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2016年第1四半期、ついに営業黒字に転換したマクドナルド。6月15日には285通りもの組み合わせが可能な「裏メニュー」を投入し、ますます攻勢を強めています。はたして完全復活となるのでしょうか。

無料メルマガ『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』の著者でMBAホルダーの安部徹也さんが、劇的な変化を遂げたマクドナルドのマーケティング戦略と財務諸表を分析、同社の今後を占います。

史上初!285通りの裏メニューの投入でマクドナルドは完全復活なるか?

6月15日からマクドナルドに「裏メニュー」が登場しました。

定番のハンバーガーメニューにハラペーニョやクリームチーズソース、スモークベーコンのトッピングをお好みで追加可能で、組み合わせは実に285通りにも上り、自分の好みのハンバーガーを注文できる楽しみが増えたことになります。

裏メニューといえば、吉野家の「つゆだく」や「ねぎぬき」、「頭の大盛」などが有名ですが、根強いファン顧客を獲得するという意味で自分仕様の注文ができることは大きな差別化要因と成り得ます。

厳密にいえば、マクドナルドが今回投入した裏メニューは期間限定であり、吉野家などの常連客に対する裏メニューとは一線を画すものですが、裏メニューという特別感を醸し出すネーミングは絶妙と言わざるを得ません。

今回の裏メニューをマーケティング戦略的に分析すると顧客、マクドナルド双方にとってのメリットが浮き彫りになります。

たとえば、顧客にとっては先ほどもお伝えしたように自分だけのオリジナルメニューを作れるワクワク感や選ぶ楽しみが増えることになります。組み合わせによってはまったく違う商品に変わる可能性もあるのです。

また、仲の良い友達同士で行けば、誰の裏メニューが一番おいしいかという話題で盛り上がることもあるでしょう。

このような顧客のメリットは、取りも直さずマクドナルドのメリットにもつながります

裏メニューの対象はすべての既存メニューに適応されるため、お客様がこれまで食べたことのない商品で裏メニューにチャレンジするなど既存製品の掘り起こしにもなりますし、次はどんな組み合わせにしようかとリピートにもつながります

また、ファーストフードレストランとして食事を提供するだけでなく、楽しい場を提供できれば付加価値は高くなるといえるでしょう。

裏メニューという個別対応も、通常のプラットフォームを活用したマスカスタマイゼーションで対応可能で、比較的簡単に多くの「新商品」を提供できるというメリットを享受できるものの、オペレーションに大きな支障を来すことはありません。

このような背景を勘案すれば、今回の裏メニューキャンペーンはマーケティング的に大きな成功を収めそうな期待が膨らみます。

空振り続きだったマクドナルドのマーケティング戦略に劇的な変化が!

かつて、消費期限切れの鶏肉使用疑惑や異物混入事件で離れた顧客を呼び戻そうと、マクドナルドは様々なマーケティング戦略を実施してきましたが、その多くが空振りに終わっています。

たとえば、2015年2月には「ワールドマックハワイキャンペーン」と銘打って、ハワイにちなんだパイナップルなどの食材を使用した期間限定メニューの提供を開始します。

ただ、2月という寒い時期にハワイキャンペーンを実施しても盛り上がらず、この月は全店売上が前年同月比およそ30%の大幅減に沈むという結果に…。

また、2015年10月にはそれまで人気を博していた昼マックを廃止し、新たに200円バーガーとポテト、ドリンクのセットで500円となる「おてごろマック」を投入。

新メニューが投入される前日の10月25日には200円バーガーの愛称と同じ「エグチ」「バベポ」「ハムタス」と同じ名前の人と同伴者4名限定で新作のハンバーガーが無料で食べられるキャンペーンを展開しましたが、

話題になることもなく
マクドナルドの凋落振りを裏付ける格好となりました。

ところが、今年に入り、マクドナルドのマーケティングは質的に劇的な変化を遂げ、ヒットし続けています。

目立つものを挙げれば、2月に実施したマクドナルドとしては初の試みである「名前募集バーガー」

新バーガーの名前公募には500万件を超える応募があり、大変な賑わいを見せました。また、4月には人気の定番メニューであるビックマックをそのまま巨大化させた「グランドビックマック」と「ギガビックマック」を期間限定で発売します。

4月下旬までの販売予定でしたが、あまりにも売れ過ぎて予定していた限定数量に早期に達し、わずか1週間で販売終了の店舗が相次ぐほどの人気振りでした。

最近では、あれほど続いていたネガティブなニュースは影を潜め、マクドナルド復活の印象が高まってきているのです。

復活の兆しが如実に現れているマクドナルドの財務諸表

それでは続いて、実際に具体的な数字でマクドナルドの復活を検証していくことにしましょう。

まずは既存店の月次の売り上げ状況から見ていくことにしましょう。

前年は異物混入事件で急速に顧客の足が遠のいたという特殊事情があるものの、今年に入って全店の前年同月比の売上高は1月35.0%、2月29.4%、3月18.3%、4月19.1%、5月21.3%と毎月大幅な増加を記録しています。

この回復基調は決算書にも如実に表れ、5月に発表された2016年12月期第1四半期の決算状況では売上高が前年同期比27.7%増の522億円、営業利益が100億円の赤字から1.5億円の黒字へ。

また経常利益は111億円の大幅な赤字から1.3億円の赤字に大きな改善が見られます。

また、経常段階で赤字に転落した原因を分析しても不採算店舗の撤退によるものであり、いわば将来の黒字化のための赤字であり、どちらかといえば前向きな赤字ということができるでしょう。

また、財務体質においても、一定の改善が見受けられます。現金残高が前年同期比50億弱減少していますが、短期借入金50億円を返済しており、安全性を示す流動比率は83.2%から101.2%へ大幅に上昇しています。

この流動比率が100%を割り込むということは短期的な負債を短期的な資産で返済できないということであり、安全性に著しい問題が発生するということにつながりますが、マクドナルドはその危機的な状況をようやく脱したということになります。

加えて、長期借入金を前年同期の181億円から295億円へ114億円上積みし、長期の安定的な資金調達も行っています。

マクドナルドの経営はまだまだ予断を許しませんが、このように直近の財務諸表を分析する限りは復活に向けて着実に歩みを進めているといえるでしょう。

果たして、今回の裏メニューの投入で、2016年12月期の第2四半期は最終黒字を達成できるのか?今後のマクドナルドの発表に注目したいと思います。

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