ネットやテレビで話題のニュースに関して、編集部が独自の切り口で取材調査をする「ソコ行く!?ソレ聞く!?取材班」のコーナー。今回も興味深いお話を伺ってきました!

大麻、覚せい剤、危険ドラッグといった薬物は、一度使っただけでも人生と身体を大きく狂わせてしまう恐ろしいものです。

特に芸能人の薬物使用・所持による逮捕は大きなニュースにもなります。最近では、女優・高島礼子さんの元夫、高知東生被告に東京地裁が猶予判決を下したことが話題となりました。

しかし、実際の逮捕現場や警察などで何が起きているのかというのは、報じられることが少なく知る人もあまりいません。

そこで元兵庫県警の刑事であり、薬物中毒者の逮捕にも携わったことのある飛松五男さんに、薬物使用者の逮捕の裏側と警察での薬物の取り扱いについてお話を伺ってきました。

犯人が暴れるのは当たり前

ーー飛松さんは、薬物捜査にも携わっていたそうですが、逮捕時ってどんな様子なんですか?常習者であれば暴れるなど、逮捕が困難なイメージがあるんですが…。

飛松:みんな暴れますよ。一番印象に残っているのは、兵庫の風俗街の交差点で常習者を捕まえた時のことですね。

最初は、交通違反で捕まえたんですが、よく見たら「あ、常習者だな」とすぐにわかったので、パトカーに乗せて逃げられない状態にしました。そうしたら、逃げようと車の中で暴れるわけですよ。

薬物で逮捕するには現行犯でなければいけません。でも、交通違反であれば逃げても逮捕することができます。

暴れる犯人を取り押さえていると、そのうち自らクスリを捨てようとして(笑)。普通は僕らが持ち物を探して出てくるんですけど、この時は自爆したんですよ。公道での逮捕だったので、一般車両にご迷惑をおかけしましたが…。

「外国人の逮捕に拳銃は必須」

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ーー犯人もパニックになっていたんでしょうね。交通違反からの薬物検挙というのは、なかなか予測できないレアケースでは?

飛松:
たしかにレアケースかもしれませんが、現場では何が起きるかわからないので、不測の事態にも対応できる余裕は必要だと思います。

薬物逮捕する対象が外国人の場合は、大柄なケースもあるので必ず拳銃を向けて威圧しながら逮捕していました。警棒なんかじゃ通用しません。手錠もサイズが合わず、はまらないので拳銃は必須アイテムなんです。覚せい剤を常習している外国人の場合は、足まで手錠で拘束します。

本当に逮捕現場は修羅場なんですよ。僕も殴られて7針縫う怪我をしたことがあります。

「必ず逮捕するために、わざと泳がせる」

ーー最近では、芸能人が覚せい剤所持や使用で逮捕されるケースが多いのですが、どのように捜査するんですか?

飛松:著名人の逮捕の場合、大部分は“情報”ですね。確たる裏付けが取れないものの、芸能関係者からグレーな情報というのは入ってきます。しかし対象者が芸能人であれば、裏付けがないと冤罪と言われてしまうので慎重になるんですよ。なので徹底的に捜査します。

具体的には尾行や潜入捜査などで裏を取っていきます。常習者は常習者同士で接触するので、薬物の受け渡しなどが行われていないか、徹底的に追跡するんです。マークしていることがバレないよう、相手をハメるつもりで捜査します。

やはり、常習者同士で話すことが本音ですからね。いかに薬物をやっている現場を抑えるかが芸能人の麻薬案件でのキモになります。

ーー薬物を流通させている売人はどんな場所にいるんでしょうか?

飛松:売人なんていろんな場所にいますよ。大阪のあるエリアなんかは有名です。

コンビニのトイレに「ここでクスリを打たないでください」って書いてあるくらいですから。そのコンビニの目の前は、よく薬物売買が行われていますよ。

「麻薬取締捜査官は薬のエキスパート」

ーーよくドラマなどを見ていると、警察官と麻薬取締捜査官の違いがよくわからないことがあるのですが、どんな違いがあるんでしょうか?

飛松:麻取(麻薬取締捜査官)は、いわゆる薬物取締の専門家ですね。所属が厚生労働省なので、薬の使用が適切かを見張っています。麻薬は、医師の処方で使用する場合(医療用麻薬)を除き、使用が禁じられているので彼らが取り締まっているんです。

ーーその中には依存性の高い向精神薬なども含まれているんですね。

飛松:そうです。医師の処方通りに服用せずに、乱用すると麻薬と似たような作用が起きてしまいます。麻取は、麻薬に限らず薬全般のエキスパートなので(薬剤師の資格を持つ人も多いとのこと)、警察官よりも強い権限を持ってますよ。おとり捜査が認められていますからね。警察は認められていません。

また、厚生労働省という組織自体が強いので、捜査資金が潤沢にあるんです。警察の場合は、捜査にかかる予算に限りがあります。著名人であればたくさん予算がもらえるんですが…結局、警察は予算の取り合いになります。

押収した麻薬を刑事が…

飛松:昔は警察の環境が劣悪で、押収した薬物を自ら使う人もいたんです。

ーー自分が捜査して、自分で打っていたということですか?

飛松:そうです。麻薬取締捜査官は絶対そういうことはしませんが、警察の中で麻薬取締捜査に関わった人が薬物を打った、というのはたくさん事例がありますよ。

ーー薬物を打っていたら、挙動不審などですぐにわかりそうですが。

飛松:はい。とにかく覚せい剤をやっている人は、見ればすぐにわかりますね。挙動が明らかに普通の状態ではありませんから。

ーーにわかに信じ難い話です…。

飛松:信じ難い話が現実に起きていました…。話せないようなこともありましたよ。そのくらい薬物は、組織を腐らせてしまうんです。

薬物捜査の現場には、想像以上に危険と苦労がついてまわることが判明した今回のインタビュー。きっと今までニュースを賑わせた有名人の薬物使用事件の裏にも、刑事たちのドラマがあったのだと想像してしまいます。しかし、SNSの発達により薬物の受け渡しも功名化していることも事実。これからも麻薬常習者と警察の熾烈な戦いは続いていくのでしょう。

<取材・文/横田由起>

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