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なぜトヨタが5年も法人税を払わずに済んだのか、もう一度説明しよう」の記事中で、トヨタの「日本経済に対する罪」を暴いた元国税調査官で作家の大村大次郎さんですが、「実はトヨタはそれ以上の大きな罪を犯している」と言います。

ご自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で語られているその大罪とは?

トヨタの罪~トヨタの賃金抑制がデフレを引き起こした~

トヨタが税金で優遇されてきた事は、4月号でご紹介しました。

なぜトヨタが5年も法人税を払わずに済んだのか、もう一度説明しよう

が、トヨタの日本経済に対する「罪」はこれだけではありません。というより、トヨタはもっと大きな罪を犯しているのです。それは、「賃金抑制」という罪です。

トヨタは、昨今非常に景気がいいのですが、この15年間のうち、ベースアップしたのは、わずか7年だけなのです。特に2003年から2005年までの5年間、ベースアップをまったくしなかった罪は大きいといえます。

トヨタは2004年に過去最高収益を上げています。にもかかわらず、ベースアップがなかったのです。また2015年は、円安などによる好業績のため、史上最高額4,000円のベースアップをしたとして話題になりました。

が、4,000円という額は、賃金の1.1%程度に過ぎません。ということは、消費税アップ分には、ほど遠いということです。つまり、従業員側から見れば、実質的には減収となっているのです。

その一方で株主には厚い配当

ところで、トヨタは、この十数年間、毎年、1,000億円から6,000億円もの配当を支払っています。ベースアップがなかった年でさえ、約3,000億円の配当金を支払っているのです。

7万人の従業員に対して、1,000円のベースアップするためには、わずか8億円ちょっとの支出でいいのです。つまり、トヨタは、8億円の支出さえ渋ってきたのです。

従業員に1万円のベースアップをしても、80億円ちょっとで済みます。毎年、数千億円の配当を支払ってきた企業体力からすれば、毎年80億円の支出などわけはないはずです。

株主に対しては、毎年、毎年、数千億円の配当金を支払っているにもかかわらず、従業員の賃金に対しては、数億円の支出さえ渋る、どれだけケチな会社か、ということです。

近年のトヨタは株主だけを大事にし、従業員を大事にしてきませんでした。そして、この従業員に対しての渋さが、回り回ってトヨタ自身の首を絞めることになるのです。

そして日本中の企業が人件費を削減した

トヨタが賃金を抑制するようになったことは、日本経済に大きな影響を与えました。

ご存知のようにトヨタは日本最大の企業です。トヨタの賃金政策は、そのまま全国の日本企業に波及します。「トヨタがベースアップしないなら、うちもベースアップしなくていい」ということになるのです。

特に、史上最高収益を出した2004年前後でさえ、ベースアップをしなかったということは、労働界に大きな衝撃を与えました。

トヨタのような好業績の企業でさえ、ベースアップしなかったということは、業績がそれほどよくない企業は、まったくベースアップをしないし、業績が悪い企業は、大手を振って賃金を下げることになります。

その結果、日本経済はどうなったでしょうか?賃金が下がりっぱなしとなったのです。

この十数年間、サラリーマンの平均年収は見事なほど下がり続けています。この1、2年は、アベノミクス等で、若干、持ち直してはいますが、これまで下がった分をペイするにはほど遠いのです。

そして、賃金が下がり続けたことによって、日本社会には様々な弊害が起きることになったのです。

トヨタは有り余るほど金を貯めこんでいる

トヨタが金を持っていないのであれば、従業員の賃金を渋ったり、雇用を増やさないのも、理解できない事ではありません。バブル崩壊後の長引く不況で、トヨタの懐事情が悪化し、「ない袖は振れない」というのであれば、仕方がないことだともいえます。

では、実際、トヨタは金を持っていないのでしょうか?答えはノーです。

持っていないどころか、有り余るほどの金を持っているのです。トヨタの利益剰余金は、2015年3月末現在で、約15兆6,000億円です。利益剰余金というのは、企業が配当をした後に残った利益の総額のことです。

トヨタが、高額の配当をしてきたことは前述しましたが、トヨタは高額の配当をしていながらも、社内に十二分に金を残してきたのです。

この利益剰余金は内部留保金とも言われます(厳密には少し違いますが)。内部留保金は、設備投資などにも充てられるので、企業にとってはある程度必要な金額ではあります。

また内部留保金が設備投資に充てられているのであれば、儲けたお金を社外に使っているということであり、それなりに経済貢献をしているといえます。

つまり、内部留保金に見合うだけの設備投資を行っているのであれば、それなりに許せるといえます。

が、トヨタは、内部留保金のほとんどを設備投資などに使わず、社内にため込んでいるのです。

トヨタの2015年3月時点で、現金預金、金融債権は、約17兆9,000億円です。これを見れば、内部留保金のほとんどは、現金、預金、金融債権になっており、会社に残っているということです。

しかも、トヨタの内部留保金というのは、ずっと増加し続けているのです。法人税を払っていなかった5年間の間も、内部留保金を増大させており、減ったのは2009年3月期のみなのです。

バブル崩壊後、人件費をけちったのがデフレの要因

バブル崩壊後のトヨタというのは、非常に極端な方向に傾いてきました。株主ばかりを極端に厚遇し、社員の給料はあげず、リストラなどを敢行するなどしてきたのです。

そして人件費を削って配当に回したり、内部留保を貯めるというような愚かな事を普通にやってきました。それは日本全体の企業に波及しました。

それが結局、日本の閉塞感を招いたのです。

日本はデフレが続いています。資本主義経済のもとでは、経済成長していれば、当然、物価が上がることになっています。

しかし、日本では物価が下がっているのです。それが、日本経済がなかなか浮揚しない理由だとされています。デフレに関するニュース解説などでは、「デフレになると経済が収縮するので給料が下がる」というようなことをよく言われます。

サラリーマンの給料が下がるのも、そのせいだと言われています。

しかしちゃんとデータを見れば、それはまったく間違っていることがわかります。というのも、平均給料は平成9年をピークに下がりはじめていますが、物価が下がり始めたのは平成10年です。つまり給料の方が早く下がり始めたのです。

これをみると、デフレになったから給料が下がったという解釈は、明らかに無理があります。現在の日本のデフレの最大の要因は、賃金の低下と捉えるのが自然でしょう。

給料が下がったので消費が冷え、その結果物価がさがったというのが、ごく当然の解釈になるはずです。

バブル崩壊以降、トヨタをはじめとした財界は「国際競争力のため」という御旗を掲げ、賃金の切り下げやリストラを続けてきました。

また正規雇用を減らし、収入の不安定な非正規雇用を激増させてきました。その結果、消費の低下を招き、デフレを引き起こしたのです。

大げさに言うならば、トヨタが人件費をけちってきたのが、日本にデフレを招いたということです。

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