記事提供:まだ東京で消耗してるの?

先日は大阪出張。「ビッグイシュー日本版」創設者の佐野章二さんのご案内で、西成エリアを歩きました。

西成って?

日本最大の「ドヤ街」が、西成です。大阪のわりと中心部にあります。最寄駅は「動物園前」。

ややこしいのですが、このあたりは「西成」とも「あいりん地区」とも「釜ヶ崎」とも呼ばれます。細かい違いはあれど、ほとんど同じ場所を指していると思っていいでしょう。現場では「釜ヶ崎」と呼ばれるケースが多いのかな。

かつては「日雇い労働者」が集まる街でした。全国から仕事を求めて人々が集まり、「ドヤ」と呼ばれる格安宿で生活していたわけです。

が。

今ではかつての「日雇い労働者」の方々も高齢になり、「日雇い労働者の街」から「福祉の街」へと変貌しつつありますこれは東京のドヤ街「山谷」も同じですね

インターネットの発達によって、昔ながらの「日雇い労働」が衰退したことも関係しているのでしょう。「あいりん労働公共職業安定所」も、かつての機能を失いつつあるようです。画像はGoogleストリートビューから。

実際、かつての「ドヤ」は、すでに大半が「高齢者向けアパート」に変わっています。ちなみに価格は月40,000円ほど。条件の割に高いのは、物件価格が生活保護費に張り付いているためです

そんなわけで、いわゆる「路上生活者」の姿はあまりなく、多くの方が生活保護を受給し、ひとまず「家」には住んでいる状況です。「炊き出し」や医療的な支援も提供されており、厳しいながらも、人々の生活が保たれています。

とはいえ、「生活保護を受けたくない」という方も少なくないようで、そういう方々は公園で路上生活をしています。

こうした「住まい」は、東京では完全に排除されてますが、釜ヶ崎では現役で残っているのも印象的でした。

賛否あるとは思いますが、生活保護や医療への導線を確保した上でなら、こういう選択肢を残しておくことは大切だと感じます。生活保護費をもらって狭いアパートに住むのではなく、このように、自分たちで暮らしを作りたい人もいるはずですから。

規模がでかい!

東京の山谷地区に比べると、規模がぜんぜん違います。

山谷はもう「言われないとわからない」レベルにまで変化・融合してしまっていますが、釜ヶ崎は昔の「ドヤ街」の雰囲気が色濃く残っています。

誰でも無条件で使えるシェルターや、貧困状態でも利用できる医療インフラが用意されているなど、「命を守るためのインフラ」も山谷より数段充実している印象を受けます。それはやはり、規模が違うからなのでしょう。

山谷がそうであるように、釜ヶ崎は「日本社会の未来」が凝縮されている場所です

居場所がなく、高齢になり働けなくなった人々が、どのように生きて、亡くなっていくのか。貧困に陥った方々が、よりよく生を全うできるために、何ができるのか。

そして、こうした問いに、何十年も向きあってきた人々がいるという事実。一歩、一歩と歩くたびに、歴史の重みを感じて、思わず吐き気がするような感覚がありました。

ごく短い時間のツアーでしたが、学ぶところは大変に大きかったです。次回訪れるときは、現地で活動するNPOの方々のお話を聞きたいなぁ。

過度に警戒するほどの場所でもありませんが、トラブルが起こるとよくないので、ディープな場所に足を踏み入れるときは案内を付けたほうがベターです。詳しい方と歩いた方が理解も深まりますしね。

いや!ここは面白いじゃないか!

…という、真面目な感じで終わりにしてもいいんですが!

このあたりは「貧困の街」としてだけ認識するのはもったいない、すさまじい魅力があるんですよ!

特に見てほしいのは「動物園前一番街」。ここを見ないのはもったいない!観光地の延長的な場所なので、ここはガイドなしで散策できます。

すごい、ストリートビューが入ってますね。

出典 https://www.google.com

上の画像だとシャッターが閉まってますが、ぼくが訪れたときは、多くの店が開店しており、昭和が凍結したような状態で残っていました

タイムスリップしたような感覚に襲われる、とても印象的な場所です。新世界だけ見て帰るのはもったいないですよ!

なお、商店街を抜けるとやや雰囲気が変わるので、特に女性の一人旅などは「商店街のみ」に止めておくのをおすすめします。

商店街のなかには、ゲストハウスも!

出典 http://cocoyadoya.org

「この雰囲気、アーティストの方にはぴったりだよなぁ」と思って歩いていたら、まさにアーティストが手がけたゲストハウス「ココルーム」がありました。

すご!谷川俊太郎さんも泊まったんですね~。

この場所を作った上田假奈代さんは、書籍も執筆しています。これは読まねば!

釜ヶ崎(日本最大のドヤ街、日雇い労働者の寄せ場)で、「カフェ運営」の形をとって、アートやメディアなどを軸に、ホームレスの詩人やピアニストのマネジメントを行ったり、

若者の就労支援をしたり、野宿のことを考える夜回りや高齢者のアパート管理、やがて直面する孤独死に向き合うなど、ジャンルを越境しながら活動してきた。

行政とともに粘り強く文化政策に関わり、多様な人々の「出会い」と「出会い直し」の場づくりを仕掛け続け、そのなかから生まれた「釜ヶ崎芸術大学」は2014年に横浜トリエンナーレ出場を果たす。

2016年春からは、新事業・ゲストハウス運営が始まった。

出典 https://www.amazon.co.jp

そもそもこのエリアはものすごいカオスで、「徒歩圏」に「あべのハルカス」「新世界」「釜ヶ崎(貧困エリア)」「飛田新地(日本最古の遊郭)」「動物園」があるんですよ。街として強烈すぎるパワーがあるんです。

西成はアートの街になる

ココルームを見て確信しましたが、西成は「アートの街」になりえると思うんですよね

「福祉と貧困の街」という現在の性質を、「アート」というより大きな概念で包摂する。この一帯が持つカオスなエネルギーを調和・発展させるには、アートくらいしか手段がない、とも言えるかもしれません。

その他にも、中国人の方が居酒屋ビジネスをバリバリ広げていたりと、この街を「ビジネスチャンス」として見る動きもあります。バックパッカー需要を狙った激安ホテルも増えていきそうな予感がします。

資本主義の原理と、非営利的な人々の力で、西成も徐々に変わっていくのでしょう。

この街がどのように変化し、人々の命を守り、人間らしい生活をデザインしていくのか。ぼくはここを「アートの街」という視点で見ていきたいなぁ、と思っています。

釜ヶ崎に関する書籍

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