あれは10年以上も前のこと。著者名は失念したが、麻雀についての書籍を読んでいると、興味深い著述を見つけたことがある。それが、人間の持つ“運”にまつわる話だ。

ちょっとオカルトめいた話なんだけど、確か「人間の生まれ持った運の量はあらかじめ決まっている」というような話だったはずだ。で、この運の量は、とんでもない幸運が巡ったり、逆に九死に一生を得るような奇跡めいたできごとに遭遇すると、その分ガッツリ減るというのである。

この書籍では、平凡ながらそれなりに不自由なく暮らしていた人が、大型宝くじで1等を当てた途端、大金が転がり込んだこと以外は全ての物事が不運続きになったという事例が紹介されていた。こういう話って、意外と日本中どこにでも存在するような気がする。

そういえば僕の地元宮崎県でも、以前宝くじで1000万円当選した一家がいた。金額的にはそこまでの大金ではないのに、何故かこの一家、その後まさに没落するという表現が相応しい不運続きになったのだ。記憶に残る限り書き出してみたい。

宝くじで高額当選!これを境に転落した一家

この一家が宝くじで1000万円を引き当てた当時、僕は高校生ぐらいで、話題になったその一家のことも知っていたため、羨ましく思えたものだ。

なにせ当時僕の家は、あばら屋のようなみすぼらしいもので、当然お小遣いもなかった。そこでミスタードーナツでアルバイトをしていたんだけど、ちょうどその時期に飲茶の中に陶器の欠片が混入するという混入トラブルが明るみとなり客足が減った。

正直あんまり仕事に真面目でもなかった僕は、それでシフトを減らされてしまい、そんな中で大金を引き当てた一家が近所にいるということで、非常に悔しい思いもした。

さて件の一家、3世代が同居する家庭で、そもそも持ち家だったこともあって、当選金は家のリフォームに充てたようだ。当人たちは当選の事実は隠していたんだけども、いかんせん宝くじを買ったタバコ屋の主人にだけは「おたくで買った宝くじ、当たったよ!」と漏らしてしまった。

するとこのタバコ屋の主人、「高額当選、この売り場で出ました!」と描いた自作の看板を掲げたのである。当然、野次馬は「何所の誰が、幾ら当てたんだ!」と詰問する。

ご丁寧にも、件の一家の持ち家は、既に改築に取り掛かっていた。タバコ屋の主人が言及しようとしまいと、誰もが「ああ、あの家か」と察した。

高額当選した一家に、何故か降りかかる不幸

ほどなくして、一家には近所から、あるいは遠い親戚からの無心がはじまった。たかが1000万円。しかも改築で使っているというのにである。

断ればその都度「人でなし!」と罵られ、一家は徐々に周囲に敵視されるようになった。そんな中、家は無事にリフォームが完了したが、その直後、家族に不幸が訪れる。病気や事故によって、一気に何人も入院する羽目になったのだ。

また、この家の当時20歳になったばかりの長男坊が、突然言葉を発せなくなる奇病を患った。ストレスが原因らしいが、詳しいことは分からない。

改築したばかりの家は、入院する人間が続出したことで管理もおざなりとなった。家は人が住まないとすぐにガタが来ると言うが、庭に雑草が生い茂り、締めっぱなしのカーテンは日光で変色し、1年もしないうちに、不気味な屋敷になってしまった。

人並みの幸せこそが一番の贅沢なのかも

一昨年、実家に帰省した折に散歩がてら、この家のあった付近をうろついてみた。直接現状を見ることはなかったけど、道中で出会った知人曰く、現在も家は健在ながら、見た目はまさにゴミ屋敷なのだとか。なぜゴミ屋敷なのかと聞くと、知人はこう答えた。

「なぜって……あの家の長男、家族全員追い出して引きこもってるんだよ。その長男、ゴミ出しのルールも分からないから、もう10年以上も家にゴミを溜め続けてるんだ」

何故高額当選すると不幸になるのか。それは、運を使い切ったことによって生じる副作用なのか。それとも、高額当選した事実を明かし、これによって人々からネガティブな印象を抱かれることで生じる恨みの力なのか。僕には判断が付かない。

しかし、高額当選した以上は、絶対に他言しないことで、少なくとも後者についてのリスクは避けることができるのかも知れない。

(文/松本ミゾレ)

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