間になると自動的にオフにできるタイマー設定だ。冷房をつけるかつけないかの折衷案でもあり、寝付けば暑さは気にならないと思いタイマー設定を使っている人も多いだろう。

環境省によりまとめられた家庭の睡眠状況の調査報告書によると、約6割の人が入眠時にタイマー設定をして就寝している。

しかし、タイマー設定はタイマーが切れた後の暑さが原因で、約9割の人が中途覚醒している。暑さが原因で中途覚醒する人は、若い世代の方が多い(※2)。

冷房をつけるなら、つけっぱなしにした方が中途覚醒しなくて睡眠の質は良くなるといえるだろう。

熱帯夜には、睡眠障害が増加

夜の気温が25度を超える熱帯夜になると、睡眠障害になる人が増えることが分かっている。気温が1度上がると睡眠障害が7%以上増加し、30度になると8割が寝苦しく感じるようだ(※3)。

睡眠の質の低下は、病気やうつ、生活習慣病のリスクを高める。また、前日の睡眠不足が翌日の昼間の眠気につながり、交通事故の危険を増し、作業効率を低下させる。睡眠の質の低下は、時に取り返しのつかない損失につながる恐れもあるのだ。

できるだけ睡眠環境を整えることは、経済的にも損失を上回るだけのメリットがある。エアコンがある環境のときは、研究結果を生かして睡眠改善をしてほしい。

※1:日本建築学会
※2:環境省(http://www.env.go.jp/air/report/h17-02/03-1.pdf)
※3:NHK生活情報ブログ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス