「黒人の命はあんたたちにはどうでもいいのか」そう声を大にして叫びたい気持ちになりました。先日、米ルイジアナ州のバトンルージュで一人の黒人男性が白人警官二人に射殺されるという痛ましい事件が起き、全米市民が怒りを露わにしています。

今年警官に射殺された558人目の犠牲者となったアルトン・スターリングさん、37歳

バトンルージュのあるコンビニエンスストアの前でCDを売っていたアルトンさんの死は、ある日突然訪れました。二人の白人警官によって床に体を押さえつけられ、全く身動きができない状態であるにも関わらず、一人の警官が「銃を持ってるぞ!」と叫んだことでもう一人が発砲。アルトンさんは射殺されました。

「バトンルージュ」と聞いて思い出す人もいるかも知れません。1992年に当時留学生だった服部剛丈さんが、ハロウィーンパーティーの訪問先を間違えて、男性に玄関先で射殺されるという事件がありました。

ルイジアナ州では銃を隠さずに保持する「オープンキャリー」が認められています。とはいえ、何の抵抗もできない黒人男性を明らかに差別で射殺してしまう白人警察官に市民は怒りを隠せません。この事件を知った1時間後には、アルトンさんが命を奪われたコンビニエンスストアの前で黒人市民によるデモが行われました。

アルトンさんが射殺された瞬間を見ていたコンビニエンスストアのオーナーによると、アルトンさんが警官二人に押さえつけられた時には、手はポケットの近くにはなかったと証言。はがいじめにされて全く身動きができない状態で、警官二人はアルトンさんが銃を持っているということを言い訳に何発もアルトンさんの体に発砲し、射殺したのです。

きっかけは匿名の通報だった

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6日の深夜12時半ごろ、警察に匿名の通報があったそう。「コンビニの前でCDを売っている男が銃を持っている。人に銃口を向けている」と言った情報を聞いた警官二人が向かうと、電話の情報から得た服装と一致した男が。それがアルトンさんでした。

もちろんこの時点では、アルトンさんが本当に銃を持っていたのかも定かではありません。赤いシャツを着てCDを売っているという点だけが一致していただけ。それでも最初から白人警官はアルトンさんを「銃を持っている暴漢」と決めつけて押さえつけたのです。

「最初から攻撃的だった」と目撃者が証言

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動画に収めていた目撃者も、コンビニエンスストアのオーナーも、アルトンさんが抵抗できないまま何発も撃たれたのを目撃していました。「警官は最初から攻撃的だった」と証言していることが何よりの証拠です。また、白人警官による黒人市民への差別によって不当な射殺が行われたのです。

アルトンさんには過去に犯罪歴がありました。でもそれは今回の射殺とは全く関係のないもの。ましてアルトンさんのズボンの右ポケットに入っていた銃を確認せずに発砲したのです。アルトンさんが息絶えた後、警官がポケットを探り銃を持っていたことが判明しています。

アメリカでいかに黒人が警察の犠牲になっているかがわかる

出典 http://www.vox.com

FBIデータによると、アメリカの人口は13%が黒人。にも関わらず警官に射殺されたり暴力を振るわれたりする黒人の犠牲者の比率が圧倒的に多いことがわかります。明らかにアメリカの黒人差別社会の象徴とも言えるでしょう。

2010年~2012年のデータでは、「警官に撃たれて殺される黒人は、白人の21倍」というなんとも恐ろしい数字が明らかになっています。ルイジアナ州自体が警官を擁護する法律を定めているために、このような痛ましい不当な事件が起こっても警察側は正当化できるのです。それではあまりにも不公平ではないでしうか。市民が「黒人の命だって大切だ」と訴える気持ちがわかります。

目撃者による動画はこちら

出典 YouTube

<閲覧注意>射殺シーンが収められています。

この動画を見ると、恐らくみなさんもアルトンさんが身動き一つできなかった状態だったというのがわかるでしょう。何発も発砲された音を聞いた目撃者は「なんてことなの」「信じられない。警官は彼を撃ったの⁉」と声を震わせています。

繰り返し行われる白人警官による黒人への射殺行為。これはもはや「警官による犯罪」といっても過言ではないでしょう。銃社会のアメリカにいる白人警察官は、黒人をないがしろにし説明する暇さえ与えずすぐに射殺。これが実態なのです。

時折、警官が市民へとった素敵な行為がネットでも拡散しますが、ユーザーたちがいうように「白人警官の良い行いは本当に少ない。だから目立つんだ」という言葉に納得せざるを得ません。

アルトンさんは5人の子供の父親だった…

出典 https://twitter.com

アルトンさんを無抵抗のまま射殺した警官二人は、この5人の子供たちから大切な父親の存在を奪ったのです。彼らが罪に問われることはルイジアナ州の法律ではないだろうと言われているだけに、アルトンさんの死が無駄死にだったと思うと気の毒でやりきれません。

根強い白人文化が更に溝を深めていく…

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銃社会というだけでも十分問題があるアメリカ。それに加えて根強い白人文化があるために、ますます黒人市民との間に溝を深めていることは否めません。警察を忌み嫌う黒人が多いのもこのような不当な射殺行為があれば当然でしょう。

なんの言い訳すら与えられるチャンスもなかったアルトンさん。突然訪れた彼の死に悲しみを隠せない多くの人が今も集まってデモを行っています。詳細はまだ調査中ということですが、動画や目撃者により何が起こったのかは言うまでもないでしょう。

白人に有利な法を改正しない限り、そしてオープンキャリーという恐ろしい銃社会を規制しない限り、アメリカはきっとこの先20年後も50年後もこうした悲劇が後を絶たないでしょう。

アルトンさんのご冥福をお祈りします。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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