世界でHIV感染率1位のスワジランド

Swaziland flag
by Cedric Duchamp

アフリカ南部に位置するスワジランドは、四国より少し小さめの国土に125万人ほどが生活しています。豊かな土地と温暖な気候に恵まれているこの国は貧困率が63%で若年層の失業率も42%と高く、貧富の差が非常に激しいために一般国民の3人に1人は食料が保障されない極めて貧しい状況です。

スワジランドで失業率が高い理由の一つにHIV問題があります。この国は世界で最もHIV感染率が高い国として知られ、妊婦の40%以上がHIVを発病しているという深刻な状態。そのために現在、10万人以上の子供がエイズ孤児となっているのです。

スワジランドでは他国に多い心臓病や脳梗塞、悪性腫瘍などが原因で死ぬ人はわずか5%以下ですが、HIV感染によりエイズで死ぬ確率は全体の60%以上にもなるそうです。1986年に初のHIV患者が発見されて以来、その人数は増え続けているといわれます。エイズやHIVで亡くなる国民の平均寿命が32歳と極めて若いことも、孤児が増える理由となっています。

文化的背景が深く関わっている

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スワジランドはコンドームの使用や一夫一婦制という安全とされるセックスの文化がありません。アフリカ最後の絶対君主と言われているムスワティ三世自らも14人の妻と23人の子供を持っています。

国民の間ではレイプなどの性暴力も頻繁に起こるために風紀が乱れているのですが「女は子供を産む道具」というような風習があるために、一度蔓延したHIV感染はコンドームなしのセックスでは予防しようもなく増え続ける一方というわけです。

そしてHIV感染は性交渉だけではなく、貧困ゆえにドラッグに手を出す人が増えるという悪循環の中で増加します。感染したところで治療する費用などあるはずもなく、エイズ予防とはかけ離れた生活を国民は送っているという現状です。

ベッカムがスワジランドを視察訪問

このほどユニセフ親善大使であるデイヴィッド・ベッカムが、自身が2015年に設立した「7(セブン) デイビッド・ベッカム・ユニセフ基金」がサポートしているHIV感染患者の子供たちの支援施設の視察に訪れました。その様子は、ベッカムのInstagramにも投稿され、ユニセフのサイトでもその様子を伝えています。

自分の目で現状を目の当たりにしたベッカムが感じたこと

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元有名サッカー選手、そして現在は夫婦共々セレブという存在でありながら常に慈善事業に貢献しているベッカム。このほど、自分が設立した基金がユニセフの支援・保護にどのように役立っているかを実際に確かめるために、自らスワジランドを訪れました。

そこでセベネールという1人の少年と出会います。彼はHIV感染を患っている子供の1人。彼に初めて出会ったベッカムは「笑顔が魅力的で知的な14歳の少年」という印象を持ったそう。そう、まるでごく普通に生きている14歳というような。サッカーが好きで学校が好きな少年は「自分の子供たちと大して変わらない」と感じたベッカム。

でもセベネールは、2年前に父親をエイズ関連の病気で亡くし、今は母親が日々の食料を手に入れるために必死で働いているといった境遇の中で、HIVを患い小さな小屋で暮らしています。

セベネールの母親が稼ぐお金は一ケ月、日本円にして約2,700円だそう。その中からセベネールの薬代と家族全員の食料を捻出することは並大抵ではないのです。時に食べることさえできない日もあるというセベネール一家。

食糧不足の問題は数年前から起こっているエルニーニョ現象が原因。干ばつが続き豊かだった土地は作物が育たないという被害に見舞われることに。食料不足による飢饉は世界13ヵ国に及び、世界で見ると実に2600万人の子供が飢えに苦しんでいるといった状況なのです。

ベッカムは、去年に基金を設立した時からセベネールのように苦しんでいる子供たちの支援をしようと誓い、多額の寄付金をユニセフに投資して来ました。今後3年間、スワジランドのエイズ対策に関する予算の4分の1を捻出することを約束したベッカム。そしてHIVを抱えた子供たちだけでなく妊婦へのサポート支援を自らしていきたいと名乗りをあげたのです。

セレブにありがちな「多額の資金を慈善事業に寄付」するという行為だけでなく、ベッカムは実際に現地を訪れ、支援している子供たちと触れ合い、生の声を聞き何が必要かどのようにサポートを続けて行けばいいかを深く考えています。

彼自身も4人の子供の親であるために、少しでもこうした苦境にいる子供たちの助けになりたいと強く望んでいるベッカムの姿勢は、ただのセレブとしてより1人の良き人間として世間に高く評価されています。彼こそまさにユニセフ親善大使に相応しい人だといっても過言ではないでしょう。

「みんなの力を貸してください」

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by Feed My Starving Children (FMSC)

今回の視察で、ゼベネールのような子供がたくさん存在することをより深く知ったベッカムは、今後の子供たちの支援にはもっと多くの人々の関心とサポートが必要だと訴えています。

「自然の脅威による干ばつの影響でますます貧困と病に苦しむ人が増え、ゼベネールのような子供や妊婦たちは悪夢のような現実と向き合いながら、どうすることもできずにもがき、そして後戻りせざるを得ない人生を送っている」と語るベッカム。

助けが必要な子供たちのために、世界中の人が支援をし続けていくことは決して簡単なことではありません。それでも人は前向きに生きるものでその価値があるのだということを感じたベッカムは、今後も精一杯、スワジランドの子供たちをサポートし続けていくことでしょう。

危機下にある子供たちに必要なのは私たちのサポートです。この記事を読んで、世界には苦しんでいる子供たちや妊婦がいるということを知ってもらえただけでも支援に繋がっていくと思っています。経済支援ももちろん大切ですが、心のサポートも大切。あなたは、ベッカムの訪問をどのように受け止めましたか?あなたの心にこの記事が少しでも残ってもらえれば嬉しいです。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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