国際問題として度々ニュースになっている「名誉殺人」。特にパキスタンで頻繁に起こることでも知られています。パキスタン人権委員会の調査によると、2015年に親が認めない交際をした女性が「家族の名誉を汚した」として殺害される事件がなんと過去最悪の987件発生。

去年1年だけで1096人の女性が被害に遭い、そのうち170人は未成年という痛々しい事実が報告されています。女性や配偶者を殺害するのは女性の親族。パキスタンではそれ以外にも「交際を断った」「結婚を破棄された」という理由で男性側の親族からも女性が襲われて殺害されるというやりきれない事件が増加。

このほど、16歳の女性が母親に殺された…

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名誉殺人が繰り返されるパキスタンで、このほどまたも悲しい事件が。16歳の娘を実の母親が生きたまま火炙りにするという残虐極まりない「名誉殺人」を行ったとしてその母親は逮捕されました。
 
ジーナト・ビビさんは5月29日に恋人だった男性と結婚。ところが男性側の家族はパシュトゥンという民族でジーナトさんの家族はプンジャビという民族だったために、ジーナトさんの家族が猛反対。でもジーナトさんは「好きな人と添い遂げたい」とこの男性と結婚したのです。

日本なら恋愛結婚が一般的なために、そういう思想は誰しも受け入れられている現代社会。ところがパキスタンでは「好きな人と結婚する」ということが命の危険を脅かすことになってしまうのです。家族の怒りを買ったジーナトさんは、先日母親によって「名誉殺人」と称して火炙りにされ殺されてしまいました。

学校時代からの恋人同士だった二人

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民族が違っても二人は心で惹かれあい、学生時代から付き合ってきました。そして男性は何度もジーナトさんの家族に結婚を申し込んだのですが拒否。そこでジーナトさんは自ら家を出てこの男性と市役所に婚姻届けを提出し、一緒に暮らしていたのです。

するとジーナトさんの家族は「もう許してやるから、後日披露宴をしよう」と言ってきました。ところがそれは嘘でした。「家に帰りたくない、殺されるかもしれない」と怯えていたジーナトさんの恐怖は、悲しいことに現実のものとなってしまったのです。

ジーナトさんを殺害した実の母親パービーン・ビビは、娘を火炙りにして殺すのに息子と共謀してやったと自供。その息子自身も「自分がしたことに後悔は全くない」と警察の取り調べで話しているというのですから、どうにも衝撃を隠せません。

更に悲しいのは、焼き殺されたジーナトさんの遺体をジーナトさんの家族が全く引き取らなかったこと。夫のカーンさん(20歳)とその親族で引き取り、葬儀をあげたということですがジーナトさんの親族はどこかへ去ってしまった様子。

この残酷な事件に対し人権団体や政治家たちから批判が殺到。「名誉殺人」という歪んだ理由の殺人行為に怒りを隠せない人が少なくありません。

つい最近でも、学校教師の女性(19歳)が20歳以上年が離れている離婚歴のある校長の息子との結婚を校長に迫られ、それを断ったために校長とその息子ら親族に火炙りにされ殺害されるという痛ましい事件が起こっています。

自由に恋愛する権利どころか、生きる権利さえ奪われてしまうパキスタンの女性たち。好きな人との交際がばれれば親族から酷い虐待を受け、逃げれば執拗に追いかけられ火炙りにされてしまうという現代社会とはおよそ思えないほどの侮辱を女性は受け続けているのです。

若く美しく、将来有望なパキスタンの女性たちが古き伝統文化に束縛されて、人権と尊重、そして未来を奪われている現実から何とかして抜け出せないものかと思う筆者。しかし、この国には他国には計り知れない民族、宗教、文化、習慣が悪しく蔓延っているのです。

人権団体が声をあげてパキスタンの女性を歪んだ「名誉殺人」から守ろうとする活動がもっと国際的に広がり、少しでもその犠牲となる女性が減ることを願ってやみません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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