記事提供:LITALICO

発達ナビ発達障害者支援法が改正されました。発達障害当事者や発達障害児を育てる保護者にとって、この法改正は画期的で大切な事が盛り込まれています。

発達障害当事者や保護者にぜひ知っておいて欲しいことをお話します。

ほんの10年前から、ようやく本格化した発達障害者支援政策…

2016年5月、「発達障害者支援法」が改正されたことをご存知ですか?

この法律が施行されたのは2005年。ほんの10年ちょっと前のことです。

「発達障害者支援法」が施行され、初めて発達障害は支援すべき対象とされました。

それまで、発達障害者への支援は、知的障害者施策の一部に過ぎませんでした。

つまり、高機能自閉症をはじめ、アスペルガー症候群、ADHD、学習障害など、知的障害を伴わない発達障害は、支援の対象外だったわけです。

つまり、支援の対象となるかどうかは知的障害があるかどうかで判断されていたのです。

しかも知的障害を伴わない発達障害は、知的障害を伴う発達障害と区別するために「軽度発達障害」と呼ばれ、「軽度」とつくことで「軽い障害」と誤解されていたことも、支援を難しくした一因かもしれません。

2007年、文部科学省は「原則として軽度発達障害という表現を使用しない」と通達を出し、知的障害の有無にかかわらず「発達障害」と呼ばれるようになりました。

長男が発達障害と伝えると、担当の保健師が「知恵遅れね」なんて不適切で誤った認識を口にすることが、ほんの6~7年前には実際にありました。

専門職である人でさえ、知的障害を伴わない発達障害が「障害」である認識は薄かったのだと思います。

充分ではなくても、以前より支援は受けやすくなった?

知的障害を伴わない発達障害児が、個別に支援や配慮を受けられた例はこれまでもあると思います。

ですが、そもそも「発達障害」という言葉も聞いた事がないという人が、昔はその大半を占めていたのではないでしょうか?

もちろん、私もそのひとりです。

長男も診断前で、聞いたこともなければ関心も無かったというのが本音かもしれません。ですが、少なくとも発達障害者支援法のおかげで「発達障害」という言葉の認知は飛躍的に広がりました。

また施行前に比べれば、支援や配慮を受けやすい環境になったことは間違いがないでしょう。

まだまだ充分とは言えませんが、この認知の広がりは発達障害者支援法が果たした成果のひとつと言って良いのではないでしょうか。

「発達障害者支援法」、改正して変わったこと

今回の「発達障害者支援法」改正のうち、重要なポイントは、

1. 発達障害者の支援は「社会的障壁」を除去するために行う

2. 乳幼児期から高齢期まで切れ目のない支援。教育・福祉・医療・労働などが緊密に連携

3. 司法手続きで意思疎通の手段を確保

4. 国及び都道府県は就労の定着を支援

5. 教育現場において個別支援企画、指導計画の作成を推進

6. 支援センターの増設

7. 都道府県及び政令市に関係機関による協議会を設置

の、7つです。

法律第六十四号(平二八・六・三)◎発達障害者支援法の一部を改正する法律(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/190/pdf/s051900361900.pdf)

発達障害を支援するのは社会の責任

その中でも1番のポイントは「発達障害者への支援は社会的障壁を除去するために行う」という、基本理念が追加されたことだと思います。

「社会的障壁を取り除く」なんて言葉は難しいですが、簡単に言うと私たち保護者が日ごろから取り組んでいる「環境調整」による支援を社会の責任で行いましょうということです。

原因を発達障害のある人の特性そのものに求めるのではなく、適さない環境に問題があるという捉え方です。

発達障害者が適応できないのは、周囲の工夫や配慮が足りない状況が原因で、それを社会の責任として問題解決を図るという考えです。

1960年代アメリカのノースカロライナ州で生まれたTEACCHと同じ構想ですね。

ノースカロライナから遅れること実に50年、遂に日本でも改正発達障害者支援法によって、環境調整で発達障害者を支援するのは社会の責任だ、法律上でも宣言されるところまで来ました。

これは発達障害当事者や保護者にとって画期的なことだと思います。

しかも世代に関係なく、全ての発達障害当事者にとって大切な権利を法律上は担保されたと考えてよいでしょう。

また、そのほかにも

・普通級に通う発達障害児も、学校と連携して支援計画や指導計画を作成する

・就労支援だけでなく、就労定着支援を求めていく

と言うような、ライフサイクルによってピンポイントで求められる支援があります。

そして、

・乳幼児から高齢期まで切れ目なく支援が受けられる

・もしものときは、司法手続きを申請できる

など、困ったときのために認識を持っておいたほうが良い支援もあります。

また、自分たちの地域で支援センターは増設されたか?

関係機関による協議会はどんな形で設置され、機能しているのか?

など、行政の問題で、自分たちに直接は関わりがないと思われるような改正点にも、関心を持っておく事が大切かもしれません。

法律はできた。でも…

しかしながら、法律が施行されたからと言って、劇的に何かが変わるわけではありません。

そして同じ法律でも、地域によって捉え方の温度差や格差が生じてしまうという事情もあります。

つまり法律が出来ても、それが意味あるものにできるかどうかは、そこに住む人間の課題になるのが現状です。

4月に施行された障害者差別解消法、それに伴う合理的配慮も同様ですね。

改正発達障害者支援法概要(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/pdf/190hou36siryou.pdf/$File/190hou36siryou.pdf)

大切なのは「知ること」

私たちにできる最初の一歩は、まず知ることだと思います。

「知らない」ということは、ある意味で権利を放棄してしまっているような気が私はします。

自立支援証の存在を知らず、3割負担で治療をしてしまうケースなど、あるのではないでしょうか。

知った上で、周囲に配慮や理解を求め、場合によっては公的機関を利用していきましょう。

当事者や関係者が動くことできっと、改正発達障害者支援法も成熟し、世の中に広がっていくのだと思います。

法律はできました。

そこから先は当事者の権利を守るべく、発達障害に関わる人たちがよりいっそう適切な支援を求め、正しい認知や理解を求めていく事が大切だと思います。

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