記事提供:デイリーニュースオンライン

最近は、昔はやった1品270~280円均一タイプのチェーン系居酒屋が減少していることからおわかりのように、安売り系の居酒屋が苦戦するようになってきました。なぜでしょう?

理由としては、「メニューのマンネリ化」や「あまり美味しくない」が挙げられますが、安い売値なのでかけることのできる材料費が限られていたり、チェーン展開ゆえにメニュー変更のタイミングで機動力に欠けたり、

店舗現場での設備や調理スタッフのスキルの関係上セントラルキッチンでつくれるものや外部調達で加工されたものしか使えなかったり――等々により、「飽きられやすい」店舗になってしまったことが考えられます。

そして、今はSNS時代でもあり、人に自慢できるお店に行きたがる傾向もみられます。

デートや友達・後輩を連れて行くとき、自分が幹事を任されるとき、「なんだ~、チェーンの安い居酒屋か~」と言われてしまうのを避けたい気持ちもあるでしょう。

安売りチェーン店を使うのは「無難なとき」となってしまい、能動的には選ばれない後順位の位置づけの店となってしまいます。

・費用の割合に一応の目安

しかし、ちょっと背伸びしていいお店を使う時もありますが、日常のなかで手軽に使える激安店は庶民の味方として、まだまだニーズはあるはずです。

激安店のなかでも突き抜けた金額で、さらにお店の個性や楽しさまであれば、必要とされる繁盛店になる可能性は十分にあると思います。

たとえば、「1品100円均一居酒屋」なんてどうでしょう?実はすでに存在しているのですが、このタイプのお店のポイントはメニュー(フード・ドリンク)の原価計算にあります。

通常の飲食店には、売上に対してかける費用の割合に一応の目安があります。

材料費30%、人件費30%、家賃管理費10%、光熱消耗雑費10%、初期費用の償却・ローンの返済10%で、残利益10%。この目安をベースに、各項目をずらしながら業態のなかで個性を強調しよう、他店と差別化を図ろうとします。

もし、100円均一居酒屋をつくろうと思ったら、材料費は100円×30%=30円でつくることを考えます。

ですが、ちょっと難しいかな、もうちょっとメニュー幅を広げるためにお金をかけたほうがいいかなと思ったら、40%で計算して1品40円でメニューを考えていきます。

しかし、材料費が10%増えて40%となると、残利益分の10%がすべてなくなってしまうので、他の部分を削って利益を確保しなくてはなりません。

・1皿40円でメニューはつくれるのか?

そこで今回は人件費を削ることを想定し、「立ち飲みスタイル、セルフサービス」のお店を想定してみます。

1皿40円でメニューはつくれるのでしょうか?

近所の大きめのスーパーに行ってみましょう。

食品には「100グラム当たり98円で200グラムだから196円」というような表示がされていると思います。今回は「100グラム当たりいくらか?」が大事です。そこで、100グラム100円以下で買えるものを探してみましょう。

業務用スーパーや下町の安いスーパー以外の普通の店舗にも、100グラム100円以下で買えるものが結構あることに気づくはずです。

鶏肉、豚肉、牛肉の一部、野菜の一部や、魚介類の一部、季節のもの、お米やパスタなど、いろいろあります。これらを使ってメニューを組み立てて調理し、100グラム100円以下の材料を意識すれば、平均すると100グラム80円くらいで1品ができます。

次は「ポーション」。提供する料理の1皿の量ですが、50グラム/皿にしましょう。売値100円ですので小鉢や小皿料理くらいのサイズです。

もちろん、原価=材料費によって、多少ずらすのは「売り方」のテクニックです。あくまで50グラム/皿は基準線・目安として。

ちなみにみなさんが普段食べているランチは、平均300~350グラムくらい(メインのおかずは150~200グラム設定、付け合わせやライス、サラダで150グラムくらい)ですので、50グラム/皿平均なら、6~7品食べれば食事としても利用できます。

これで、600~700円の支払いのお店です。好きなものを好きなだけの「回転寿司」にもイメージは近いです。

そして、ドリンクですが、これも「1杯40円」のコストでメニューとして何が用意できるかを考えます。

オペレーション上、できるだけ同じグラスを使いたいのですが、生ビールのような原価が高いものは、グラスのサイズを変えたり、生ビールではなく発泡酒を使ったりします。

生ビールだけ売値を+50円や+100円にするかもしれません。

BOX型ワイン(3リットル)や日本酒(純米酒2リットル)の安いものは、スーパーでも100ccあたり40~50円くらいで売っています。半合(90cc)100円売りだと、原価率40%くらいの目安となります。

ハイボールをつくるウイスキーは業務なので大きいサイズの仕入をしたとして、4リットル4000円くらいで買えることでしょう(ブラックニッカやサントリーウイスキーレッド等)。

この場合、1円/ccですから、30ccで約30円/杯です。ソーダで割って、基準線である1杯約40円。焼酎・サワーもこの範疇となります。ソフトドリンクなんて大歓迎商品です。

・商売として成り立つ条件

今回はセルフ式の立ち飲み屋ですが、実際のイメージは、料理の提供カウンター(場所)にラップをかけた料理を並べて置き(料理によっては保温や冷蔵ケースも利用)、お客さんが自分で自由に好きなものを選べるようなお店となります。

学食・社食・カフェテリアでおなじみのスタイルです。トレイの上に好きな小鉢・小皿を乗せて最後にお会計、お会計に近い場所がドリンクのオーダーコーナー。

お会計が済んだら立ち飲みコーナーへ。

着席ではない立ち飲みですから、隣の人たちと合流したり、新しい出逢いが生まれたりするかもしれませんし、何回か通っていると常連さん同士の憩いの場にもなったりする可能性もあります。

高齢化社会に向けて貢献できる可能性も高いです。

最後に採算性ですが、以下の条件が揃えば、商売として成り立つと思われます。

・1坪当たり1万5,000円以下の家賃で15坪くらい、立ち飲みキャパ40名くらい
・材料費率40~45%設定
・常設スタッフ1名+調理アルバイト2名体制(時給1000~1200円・家庭料理をつくることができればOK)
・夜だけ7時間営業(16:00~23:00)
・週1定休日
・客単価800円(フードとドリンクで8品)
・初期投資のイメージは約360万円(売上の5%×2年半で回収、居抜き物件)
・1日3回転(40名×3回転=120名)

上記条件のなかで採算性のポイントは「3回転」です。その点では、ちょっと前によくマスコミで取り上げられていた「俺のフレンチ」に近いビジネスモデルです。

今回の100円均一居酒屋のからくりは極端なケースでご紹介しましたが、自分の理想や戦略、他店との差別化の意識で、150円や200円均一でもいいでしょうし、提供するものに少しテーマ性を持たせてもいいでしょう。

もしかしたら客単価が上がったり、家賃が今回の設定よりも安かったり、自分も現場で少し働いてサポートしたりすれば、3回転の必要もありません。

基準線だけ意識していれば、あとは「ずらし」でいろいろな飲食店をつくることができます。

この記事を見て、挑戦する人が出ることを願いたいです。

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