インドネシア、マレーシア、ブルネイという3カ国の領土であるボルネオ島には、野生のオランウータンが生息しています。現在、オランウータンはこのボルネオ島とスマトラ島にしかおらず、密猟の危機により絶滅が心配されている希少動物として知られています。

ボルネオ島は、海や山、そして多くの野生動物など自然好きな人にはたまらないリゾート地としても有名です。ところが、この美しい自然を脅かす存在が。オランウータンの子供を違法で捕まえ、ペットとして高く売ろうという密猟者が後を絶たないのです。

密猟者と森林火災でオランウータンの生活が脅かされている

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1980年代から頻繁に起こるようになったボルネオ島での森林火災。商業目的で熱帯林の森林伐採が進むために、伐採された木々の間に空気が通りやすく乾燥しやすくなってしまうために火が発生するとも言われています。

また、伐採のためにわざを人間によって森林に火を付けられたりすると益々オランウータンの生活の場所が奪われて行きます。自然保護区に指定されていても違法で入り込み、伐採作業を行う業者も後を絶ちません。

そして現在では、エルニーニョ現象による異常気象も少なからず彼らの生活に影響を与えている様子。

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森林伐採や火災に呼応するように、オランウータンを狙う密猟者たちは遠慮なく希少価値であるオランウータンの命を奪います。オランウータンはワシントン条約で取引は違法と定められているものの、闇ルートで高値で売れるペットとして知られているために毎年密猟からの違法輸入が多く、過去に日本のペットショップでもオランウータンが売られていてニュースになったこともありました。

穏やかな環境で平和に暮らしているオランウータンを襲うのはいつも人間ばかり。密猟も森林伐採も全て私たち人間の悪行なのです。密猟者は、母親と一緒にいる子供のオランウータンを捕まえるのが目的なので、子供の前で母親を撃ち殺します。残虐な光景を目の当たりにしたオランウータンの子供を母親から引き離し連れ去るのですが、そのほとんどが旅の途中で死んでしまうという悲しい結果に。

そして子供が輸送途中で息絶えてしまえば、もう金にはならないと密猟者たちは遠慮なく子供も捨て去ります。絶滅が危ぶまれている希少なオランウータンを、なんのリスペクトもなしに残酷に扱う密猟者たちの行為は決して許されるべきものではありません。

目の前で母親を殺され、負傷し、置き去りにされた子供

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このほど、ボルネオ島の「International Anumal Rescue(国際動物レスキュー)」スタッフたちは一匹の小さなオランウータンの子供を保護しました。彼の名前は「ディディク」。母親を撃ち殺した時の銃弾がディディクに当たり負傷してしまったために、密猟者たちは連れ去ることをせずにそのまま置き去りにしたのです。

保護された時には感染症にかかり衰弱し、危険な状態だった

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地元の山林保全課スタッフの目に留まらなければ、恐らくディディクは息絶えた母親の側で死んでいたことでしょう。飢えと恐怖の中で保護されたディディクは重度の栄養失調に陥っており、1歳半という推定年齢からは程遠いほど小さく痩せ細った体をしていたそう。

口を開けて食事をすることもままならないほど衰弱していたディディクに、レスキューチームは懸命の治療と手当てを施しました。

「こんな小さな動物に痛みと悲しみの表情が広がっている」

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自分の目の前で母親を殺されるという光景は、人間だけに限らずオランウータンにとっても深いトラウマとなるに違いありません。ディディクの悲しそうな表情は、その光景が目に焼き付いているからだろうとレスキューメンバーのリーダーでもあり獣医のサンチェズ医師は言います。

「悲しそうな眼を向けるディディクを見ると胸が痛みます。」なぜならば、ディディクの親を殺したのも私たちと同じ人間だから。ディディクにとっては、こうして手当をしてくれているスタッフたちに心を開くということはまだまだ難しいことのようです。

世界中からの寄付を募っています

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保護したオランウータンの子供を救っていくには、やはりそれなりの費用がかかります。レスキュースタッフは、Facebookでも寄付を呼び掛けています。これまでも、既に多くの募金が集まっておりFacebookで感謝の気持ちを伝えると同時に、多くのオランウータンを保護していくにはまだまだ寄付金が足りないという現状にも触れています。

「International Animal Rescue」のFacebookでは、ディディクだけではなく他のオランウータンの子供も紹介しています。思いやりのあるスタッフのもとで懸命に治療や保護を受け、時間はかかっても徐々に立ち直っていくオランウータンを見るのは嬉しいことですが、やはり母親の側で暮らしていた時が彼らにとっては一番幸せだったはず。その幸せを奪っているのは紛れもない私たち人間なのです。

ディディクの悲しみの瞳から、あなたは何を考えさせられますか?

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保護センターには現在も100匹以上のオランウータンが保護されています。ディディクのように母親を殺された子供たちや大人のオランウータンもいます。ディディクはもう二度と母親のもとへ戻ることができません。彼の悲しみが宿る黒い瞳を見ていると人間が動物にする残酷な行為に胸を痛めずにはいられません。

彼らの平和を守りたい

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ディディクがこれから、センターで他の親を失くした子供たちと仲良く平和に育ってくれることだけが願いです。オランウータンの子供たちの寝顔は、私たち人間の子供たちの寝顔と変わりません。平和で自由で愛らしいオランウータンの生活を脅かす密猟者や森林伐採業者に対して、改めて私たちがしなければならないことを考えさせられます。

オランウータンだけでなく、絶滅が心配される動物は他にもたくさん存在します。自然の世界で今なにが起こっているかを今一度認識し、少しでも絶滅危惧種が減るように環境保全に力を入れようと思う人が、この記事を読んで一人でも増えて欲しいと強く願う筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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