普通、親は子供が何歳になっても可愛いもの。親が、常日頃愛情を注いで育ててきた自分の子供をどんな時にも信じてやりたい、味方になってあげたいと思うのはいわば当然のことでしょう。

ところが、今回自分の息子がレイプ事件を起こしたことを知った父親。何不自由なく育てて来たはずなのに、将来だって期待されているのに、何かの間違いであってほしい…そんな思いが頭の中を駆け巡ったことでしょう。

でも、レイプを受けた被害者は実在する

Licensed by gettyimages ®

ブロック・ターナー(20歳)は米スタンフォード大学で将来有望視されていた水泳の選手でした。オリンピックも目指せるほどのスキルの持ち主は、去年1月にパーティーで知り合った22歳の女性をレイプ。女性が酔って眠っている間に犯行に及ぶという悪辣な事件を起こしたのです。

たまたま自転車で通りがかった2人の生徒が追いかけて通報しなければ、知らぬ存ぜぬを通したであろうと思われるターナー。この事件の裁判がこのほど行われ、被害者の女性が事件以来、どれほど苦しんでいるかを手記として発表しメディアでも話題になっています。

「あの日の自分をごっそり剥ぎ取って捨てたい」

Licensed by gettyimages ®

眠っていた間とはいえ、20分間の犯行は女性の人生を変えました。レイプ被害にあってからは被害者は明かり無しでは眠れないようになり、もちろん精神的にも身体的にも苦悩の日々を繰り返しているのです。

ターナーに下された判決はわずか懲役半年だった

Pinned from metro.co.uk

1人の女性の人生を変えたレイプという最も卑劣な犯罪を犯したにも関わらず、14年の懲役が科せられることを望んでいた検察側に反して、たったの半年という判決はあまりにも緩すぎるとアメリカ全土で批判が殺到。

性犯罪という重大な罪を犯し被害者に多大なトラウマと傷を残した犯罪者は、生涯「性犯罪者」として登録されるとはいえ、半年で何事もなかったように社会で生活できるようになるのです。この判決は、被害者女性だけでなく世の中の全ての女性に対しての侮辱とも言えるのではないでしょうか。

ターナーの父親の意見書に全米中が猛批判

Pinned from metro.co.uk

更には、レイプ犯の父親が意見書に「息子は他の犯罪者のロールモデルとなるべきだ。息子が犯したたった20分の行為で、20年近くも塀の中に閉じ込められるのは不公平だ。罪を犯した人間でも、償って社会に出て仕事をし、生きる権利はあるはずだ。」と愛する息子を擁護する言葉が綴られたのですが、この父親の「たった20分の行為ごときで」という表現が世間の怒りを煽ったのです。

このニュースはイギリスでも拡散し、犯人の父親ともあろうものが許し難い言葉で息子を擁護していると批判しています。

たった20分の行為でも犯罪に違いない

Licensed by gettyimages ®

1人の女性の人生を変えるほどの打撃を与える性犯罪であるにも関わらず、このレイプ犯の父親は「優秀な息子は、20分程度の罪で何十年も人生を無駄にするには値しない」と述べたのです。

これに対し世間は「そういう考えの親だから子供が犯罪者になるのだ」「20分でも罪は罪」「自分の息子が何をしたかわかっているのか?」「自分の子供を擁護する気持ちは理解できないこともないけど、その言い方はさすがに開いた口が塞がらないね」「20分の間、あんたの息子は女性の最も屈辱にあたるレイプをしたんだ!」と猛批判。

被害者の女性は声明文で「あなたは私のことを知らない。でも私の中に勝手に入って来た」という衝撃的な表現でターナーにどれほどの打撃を受けたかを告白。

眠っていた間のレイプだったので、事件の知りたくもなかった詳細を知ることになった被害者。「これは私じゃない。私であるはずがない」と何度も思おうと思ったこと、両親や恋人に話した時に「大丈夫だから」と言ったけど震えて立っていられなかったこと、レイプによって自分という人間が完全に壊れてしまったことなど、被害者の辛く苦しい心境が明らかになりました。

「勝てるほどの強さはもう私にはない」

Licensed by gettyimages ®

そして、ターナーに向けてこのように述べた被害者。

「あなたが裁判で何をどう言っても、私はそれに対してどうこうできる力もない。自分を壊された私には今は弱さしかない。眠っていた間にレイプされたのだから何をどうされたのかも主張できない私は弱い立場にあるだけ。アルコールは言い訳にはならない。酔って私をレイプしたあなたは間違いなく犯罪者よ。」

声明文の最後に綴られている被害者の言葉に胸を打たれます。

「レイプ被害を受けたのは私一人じゃないのはわかっています。過去に私と同じ目に遭った全ての女性に私は言いたい。私はあなたの傍にいるわ。あなたはとても美しいし価値ある人で、敬われるべき存在よ。あなたの強さを誰も奪うことはできないわ。本当よ。」

恐ろしい出来事を乗り越えるには膨大な時間がかかることでしょう。今は、自分の存在について消してしまいたいほどの葛藤もあることでしょう。でもこの女性はレイプ被害に遭った全ての女性へ励ましの言葉を送っているのです。きっと、いつの日か彼女も強さを取り戻せる日が来ると信じたい筆者。

ターナーの父親にはこの被害者の言葉が届いているでしょうか。息子の「たった20分の行為」がこんな風に1人の人間を追い詰め、破壊し、ダメージを与えているのです。許し難い表現で息子を擁護したこの父親は、これから息子と共に一生償っていかなければならないでしょう。

レイプは絶対に言い訳は通用しないのです。社会からこのような残酷な事件が少しでも減ることを祈ってやみません。

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス