そんな知恵があるならもっと他のことに使えばいいものを…。思わずそう言いたくなるようなニュースが飛び込んで来ました。筆者の住むイギリスの北東部にあるノーサンブランド地区で、自家用車を救急車に改造した男が「渋滞をかわすため」サイレンを鳴らしあたかも本物の救急車のように走っていたことで逮捕となりました。

このタイプの救急車に改造した男

London Monday August 4 2015 014 Ambulance Blue Lights
by David Holt London

イギリスには、日本のような箱型の救急車と、写真のように乗用車タイプの救急車があります。このタイプの救急車は人を乗せて中で救助にあたることはできませんが、救命道具は備え付けてあるために緊急の時に現場へ出向くことができます。普段サイレンを鳴らして走っているのはこのタイプの救急車が多いです。

救急車なので、サイレンを鳴らされれば、人命救助に急いで向かうわけですから当然他の車は道を開けなければいけません。周りのドライバーとの「あうん」の呼吸で彼らも仕事をしているのでしょう。

人の命がかかっているとあれば誰でも協力を惜しみません。そんなドライバーたちの気持ちを利用した悪質な偽の救急車に改造した男は31歳のショーン・スキャンドル。スキャンドル容疑者は、ニューカッスルへ抜ける渋滞道路を難なくかわすために自家用車を救急車そっくりに塗装。そしてブルーのサイレンまで鳴らして、他のドライバーに道を開けさせていたのです。

高速道路の監視カメラが捉えた映像

出典 https://www.youtube.com

警察が公開したCCTV(監視カメラ)の映像がこちら。画面右寄りに写っている黄色と緑の色の車がスキャンドルの偽救急車。料金所にさしかかっているのですが、この時点で横暴に路線を変更して斜め左に突っ走ります。

怪しげな救急車を目で追う料金所スタッフ

出典 https://www.youtube.com

バーが降りているにも関わらず、無視して突っ込むスキャンドル容疑者の偽救急車。ここで料金所スタッフは怪しみます。

他の車を止めて自分だけ悠々と渋滞を抜ける偽救急車

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偽救急車はサイレンを鳴らしながら堂々と渋滞をすり抜けて行きます。まさかこの車が偽物だとは誰も気付くはずもなく、他のドライバーはみな、徐行したり止まったり。

トンネル内でも横暴な運転をするスキャンドル容疑者

出典 https://www.youtube.com

「スピードを出し過ぎているのでおかしい」と通報したトンネル手前の料金所スタッフにより逮捕となったわけですが、偽救急車を運転するスキャンドル容疑者の一部始終が監視カメラに収められており言い逃れはできないでしょう。

「他のドライバーを不必要に生命の危険に晒した」として当然スキャンドル容疑者は9ポイントの減点。イギリスでは12ポイントで即免許取り消しとなりますが、9ポイントは裁判所に出廷。裁判の判決により免許停止か否かが決まります。そしてこの男には1000ポンド(約13万円)以上の罰金が科せられることに。

正直、救急車という役割を利用した不届きな行為かつ周りを危険に晒したということで、即免停にならないのが不思議ですが、幸い誰も事故に繋がっていないため9ポイント減点で済んだのでしょう。罰金も少ないのでは?と思わないこともないですが…イギリスの法律はそういうものなのだから仕方ないのでしょう。

出典 YouTube

こちらが警察が公開してた偽救急車の動画です。

偽救急車で悪事を働く悪質さ

Licensed by gettyimages ®

人命救助に使うべき救急車を悪事に利用するなんてもってのほかだと言いたいところ。去年にも、写真のような箱型の救急車のように改造した偽の救急車が、フランスの国境から海を渡ってイギリスに入りました。その救急車には人ではなくオランダで作られたコカインとヘロイン、そして覚せい剤が隠されてあったのです。英国へ密輸しようと思ったのでしょう。

密輸入の常連であった二人の男は逮捕、それぞれ24年と28年の実刑判決を受けていますが、何より驚くのは3種のドラッグの多さ。そして車内からはエクスタシーまでも発見されたそう。金額はなんと合計日本円にして2080億円にも上るというのですから、もはや庶民には想像の域を超えていますね。

どんなにリスクを背負っても悪事を働く輩はいます。あの手この手で色んな知恵を振り絞りますが、犯罪に使うなら発明でもすればいいのにとつい思ってしまう筆者。偽の救急車というのも「そう来るか」と唸らずにはいられませんが、やっぱり犯罪は犯罪。何より人命救助の救急車を悪用するなどとは言語道断。

こうしたニュースが報道されると模倣犯というのも出てきます。偽の救急車を使った悪事はこれが初めてではないので、またどこかで誰かがとんでもないことに悪用する可能性も考えられます。そんな悪人をいち早く捉えるのが監視カメラ。イギリスは世界一監視カメラが多い国というのもなんだか納得できますね。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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