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自分で自分の写真を撮る。「自撮り」とは、たかがそれだけのこと。されど、このシンプルな行為の奥には、非常に深い世界が隠れているようです。

自撮ラー「りょかち」とは?

Twitterで3000人以上のフォロワーをもつ社会人1年目の女性、“りょかち”さん。有名IT企業に勤める彼女は、まだ大学生だった去年2015年の夏、1枚の自撮り写真を撮りました。

「思った以上にかわいく撮れて別人かと思った」というその写真。はじめ彼女は、自身の友人たちに向けて“ウケ狙い”でSNSにアップしたそうです。「これ誰?(笑)」「盛れすぎ」といった反応を狙って。

自分ではあるけれど、自分ではないみたい。そんな自撮り写真に対して友人たちが様々な反応を寄せることが面白くなった彼女は、同年11月から友人と一緒に自撮りに関する文章コンテンツをWeb上に載せるようになります。

これが若いネットユーザーのあいだで話題になり、それから彼女は“自撮ラー女子大生”としてTwitter上などで情報を発信しはじめました。

現在は、企業で働きながら“自撮ラー”としての活動も続けてます。いまも、寝る前30分の自撮りは欠かさないそうです。

自撮りの楽しさ、そして目的とは?

実際に会ってみると、Twitterなどに載せている自撮り写真の姿とはだいぶ印象が違うりょかちさん。

それは彼女自身も認識しているところで、「私が自撮りしてる写真の私の顔は、基本的に自己認識してる私の顔とは違います。“りょかち”という別人ですね」とあっけらかんと語ります。

そんな彼女に、気になることを単刀直入に聞いてみました。

――「自撮り」って、何が楽しいんですか?そして、「自撮り」の目的って何なんですか?

りょかち:「一言で答えるなら、自撮りは“アバター”遊びですね。

私が中高生の頃、アメーバピグやモバゲータウンなどネット上の仮想世界でのコミュニケーションが流行して、そこではアイコンとして自分の顔をモデルにしたアバターを作ってみんな遊んでました。自撮りの楽しさは、それにすごく似てます。

自分なんだけど、100%本当の自分ではない自分。その姿の自分に『かわいいですね』『素敵ですね』とネット上でコメントをくれる人がいて、さらにかわいく素敵に見せるにはどうすればいいかを考える。

私はアバターでもアイテムに課金して素敵な洋服を着させたりしてましたが、二次元キャラやアイドルを見て“かわいい”を研究して自撮りでそれを必死に再現しようとする作業は、まさにアバター遊びなのかなと思います」

――ということは、自撮り写真を加工してかわいく見せようとすることもあるんですか?

りょかち:「いえ、フィルターの加工をすることはありますが、顔をいじるような加工は一切しないです。そこはこだわってます。

私自身と“りょかち”はまるで別人なんだけど、加工をしないことで、かろうじて私でいられる。

そして、加工のない私であるということは、リアルな私も美意識を高めて頑張っていれば、この“りょかち”に近づけると、どこかで思っているんだと思います。同じ人間なんだから。

自撮りに目的があるとすれば、そこは大きな目的のひとつですね。かわいくなる・かわいくある努力をするための動機付けです。

そして、自撮り写真を公開して評価を求めていれば、みんなが何を“かわいい”と思っているのか、ということも分かる。それを知りたいというのも、目的のひとつですね」

男性はとくに、女性がかわいく自撮りをするのは「モテるため」だと単純に思いがちですが、りょかちさんは、「自撮りの目的に“モテたい”は一切ない」といいます。

あくまで、自分ではないような自分を楽しみ、自分の成長にも活かす。自撮りは、表面的には他者とのコミュニケーションツールのように見えながら、実は非常に自己完結的な性格を帯びていることがうかがえます。

「会ってみないと分からない」

自撮ラーの“りょかち”と本来の自分は「まるで別人」と言い切った彼女。

世間では、「若い女の子が撮る自撮り写真やSNSに載せてるプリクラは、ほとんど別人みたいだから信用できない」と揶揄されることもあります。これもまた、とくに男性が言いがちな言葉ですね。

このような男性の態度についても彼女に聞いてみたところ、非常に潔い意見が返ってきました。

りょかち:「そもそも、SNSに載ってること・SNSに書かれてることなんて、基本的にはその人の“そのまんま”を表すものではないですよね。ほとんどウソが載ってるって言っても過言ではないかもしれません。そのひとつが、自撮り写真です。

むしろ大事なのは、SNSに書かれてないこと、SNSの情報だけでは得られないこと。そしてそれは、実際に会ってみないと分からないものです。

もし女性の自撮り写真やプリクラの写真が信用できないと言うのならば、そもそも信用されるために載せているわけではないし、SNSなどの表面的な情報を信用しようとするその態度を改めるべきだと思います。

実際に会わないで本当のその人を知ろうなんて、昔は無理で当然だったでしょう?今もおんなじですよ。昔から変わっていないだけです」

自撮りなんて何が楽しいんだ?なんで自撮りなんかするんだ?りょかちさんの取材にあたった記者に、そのような邪な気持ちが全くなかったかといえば、それはウソになります。

しかし、会ってみて話を聞くことで、自撮りという行為の楽しさや目的が理解できただけでなく、自撮り写真からは知ることのできない彼女の魅力に触れることもできました。

まさに、「実際に会うことが大切」。シンプルでありながら、ネット上のコミュニケーションが発達している現代においては、非常に深く身に染みる言葉ではないでしょうか。

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