今年の1月に国立がん研究センターは、がんの「10年生存率」を発表しています。

そのデータによると、
がん全体の10年生存率は、58.2%です。
5年生存率は、68.9%です。

今やがん=死に至る病 ではありません。

これは嬉しいことなのですが、その一方で長期にわたって治療費を払い続けなくてはなりません。(某生命保険のCMでもそういったセリフがありますね)
がんだけではなく慢性疾患の場合も、長期にわたって治療が必要です。

そこで、頭を悩ますのが「お金」の問題です。
実は慢性疾患を抱えると、治療費以外にも色々な所でお金がかかるのです。

(数値出典:週刊「東洋経済」p70)


食費

今までは無頓着だったけど、病気になってからは食事にも気をつけるようになった。
という人は、多いですよね。

「アマニ油とか体には良いのだろうけど、サラダ油と比べると高~い!安いサラダ油でいいじゃん!」と言っていた人も、
病気になってからはアマニ油やオリーブオイルに変えた、という人が多いです。

また、外食も安価なファーストフードではなく、お金がかかっても栄養士が監修・運営している店を選ぶ人や、有機野菜を配達してもらう人など、食事に気を配る人が少なくありません。

ガンで通院中の50歳代の男性とその奥様と大学生の子ども1人の合計3人家族の1か月の食費が、
病気になる前:73000円→病気後:90000円 というデータもあります。

また、健康食品や民間療法に多額のお金を出す人もいます。
3割以上の人がこれらに支出していて、その額は1年間で平均20.5万円です。

(数値出典:週刊「東洋経済」6月4日号 p44)

交通費

徒歩圏内にあなたの治療に理想的な病院があればいいのですが、そうもいかないことも少なくありません。
 
<実際にあったケース1>
胃癌が疑われたMさん。
某国立大学病院で「うちでは無理ですが、お隣の県の医大病院のS先生なら治療できるかもしれません」と言われました。

手術は見事に成功し、その後もお隣の県までタクシーで通院中。
タクシー代は片道5000円を超えます=通院の度にタクシー代として1万円札が飛んでいる

<実際にあったケース2>
徒歩10分の場所に公立の医療センターがあるが、膠原病専門医は一人もいない。以前住んでいたお隣の県まで通院中。 



それ以外にも・・・

抗がん剤の副作用で脱毛が酷いのでかつらを買った、体調が悪い時は掃除が大変なのでルンバを買った、専用の下着乳房パット、などの費用がかかることもあります。

遠方まで通院している人は、通院日は1食or2食が外食になります。


半数以上の人が経済的な困りごとを抱えている

東北医科薬科大学、濃沼信夫教授が2010年から2012年度にかけて、全国3000人のがん患者さんを調査したところ、

61.8%の人が、経済的な困りごとがある と回答しています。

50%以上の人が預貯金を崩して、何とかしているようです。
しかし、約6%の人が治療を断念するなど経済的な理由で治療への影響があった、と答えています。




さまざまな制度

日本には、さまざまな医療費免除等の制度があります。

高額医療費制度は、収入に応じて1か月あたりの負担限度額が設けられています。
年収が370万~770万円の場合、手術などでたとえ100万円かかったとしても、およそ9万円ほどの支払で済みます。

その他にも傷病手当、患者さんの家族が介護のために休職した場合の介護休業給付金、医療費を借りたいという人は生活福祉資金貸付制度、などもあります。


申請が必要

これらの経済的支援の制度は、原則的には患者さんからの申請が必要です。

親切な病院では、入院の申し込みをした際に高額医療費制度の説明があり、申請の仕方を書いた書類を手渡してくれますが、何も説明のない所もあります。

このような制度があることを知っていないと、損をする羽目になってしまいます。


相談する

「餅は餅屋」という諺があるように、色々な制度のことはやはり専門家に相談するのがベターです。

大きな病院にはソーシャルワーカーと呼ばれる、専門家がいます。
医療相談室や医療社会福祉部、医療社会福祉相談などの名称となっていることもありますが、そのような所で相談してみるのも一方法です。相談は無料です。

また、地域がん診療連携拠点病院には、がん相談支援センターがあります。
多くは予約制ですが、相談は無料です。また、その病院に通院していなくても地域の人ならOKです、と記載されています。

経済的なことだけではなく、
*医者の説明が難しくてわからない、
*セカンドオピニオンを受けたいがどうすればいいのかわからない、
*介護サービスの事

などの相談にものってくれます。


一昔前に、なにかのCMで「よ~く考えよう!お金は大事だよ」などと言っていましたが、やはりお金は大事ですよね。

日本は3割負担で済むし限度額制度があるので、諸外国よりはずっと恵まれているのかもしれませんが、病気の時にお金の心配までしないで治療を受けたいですよね。
また、経済的なことを理由に治療を断念するということも、避けたいものです。

一昔前のことですが、「同情するなら金をくれ!」と主治医に言った患者さんも、いるとか・・・・?!

通院中・治療中に経済的なことで困ったことが起きた場合は、一人で悩まずにソーシャルワーカーさんなどに相談しましょう。


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患者からの目線と元医療従事者としての目線とで、医療や健康に関する記事をメインに書いています。
4度の手術に膠原病でバツイチで・・・と波乱万丈の人生ですが、”人生に喜びや笑いを添付したら結果は出るはず!”という「喜笑添結」で毎日を過ごしています。

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