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昨今、「マタニティマーク」に関する議論がネット上などで話題になることが多いですね。

本来は妊産婦にやさしい環境づくりを目指すために存在するマタニティマークですが、心ない一部の人たちがマタハラをするきっかけになったり、妊娠していないのにマークを付けるなど悪用する人がいたり…。

マタニティマークをめぐってモラルが問われているといえるかもしれません。

しかし、一部のモラル意識の低い人たちの言動により、マタニティマーク自体が悪しきものとして見られるのは違うのではないでしょうか。

「マタニティマークがあったことで助かった」「マタニティマークのおかげで周囲に優しくしてもらえた」と感じている人も当然多く存在するのです。

そんな女性のひとりを紹介しましょう。

◆同じ電車の男子高校生

神奈川県在住の女性、藤田さん(仮・31歳)は、いまから1年半ほど前に第一子を出産しました。同県内の会社に勤めており、ママになった現在もバリバリ働いています。

そんな彼女、実は妊娠3カ月頃から2カ月間ほど、夫とは別のある男性にずっと「ときめいていた」のだそうです。しかもその相手の男性は、男子高校生。

一体どういうことでしょうか?藤田さんはこう話します。

「私は、信頼する友人の『何かあったときのために付けておいたほうがいい』という助言もあって、妊娠2カ月か3カ月の頃からマタニティマークをカバンに付けてました。

で、ある日。朝の通勤電車でたまに見かけてた男子高校生が、マタニティマークに気づいてすぐに席を譲ってくれたんです。

譲られること自体が初めてだったので、すごく恐縮した態度になってたと思います。『すみません、ありがとうございます。すみません』って。

それで次の日の朝、同じ時間の電車に乗ったら、今度はその高校生のコは端っこの席に座ってて、乗ってきた私と目が合った瞬間に小さく“どうぞ”っていうジェスチャーだけして、サーっとその場から離れていったんです。

たぶん、私が恐縮しないように気を遣ってくれたんでしょうね」

藤田さんとその男子高校生が乗る通勤電車は、乗車率100%程度なのだそう。つまり、通勤電車としてはそこまで混んではいないわけですが、妊婦さんにとって座れるというのはありがたいことですよね。

そして、この高校生の気遣いはまだまだ続いていったのです。藤田さんは語ります。

「それからというもの、毎日というわけではなかったんですけど、週に3~4日くらいはその高校生の男の子がいつも私が電車に乗る場所の近くの席に座ってて、遭遇するたびに席を譲ってくれたんです。

まるで、『席とっておきましたよ』みたいな感じの雰囲気を出して、軽くジェスチャーだけして去っていくんですよね。お礼を言うタイミングもないくらいの速さで。

私、もうその感じにときめいちゃってときめいちゃって。毎日朝がくるのが楽しみでした」

◆「あさってから夏休みなんです」

そんな日々が2カ月ほど続いたある日、いつもは会釈程度しかしないその男子高校生が、突然話しかけてきたそうです。

「いつものように席を譲ってくれて、普段の彼だったら少し離れたところに行くんですけど、その日はそのまま私の前に立ってたんです。で、一駅くらい電車が走ったところで、小さめの声で話しかけてきました。

『すみません、僕あさってから夏休みで、この時間の電車乗らなくなるんです。席譲れなくなっちゃうんですけど、大丈夫ですか?』って。

もう、心底感動しました。わざわざそんなこと伝えてくれるなんてって。私は、『もちろん大丈夫です。これまで本当にありがとうございました』と言って、そこから初めて5分くらい会話できたんです」(藤田さん)

そうして男子高校生は夏休みに入っていきましたが、彼がいなくなっても、これまでその光景を見ていた人たちが自然と席を譲ってくれる日々が続き、藤田さんは産休に入るまでとても快適に通勤時間を過ごせたそうです。

「マタニティマークを付けてたことで、人生でいちばんの優しさに触れることができた」。藤田さんは、男子高校生との2カ月間をそう振り返っていました。

一部の人たちの心ない言動により、マイナス面ばかりが取り沙汰されがちなマタニティマーク。人の優しさを引き出すプラスな側面があることも、しっかりと認識していきたいですね。

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