全く見ず知らずの他人のために、自分の命を投げ捨てられる人はこの世にどれだけいるでしょうか。このほど、イラクのバラッドで自らを犠牲にして自爆テロから大衆を守った一人の男性が話題となっています。

バラッドのヒーロー、ナジ・シェーカーさん

出典 https://twitter.com

事件は先週木曜の夜(7日)に起こりました。イラク、バラッドの街の中心にあるサイード・モハメッド寺院をISISメンバーの男が爆破しようとしていました。この時、ちょうどラマダン(イスラム教の断食の儀式)が終焉を迎えた時でもあり、寺院の中には何百人という住民がいました。

シェーカーさんは爆弾を抱えたベルトを装着した男が寺院に近付くのを目撃。男が寺院に入ろうとする手前で引き止め、そこから引き離そうと試みました。当然、この時には命の危険を承知していたシェーカーさん。それでも、何百人の命と引き換えに自らを盾にし男が寺院を爆破するのを防いだのです。

何百人という命は救えたが、40人が死亡

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このISISメンバーの男は、先日起こったバグダッドのテロに関与していたものと思われています。またも誰かの命を無差別に奪おうとした男は、シェーカーさんに寺院から引き離されたものの、マーケットの近くで自爆。そしてその周りにいた40人の人の命も一緒に奪ったのです。

74人が負傷、40人が死亡という痛ましい事件となってしまったものの、この男が寺院の中で自爆していれば更に多くの人が犠牲になったのは言うまでもありません。

爆破される予定だった寺院

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多くの人が平和への祈りを捧げる寺院。そんな神聖な場所を自爆テロのターゲットにするISISメンバーたち。今回の自爆には5人のテロリストが関与。2人は自爆、1人は撃たれて死亡したそうです。

1人でも犠牲者を少なくするために、咄嗟の行動で自爆テロ犯を掴んだシェーカーさん。彼の行いは、まさに「他人を救う」イスラム教の教えに沿ったもの。彼こそが真のイスラム教徒であり、ヒーローなのです。

彼の死は各メディアで話題になり、ネット上でも多くの人が彼の行為を「ヒーローだ」と称賛。真のモスリムとは彼のことを言うのだと、世間の人は改めて「ISISとイスラム教は全く別物だ」という認識をした様子。

自らの命を犠牲にしてまで他人を救うというシェーカーさんのような行為ができる人は、きっとほとんどいないのではないでしょうか。その気持ちはあっても、自分の死を覚悟した時には足がすくんでしまうことの方が多いでしょう。それでもシェーカーさんは迷うことすらなく、何百人の人の命を救おうとしたのです。

シェーカーさんの命を張った行為は私たちに何を訴えるのか

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世間では、「モスリムの人たち=テロリスト」という浅はかな思考で差別をする人がいます。それは、社会で白人が黒人を差別するのと同じこと。全く罪のない無実な人を言葉の暴力や銃、もしくは兵器で傷つけようとするという人は、その人自身がテロリストと同じなのではないでしょうか。

肌の色による差別、宗教による差別、性による差別…悲しいほど絶えることなく続いている私たち人と人の暴力。「The Free Thought」というサイトでは、どこにいても、それをしている人達はISISと何ら変わりないということを、シェーカーさんの死に敬意を表しながらも伝えています。

シェーカーさんが、命を張って私たちに伝えようとしたのはそういうことではないのでしょうか。きっと彼も社会の平和を常に願っていた一人だったのかも知れません。彼のような勇気溢れる行為ができる人は少ないでしょう。でも彼のしたことで多くの人が「自分にできること」を考えるきっかけとなったと思いたいですね。

シェーカーさんのご冥福を心からお祈りいたします。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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