イギリスで最近増加している子供への性被害。2015年の統計では5万7千件を超える性犯罪が記録されています。数字で見ると多いように思いますが、実は実際に起こっている数の85%が被害報告されていないという現状。隠れた性犯罪被害者がいかに多いのかがわかります。

被害者の75%は女性、そして性暴力の虐待は小学校の年齢(9歳~)起こりやすいという統計も出されています。日本でも10年前と比べ明らかに増えているのが子供への虐待、ネグレクト。その中には性的虐待も含まれています。

子供が訴えても性的虐待はなくならない

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8歳や9歳の子供が、誰かに性的虐待を受けたことを両親に話すことは恐怖でしかなく、すぐには言えずに後になって話すかもしくは親が気付くかのどちらかだそう。セックスという意味を十分理解していないような年齢の子供たちが暴行を受けた時には、その時の状況や詳細など明確にされないケースも多く、調査に非常に時間がかかってしまうこともあるようです。

9歳の時から虐待と暴行を繰り返し受けていたテレッサさん

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スコットランド在住のテレッサ・ミドルトンさんは現在21歳。そして1児の母でもあります。彼女は11歳の時に実の兄にレイプされ妊娠。12歳で出産しました。当時はスコットランドでも最も若い母親、そして実兄によるレイプで妊娠・出産という事件が話題になりました。ただ、これまで心情を明かすことがなかったテレッサさんですが、去年手記を出版。当時の状況を語りました。

小銭を渡されセックスを強要させられた

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テレッサさんの子供時代は地獄でした。親によるネグレクト、貧困の環境に育った彼女は、幼い頃から人生を堕落する術だけは持っていました。酒にドラッグにたばこ…8歳の少女はそうした楽しみと引き換えに、わずか2ポンド(当時の価値で約400円ほど)でセックスをさせられたこともありました。

そして11歳の時に実の兄ジェイソンにレイプされるという悲劇が起こったのです。そして2006年、12歳で出産したテレッサさんは英国一若い母と呼ばれました。両親は育児放棄をしながらもかろうじて同じ屋根の下に住んでいました。

テレッサさんは最初、自分が妊娠していることを、怖くて母親には言えなかったと言います。でも体が次第に変化してくるのを抑えることだけはできず、数ヶ月後にようやく伯母を通して母に告白したのです。

兄にレイプされたことだけは言えなかった…

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育児放棄をしていた両親のせいで、テレッサさんはこれまでほとんどを施設で過ごして来ました。親として十分な子育てもしていなかった母親ですが、11歳で娘が妊娠したことを知り激怒。そのために、これ以上母の怒りを買うことはできないと実の兄にレイプされたことは言えなかったテレッサさん。

当時、英国一若い母とされたテレッサさんは「イギリスの恥」として「壊れた英国の象徴」と謳われメディアで話題となりました。12歳という若さで子供を育てていける経済的余裕も心理的余裕もあるはずがなく、テレッサさんの子供は養子に出されることに。

メディアは当然子供の父を詮索します。やがてテレッサさんの友人から子供の父親はテレッサさんの実兄ということがメディアに伝わり、兄ジェイソンは逮捕。そしてDNA検査の結果、間違いなく子供の父親だと判明したのです。

現在21歳のテレッサさんは心境を語った…

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12歳の時に出産し、子供を手放して10年。まさに子供が子供を産んだに他ならないのですが、手放さなければならなかった娘に対し1日もその存在を忘れることはなかったとテレッサさんはテレビのインタビューで語りました。インタビュアーに「中絶の選択はなかったのか」と聞かれると「新しい命を消すということは私の中にはありませんでした」と話したテレッサさん。

出産後も、苦境に立たされたテレッサさんは酒やドラッグに溺れるなど荒れた生活を送って来ました。娘、アニーのことを思う日々で何もできない自分との葛藤もあったのでしょう。「子供にとって叔父の存在であるはずの兄が子供の父親だなんて…」そんな絶望感と辛さが交錯した10年間だったに違いありません。

「もしいつか娘に会えたら…どうか赦してほしい」

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「兄にレイプされて出産を決意したことで、今後その事実を知ることがあったとしたら、きっと娘は私を責めるでしょう。でもどうか赦してほしい」テレッサさんはそう話しました。今回、勇気を出して手記を出版したのはテレッサさんが経験した苦悩を知ってもらうことで、今性的虐待を受けている全ての人に励ましと誰かに訴える勇気を持ってほしいと思ったと強く語りました。

4年の服役の後、兄のジェイソンは出所しています。テレッサさんにすまないと思う気持ちはあるでしょうか。テレッサさんを虐待しレイプし始めた時、ジェイソンは16歳でした。7歳も年の離れた妹を可愛がるどころかレイプするとは…衝撃がイギリス中に走ったのは言うまでもありません。

そしてこのような痛ましい事件は今年に入っても起こっているのです。デヴォン州の11歳の兄が幼い妹を何度もレイプしていたことが判明。裁判所でも本人がそれを認めるというショッキングな出来事がありました。

このデヴォン州の事件に関しては、お互いに子供ということで法的に身元を明かすことは許されていないのですが、メディアでもショックを隠せないようでネットユーザーも「言葉がでない」「世界はいったいこれからどうなっていくんだろう」「理解を超えている」という衝撃の声が寄せられています。

わずか11歳の男子が加害者というショッキングな事件は、事実上イギリスで最も若いレイプ犯ということにもなりこれからの未来を支えていくべき子供の行方が懸念されるのは言うまでもないこと。ただ、現在は11歳という年齢であるために有罪答弁を終え釈放となっており、今後、精神科医による検査と少年犯罪員施設の面接が義務付けられているそう。

子供が性的虐待の被害に遭うということだけでも痛ましいのに、子供が子供を傷つけるという事件は、胸が張り裂けそうになるほど辛いこと。日本でも、これまで記憶から一生消えないような少年犯罪もありました。

何かがどこかで歪んでいることを、もう無視はできないところまで来てしまっているような気がします。歪んだ大人の育児放棄がそれをした子供に悪影響を与え、子供が犯罪を犯すようになってしまうほど悲しいことはありません。

勇気を出してメディアで訴えたテレッサさんは立派です。性的虐待を受けた子供のほとんどがその勇気をくじかれて生きているのです。心身共に傷を負いトラウマとなってしまう性的虐待。大人の私たちは、そんな被害に遭う子供を常に守る立場でなければいけないのではないでしょうか。これ以上悲しい思いをする子供たちが増えないようにと願わずにはいられません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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