世界中に激震が走った英国のEU離脱

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もう、ニュースで目にした方も多いでしょう。今月23日に、英国は31年間の歴史に幕を閉じ、EUからの離脱という「インディペンデント・デー(独立記念日)」となる大革命を起こしました。

残るか、出るか。

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23日に行われた投票に、筆者の周りのイギリス人は全員投票に参加。そのほとんどが「残留」希望者でした。筆者の相方も残留を希望していたため、投票結果にはかなりショックを受けたようです。ほんの数パーセントという差で英国はEUを離脱することとなりました。

地域別で見るとこのような結果に

黄色がRemain(残留)、青色がLeave(離脱)のチャート表で見てみると、どのエリアによって残留を強く希望していたかがわかります。非常に興味深いのは、スコットランド地域。スコットランドはイングランドからの独立を強く望んでいる人が多く、前回の投票では「スコットランド、いよいよ独立か⁉」と話題になりましたが、結果、独立は叶いませんでした。

そんなスコットランドなので、このほどもEUからの独立を望んでいたのかというとそれはまた別問題だったようです。スコットランドとイングランドの間には歴史的確執があったために独立を望む人も多かったようですが、EUからの離脱となってしまうとメリットが少ないと考える人が多かった様子。

同じUK内のイングランドからは独立したくても、EUからは離脱したくなかったというスコットランドがほんの少し皮肉にも思えます。ところが、今回もまたスコットランドの人々の願いは叶わず、UKはEU離脱=Brexit(BritainのExit)となってしまいました。

イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドのエリア別の投票結果。南側に住む人の方が離脱を望む声が強かったのがわかります。

キャメロン首相は辞意を表明

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残留を強く望んでいたキャメロン首相は、このほど辞意を表明。涙ながらに声明を発表するキャメロン首相の姿は印象的でした。保守派として英国を支えて来た彼ですが何かとEU諸国のメリットを得ていた部分も多かっただけに、今回の結果にはかなり衝撃を受けたようです。10月からの首相は既に決まっているようですが、残留派にとっては「とんでもない人物」のようで、新たな問題を引き起こしそうな予感も。

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次期首相の可能性が高いといわれるボリス・ジョンソン氏。

残留派の意見を聞いてみた

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幸い、この歴史的瞬間の様子をイギリス国内で経験することができた筆者。周りの「残留派」に意見を聞いてみたところ、「今後の経済的負担が大きすぎる」という理由が最も大きかったようです。

英国はEUに加入しているからこそ、英国内の街や産業開発に必要な資金をEUから援助してもらってきました。その代わりといっては何ですが、福利厚生がしっかりしている英国にEU諸国の人が住みたがり多くの移民が英国に移住してくるようになったという事実もあり、いわば持ちつ持たれつの「いとこ」のような関係を築いていたといってもいいでしょう。

「子供たちの将来を考えると残留がベスト」という人も

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英国で仕事を見つけ家庭を持ち子供を育てていくということがこの31年間当たり前のようになっていたEU諸国から移住して来た人々。

そんな人たちと家族となった英国人にとっては、これからのグローバル化を考えると自然の流れのように感じる人も多く、将来の子供たちにとってより住みやすい国であるためには、英国を「国際化」することの方に重要性があると考える人が、今回残留派に多かったようです。

では、離脱を希望した人たちの意見は?

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経済的負担が多くかかってくるという認識はあるものの、今回離脱を希望した市民の多くは英国を「国際化」よりも「国営化」したいと願う人が多かったようです。簡単に言うと、「英国ならではの文化や伝統がこれ以上移民が入り込むことによって崩されては困る」と考える人が離脱を希望していた理由。

エリアによっても異なりますが、今回の投票は世代によっても大きな差が生じていたようです。これからの将来を考える若年層は「残留派」、若年層の両親世代は「離脱派」を望んでいる人が多く、一つの家族の中でも「自分(20代の大学生)以外はみんな離脱派です」という声もありました。

世代によっては現状にいっぱいいっぱいと思う人も

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英国がEUに加入してから、31年の年月が過ぎたわけですがその間、ヨーロッパの様々な国が加入し、今では英国含め28カ国となっています。

一昔前は、先進国のトップとしても知られているフランスやドイツ、ベルギーなどの国のみがEU加盟国となっていましたが、現在ではハンガリー、ポーランド、ルーマニアなど経済的に不安定な状態のヨーロッパ諸国も加入するようになり、そのほとんどがイギリスへ流れてくるようになったのです。

彼らにとっては、経済的に足元がおぼつかない自国で仕事を見つけるよりも、EUに加入したことで自由に英国に出入りできるというメリットを見逃すはずもありません。更に福利厚生が充実しているとあれば、イギリスで生活する方がいいと思うのは当然のこと。

「互いに助け合っている」という意識を持つ人もいれば「このままでは英国が移民に占領されてしまう」と懸念する人もあり、そんな人々の気持ちが今回の投票の結果に反映されたのではないでしょうか。

自国のEU残留をサポートしている割合は、国によってこんなに違う

イギリスには多くのポーランド人が移住しています。筆者の友人もポーランド人。英国で仕事をみつけ家族を持ち定住しています。投票前の前日に、相方の知り合いのポーランド人は泣いていました。「英国に歓迎されていないことを知るのは辛い」と。

英国に住んでおり、今回の投票結果を知ったEU諸国の人たちは「EU離脱が決定すれば、私たちはもう英国にはいてはいけないの?いるべきではないの?」と悲しむ人が多く、それは子供たちにまで精神的な影響を与えている様子。

EU諸国の人々にとっては今回の結果は心が折れる衝撃度

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筆者は日本からの移住なので、EU諸国の人とはまた違った視点で今回の投票結果を感じていますが、多くのEU諸国から来て英国に住んでいる人たちにとっては今回のEU離脱はまさに心が折れる衝撃度といっても過言ではありません。

ある女性は「イギリスとフレンチジャーマンのハーフの息子が、今朝の投票結果を見て部屋で泣いていた」とメディアに投稿。「自分はイギリス人だけど、義理の妹や親戚がEU諸国の人なんだ。これからどうなるんだろう。」という不安と悲しみを声にする人も。

英国にとっては大革命となったわけですが、この影響で「海外旅行に行く値段が上がる」「失業率が上がる」「輸入商品の値上がりは避けられない」など様々な問題が生じてくるのはもちろんのこと、遠く離れた日本も英国とのビジネスの取引は多く今後、多大なる影響を受けそうです。この革命により、ポンドが99円にまで暴落したというのはショッキングなニュースを耳にした人もいるでしょう。

株価だけでなく将来全てのことが崩壊に繋がってしまう可能性があるのでは、と心配の声も多く寄せられています。「離脱派」がどのようにそれを覆していく力を見せてくれるかは首相となる人物の力量次第ですが、今はまだ何ともいえません。

「英国離脱なんて、冗談でしょ⁉」

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更に衝撃的なのが、投票結果から一夜明けると「離脱って投票したけど今は後悔している」という人が多いこと。自国のこと、今後のヨーロッパとの関係などをじっくり考えて投票したのではなかったのか、と筆者からしたら言いたいところ。

ツイッターにも「今一番後悔してるのは、離脱投票したことかな」という後悔ツイートが続々と寄せられいるという現状。結果が出た以上、もう引き返せないのです。

ロンドンでは59.9%が「残留」を希望していた

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投票結果によると、国際都市ロンドンでは59.9%が残留派でした。筆者としてはもっと多いのかと思っていたので意外でしたが、現在、オンライン上の署名運動が広がっています。それも「ロンドンを独立させてEUに加入させよう!」というものなのですが、残留派のデスパレートな思いは既に300万人以上の署名を集めている様子。

そしてこの署名運動を始めた男性は「離脱派」だったというから呆れてものが言えません。ツイッターで後悔を呟く人もいるほどですから、実際に「離脱」という結果になったことで慌てふためいている人たちが大勢いるのでしょう。普通に考えて「ロンドンの独立」はあり得ないことだとは思いますが、今更の署名の多さに驚かされます。

また、国内ではEU諸国の人によるデモやキャンペーンが行われています。結果は結果。もうどうにもならないのですが、血まみれの姿で「冗談でしょ⁉」「これからの私たちはどうなるの⁉」とプラカードを掲げている人たちのデスパレートな気持ちと悲しみが伝わってくるようです。

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EU諸国から英国に移住している人にとっては、ここはもう第二の故郷も同じだったに違いありません。ところが今になって「離脱」表明。それだけ英国民は自分たちを歓迎していないのかと悲しみを表す人たちは少なくなく、「追い出される気持ちにさせられるほど、私たちは何をした?」と訴える人も。

「I want to be with eYou(EU)」とメッセージが書かれたプラカードを持ってデモをする女性たちの姿もありました。これからいろいろな意味で、影響が出ると思われる英国。今回の離脱表明はあくまでも革命の第一歩。

明日、明後日にすぐ離脱とはなりませんがこれから数年間に起こるであろう出来事は、英国民だけでなく世界中の人々に衝撃を与え大きな影響を及ぼすことになることは間違いなさそうです。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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