近年、よく聞くようになった「ミニマリズム」という言葉。読者の方で実行している人もいるかも知れませんね。ミニマルというのは最小限の、という意味なのでミニマリズムは形態や色彩を最小限に抑えた思想で、それを暮らしの中で実行している人のことをミニマリストと呼んでいます。

元々、60年代のアメリカで音楽やアートを中心に生まれたものがファッションへと繋がり、やがては人々のライフスタイルに影響するようになったのです。

「物を持たない暮らし」

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「物が溢れる日本」という表現をよく耳にします。日本だけではなく先進国のほとんどが、技術の発達により便利性を当たり前のものとし次から次へとものが生産されていく時代になりました。そんな中であなたは「本当に暮らしに必要なものはなんだろう」とふと考えてみたことがあるでしょうか。

考えることがあっても、きっと日常生活の便利さに慣れてしまっている私たちは今更わざわざ不便な生活をしたいとは思わないでしょう。でも、不便な生活というのではなく「物を持たない必要最小限の暮らしを楽しいと思う」ことがミニマリストの精神。今回はそれを日々の暮らしに取り入れている1人の男性をご紹介しましょう。

ミニマリスト歴1年半にして、今や究極のミニマリスト

出典 https://www.youtube.com

きっと、テレビや雑誌などで知っているという方も多いのではないでしょうか。出版社に勤務している佐々木典士さん(36歳)は、1年半ほど前までは職業柄大量の本やDVD、CD、写真などに囲まれた「物に溢れた」生活をしていたそう。写真が趣味ということもあり、高価なカメラをいくつも集めていた佐々木さん。

多忙な日々で、物に溢れた部屋を掃除する暇もなくどんどん部屋が荒れていったのだとか。「物がたくさんあっても、また欲しくなる」気持ちが常に佐々木さんの中にあったそうです。

スティーブ・ジョブス氏に感銘を受けた

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ある日、アップル社の創始者であった故スティーブ・ジョブス氏の生き方や思想に強く惹かれたことをきっかけに「自分もやってみよう」とミニマリストへの道を歩み出したのだそう。1年かけて断捨離をし、本当に必要なものだけで暮らす生活をし始めた佐々木さんは、ミニマリストになってみてこれまで見えなかったことが見えるようになったと話しています。

「本当に大切なことに時間を使える」

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佐々木さんは、衣料も日用品も本当にごくわずかに揃えています。一人暮らしの部屋もソファやテーブル、ベッドもなく、まるで誰かが引っ越して行った後のようなシンプルな空間が広がるだけ。

同じシャツを3枚、ズボンも3枚という程度ですが「何を着るか悩む時間がなくなるのでその分の時間をもっと大切なことに使える」と気付いたのだという佐々木さん。とはいえ、少ない持ち物は全て上質。まさに「simple is the best」のライフスタイルを送っているのです。

食事もいたってシンプル。炊飯器がないためにご飯を食べないことにより、痩せてよりヘルシーになったそう。「何もない部屋で暮らしていると、食べること、寝ること、屋根のある家に住めることに感謝するようになる」と佐々木さんは言います。

物がたくさんある生活では、いろんなところに私たちの好奇心や関心が行ってしまうので、本当に大切なことというのはなかなか目には見えてこないもの。でもミニマルな生活は、そのシンプルさがどれだけ人の基本精神を支えているかということを実感することができるのです。

人が探し物に費やす時間は年間90時間

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1日平均15分。年間にして90時間もの時間を私たちは「物を探す時間」に費やしているそう。でも、物が周りにない佐々木さんのようなミニマリストたちは、この90時間を有意義に過ごすことができるのです。そう考えると「ミニマルな暮らしも悪くないかも」と思ってしまいますよね。

今では「究極のミニマリスト」とテレビでも話題になっている佐々木さんですが、「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」という本まで出版。その売り上げは16万部以上という人気に。入る印税も相当なものですが、なんと佐々木さんは印税を寄付しているのだそう。

佐々木さんのミニマリズム思考は日本でも主婦層などに広がっていますが、海外でも話題になっています。欧米から見た日本の家の印象は「間取りが細かく分かれてあり、部屋には何かとこまごましたものが置かれてある」というものだそう。

確かにお菓子の一つ一つを包み紙で包む文化の国、日本。外国人はその丁寧さや細やかさがとても印象に残るようですから、部屋にも「ちょこちょこ」と何か置いてあるというイメージがあるのでしょう。

「でも、ちょっと待った!日本はあのMUJIを生んだ国」

What is MUJI
by bentsai81@ymail.com

海外から見ると、物に溢れたイメージが国全体にある日本ですが「ミニマリズム」を考えた時に「そうだった、日本はあのMUJIを生んだ国だった!」と気付くようです。シンプルで良質の無印良品は海外でも大人気。

「MUJIを開発した国だからこそ、究極のミニマリストも生まれるのだ」と海外のメディアでは「日本にこそ真のミニマリストはいる」と述べています。そしてそれを見習うべきだと。なぜならば、その精神は「禅」へと繋がっているからだと。

しかし、そのあとにちょっと皮肉も…

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日本の究極のミニマリストを褒めちぎる海外のメディアですが、その後に「日用品や衣服をどれだけ少なくしても、パソコンやタブレット、スマホは決して手放さない。それがテクノロジーの国に生きる日本人だ」ともチクリ。

出版社勤務の佐々木さんは、これまで大量に持っていた本を処分し、今ではパソコンやタブレットで電子小説などを読みビデオも音楽も見ているそう。確かにPCが一台あるだけで生活は驚くほど便利になりますよね。さすがのミニマリストもそれを手放してしまうと、社会人として現代文明の中では生きてはいけないというのが事実ですから。

出典 YouTube

佐々木さんは、「街を間取りとして考える」という非常に興味深い発言をしています。ソファに座ってコーヒーが飲みたければ街にはカフェがあるし、本を手に取って読みたければ図書館へも行ける。便利性は街に溢れているのだから、自分の空間はそれに呼応しなくてもシンプルのままで何不自由ない、という佐々木さん。

あなたにとって「クオリティ・オブ・ライフ」とは?

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ミニマリストがブームの世の中ですが、何を良質の人生と思うかは人それぞれ。自分にとって一番合うライフスタイルを見つけることが幸せに繋がると筆者は思っています。実は筆者の相方も相当なミニマリスト。不要なものを一切持たない人なので、物に溢れた生活をしている筆者とは正反対。

お金を払ってホリデーに行くなら「モンゴルの大草原でテントを張って寝たい」という相方と「同じお金を払うなら贅沢なホテルでゆっくり過ごしたい」と思う筆者。結局、自分にとっての「クオリティ・オブ・ライフ」をベストだと思う人は、どんな生き方をしていても自分に自信を持ち豊かな感性で暮らしているのではないでしょうか。

佐々木さんがインタビューで述べた「自己肯定感」を得ることができる人は、毎日の人生を充実させているに違いありません。そんなライフスタイルって素敵ですね。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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