ネットやテレビで話題のニュースに関して、編集部が独自の切り口で取材調査をする「ソコ行く!?ソレ聞く!?取材班」のコーナー。今回も興味深いお話を伺ってきました!

「イギリス、EU離脱決定」。2016年6月23日の国民投票の結果は、世界中を大きく震撼させました。「イギリスがEUを離脱したら、いずれ立ち行かなくなるのでは?」という意見も聞かれ日本でも先行きを不安視する声がありました。

実は、他にも国民の意志でEUに加盟しなかった国が

出典 http://www.shutterstock.com

ノルウェーでは20年前に、EU加盟を問う国民投票が行われた。その結果は…?

現在、EUに加盟していない先進国はいくつか存在します。その代表格が北欧の国「ノルウェー」です。

実はノルウェーでは、EUに加盟するかどうかを問う国民投票が、過去に2回行われています。

【1972年】
反対53.5%、賛成46.5%
(※欧州諸共同体「EC」加盟の是非。投票率79.2%)

【1994年】
反対52.2%、賛成47.8%
(投票率88.6%)

結果は、僅差で反対派の勝ち。しかし、2016年に行われた世論調査では次のような結果が出ています。

【2016年】
反対70.9%、賛成19.6%

反対派のほうが多数を占めているわけです。EUに加盟しないのは、そんなにメリットがあることなんでしょうか?デメリットはないのでしょうか?

実際にノルウェー人にきいてみた

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今回は、いわば、イギリスにとって「非EU先進国の先輩」といえる、ノルウェーの事情を知りたい!……というわけで、神奈川県横浜市のバーで働く、在日ノルウェー人のカタリーナさん(女性:23歳)と、日本の大学を卒業し、現在は母国で暮らすノルウェー人のエヴェンさん(男性:29歳)のお二人に、EU加盟の有無について、赤裸々な意見・感想を聞いてみました。

※画像はイメージです

ノルウェー国民がEU加盟に反対した2つの理由

まず、ノルウェーがEUに加盟しなかった理由はなんなのでしょうか?

「一番の理由は、ノルウェーは石油が産出される、お金持ちの国だから。EUに加盟して石油を供給する側に回ると、政治的・経済的にマイナスの方向に行くことも考えられるんですよね」(カタリーナさん)

ノルウェーの隣には、北海油田といわれる油田があり、約4分の1の主権水域を占めています。ちなみに、イギリスは北海油田の約半分の利権を持っています。

ほかに、ノルウェーがEUに加盟しなかった理由として、「独自性」を保てなくなるからという要因もあります。ノルウェーは、約400年間もの間、デンマークに支配されてきた歴史があります。完全に国として独立したのは1905年のこと。長い支配の歴史があるために、独立心を大切にする国民性となったのです。

ノルウェーの場合、EUに加盟しないことによるメリットは大きいという意見も

さらに、ノルウェーがEUに加盟していないことによる「メリット」はあるのでしょうか。エヴェンさんに聞いてみました。

「僕は、メリットのほうが大きいと思っている。なぜなら、ノルウェーの農家が、ほかのヨーロッパの国と価格競争で争えないから。ノルウェーの農作物は、ほかのヨーロッパの国よりもとても高いんだ。

もし、ノルウェーがEUに入ったら、ノルウェーの商品よりもずっと安いヨーロッパのほかの国の商品が、僕たちの国のマーケットへの入り口を得ることになる。国内の農家は、市場から去るはめになると思う」
(エヴェンさん)

ノルウェーがEUに加盟した場合、国産の農作物が食べられなくなったり、国内の農家がやっていけなくなって、失業者が溢れかえったりすることもあり得るのです。こういった背景があるならば、EUに加盟しないのも当然かもしれません。

「それに、僕たちがEUに加盟したら、たとえばドイツやフランスが破綻しそうなギリシャを支援したように、ほかのEUの国のサポートをするのに、ものすごいお金を払わなきゃいけいこともあるんだろうし」(エヴェンさん)

ノルウェーは、税金が非常に高いことで有名。もちろん、EUに加盟したほうがいいと考えているノルウェー人の方々もいます。しかし、「自国以外をサポートすることによって、これ以上、税金の負担を増やしたくない」という国民の感情が多く存在するのかもしれません。

EUに加盟していないと、こんなことが面倒!

ただ、気になるのは、EUに加盟しないことによるデメリットはないの?ということ。カタリーナさんに聞いてみました。

「EUに入っている国について、少し“うらやましい”というか、いいな、と思うのは、EU圏内で自由に引っ越しできることですかね。ノルウェー人でも、EUの国に引越しはできるんだけど、完全に自由にできるというわけではないんです。もちろん、日本やアメリカなどに引っ越すよりは、簡単なんですけどね。

私のお母さんの国籍はオーストリアなんですが、EU加盟国のオーストリア出身のお母さんにしてみれば、「EUの中だったら、自由に引っ越しできるのに、ノルウェーに住むときにはそうはいかなくて、大変」
(カタリーナさん)

ノルウェーからEUに引っ越す、もしくはEUからノルウェーに引っ越すためには何かしらの手続きが必要ということですね。

ノルウェーのEU非加盟は正解と思っている2人。イギリスについては意外な答えが

では、お二人は、イギリスの国民投票の結果についてどう思われるのでしょうか。

「僕は、イギリス国民の出した結論は間違いだったと思うよ。脱退しようとしている理由に、移民の問題があるよね。イギリスは、イギリスに住んで、働きに来るほかのヨーロッパの国の人たちを制限したいんだ。

でも、イギリスも僕たちのようにEEA(European Economic Area: 欧州経済領域)に加盟していることで、結局離脱しても、EUの国の人がイギリスに入れるように自由な行き来も認めなきゃいけない。これからイギリスは、EUとの関わり方について、EUの議会に話し合いに行くと思うよ」(エヴェンさん)


「私は、イギリスのEU離脱決定について、悪いとは思いません。ノルウェーやスイスは、EUに入ってなくても大丈夫ですし。ただ、イギリスは、昔あったECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)、EEC(ヨーロッパ経済共同体)に加盟していなかったし、通貨もユーロを採用していなかったので、EUと関係性を築くのが難しいかも。貿易といった面で、簡単に権利をもらえないかもしれない。

それでも、イギリスもノルウェーのようにEUとうまく付き合えるのであれば、EU離脱については、そんなに悪くないんじゃないかな」
(カタリーナさん)

「ご近所さん」である以上、EUとイギリスの関係は切っても切り離せないのも事実。何らかの協調関係を築くことを迫られるのは不可避となるでしょう。今回ご紹介したお二人の意見は、あくまでノルウェーの声の一部ですが、これらリアルな意見を踏まえることで、今後のイギリスとEUの動向について、新しい視点でニュースをチェックすることができそうですね!

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