記事提供:Doctors Me

医師が解説する医療・健康サイト「Doctors Me」編集部です。
生理痛や冷えなど、私たちにとって腹痛は日常的に起こりやすい症状のひとつですが、その分軽く考えてしまいがちですね。
しかし、その痛みが危険な病気のサインの場合もあるのです。
今回は腹痛が知らせる病気のひとつ・虚血性大腸炎について医師に解説していただきました。

虚血性大腸炎ってどんな病気?

虚血性大腸炎とは大腸に栄養や酸素を与える血管が一時的に詰まることによって起こります。血管が詰まるとその血管が支配している大腸の領域に酸素や栄養が供給されなくなるので、大腸粘膜細胞が壊死します。大腸粘膜が壊死すると、粘膜が剥がれて潰瘍を形成します。

ちなみに虚血性大腸炎の「虚血性」とはどういうこと?

虚血性とは血液が行かなくなるということです。
虚血性大腸炎は狭心症や心筋梗塞に代表される虚血性心疾患、脳梗塞と同じ原理でおこります。

心臓や脳は栄養や酸素を供給する血管はそれぞれ分担する部位が決まっています。そのため、血管が詰まってしまうと分担する部位にダメージを起こします。

一方、大腸は心臓や脳とは血管走行が異なります。
大腸は管腔臓器(管状になっているつくり)です。大腸に栄養や酸素を与える血管は腸間膜(大腸にくっついている膜です)という部分から大腸に流入し、左右に分かれます。つまり、同じ役割を担っている血管が複数存在します。そのためダメージは恒久的ではなく一時的なもので済みます。

虚血性大腸炎の症状はどんなもの?

個人差がありますが、強烈な痛みであることが多いです。

大腸の中でも虚血性大腸炎になりやすい部分があります。
下行結腸と呼ばれる部分です。ひどい場合は下行結腸だけでなく、さらに肛門側のS状結腸にも起こることがあります。そのため、左側腹部から下腹部にかけての腹痛が起こります。(血管が詰まることによる腹痛です。)

多くの場合、お腹が痛み、下痢が起こります。ほどなくして鮮血あるいはそれに近い出血が始まります。
血管が詰まるのは1度だけなのでだんだんと腹痛は治まってきますが、虚血(血が巡らないこと)によって腸管がダメージを受けて潰瘍を作ります。そのため、下血(肛門から血液が排泄されること)は持続します。

一般的には1週間程度で下血も止まります。
潰瘍の程度によって出血する期間には差がありますが、潰瘍は跡形もなく治ることがほとんどです。多くの場合、後遺症は残しません。

しかし重症な場合、潰瘍が治って瘢痕狭窄(はんこんきょうさく)※1する場合もあります。

※1:瘢痕狭窄とは……
瘢痕は「傷跡」、狭窄は「すぼまって狭くなること」を表します。傷跡によって大腸の一部が狭まり、通りが悪くなってしまうことです。

虚血性大腸炎になりやすい人の傾向はある?

虚血性大腸炎の原因は、血管が詰まりやすいことです。
具体的には、動脈硬化や血液を固まりやすくする薬(ピルなど)によって起きます。ピルなどの薬を飲んでいない場合、中年以上に起こりやすいと言われていますが、実際にはこれに当てはまらない10代の人がかかることもあります。

誘因としてあげられるのは便秘くらいで、特別なものはありません。 糖尿病、喫煙などの動脈硬化を起こしうる病気、ピルの内服、便秘がある場合は起こりうる病気として覚えておいた方がよいでしょう。

虚血性大腸炎の治療は?

治療のために、まずは腸管を安静にします。
便が大腸を通過すると腹痛が起きやすく、潰瘍からは出血しやすくなっているので絶食となります。その間は点滴をします。(水を飲むことはできます。)

症状によっては入院となることもあります。狭窄の程度がひどくて通過障害が起こる場合は手術することもあります。

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医師からのアドバイス

虚血性大腸炎は大腸から出血する疾患の中では、比較的軽症な病気です。
治療のために気をつけることは絶食だけで、特に積極的な治療をしなくても下血は自然に止まります。再発することも稀と言われています。

動脈硬化やピルの内服、便秘がある場合は、このような病気があると知っておくといいですね。

(監修:Doctors Me 医師)

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