記事提供:Doctors Me

医師が解説する医療・健康サイト「Doctors Me」編集部です。
先日かみしめ呑気症についてお伝えしました。
同じように、無意識に食いしばってしまうことで起こるものに『顎関節症』があります。パンを食べるときにあごがカクカク鳴る方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは顎関節症の症状のひとつです。

今回はDoctors Me歯科医師に『顎関節症』について聞きました。

Q.顎関節症とはどのようなものですか。

耳の穴の約1cm前方に指を当てて口の開け閉めをしてみると、顎の動きを感じることができるところがあります。そこが顎関節と呼ばれるところです。顎関節症とは、この顎関節や顎に関連する筋肉(咀嚼筋)などのいろいろな症状や病態をいいます。

顎関節症の症状は主に3つです。
顎関節痛:口を開ける時に顎〈顎関節〉が痛くなる
関節雑音:顎がカクカクと音が鳴る
開口障害:時には口が開かなくなる

Q.顎関節症の原因には、どのようなことが考えられるでしょうか。

顎関節症はいろいろな原因が関わっていると言われています。
これらの生活習慣に思い当たることが多いほど顎関節症の症状が出やすくなります。

【歯ぎしり、くいしばり】
就寝中に歯ぎしりをしている、起床時や日中に気がつくと歯をくいしばっている状態は、顎関節症の原因となります。歯ぎしりや食いしばりは、顎関節やそれを支える筋肉に長時間異常な力をかけてしまいます。


【睡眠中の姿勢が悪い】
就寝中、うつ伏せや横向きで寝ると、片側だけの顎関節やその周囲に対して頭の重さで圧迫するような力が加わり続けます。すると顎関節に負担がかかってしまいます。筋肉に対しても圧迫が加わります。そのため、血液循環の低下が起こり、筋力低下が起こります。

また、仰向けで寝るときも高い枕を使用すると首が前に曲がり猫背のような姿勢になります。猫背は食いしばりをしやすい姿勢でもあり、顎関節の位置異常を引き起こす原因になります。


【食事中の癖】
いつも左右のどちらか決まった側で咬む癖も顎関節症の原因になり得ます。左右どちらか一方ばかりで咬んでいると、片側だけの顎に大きな負担がかかり、やがて下顎骨の変形が起きます。


【頬杖】
頬杖をつくと、下顎を押して顎関節を圧迫することになります。

Q.顎関節症になってしまった場合、どのような治療が行われますか。

一般的に顎関節症を疑う場合には、歯科医を受診してください。
歯科医院で行う顎関節症の治療には以下のものがあります。

【スプリント療法(歯科用マウスピース)】
顎関節の負担軽減 、周辺筋肉の緊張の緩和と歯の保護のために最もよく行われる方法です。
症状が軽減したと感じるのは、通常数週間から数カ月かかるようです。

【鎮痛剤や抗炎症剤などの服用】
急性症状の緩和目的で行います。

【レーザーなどの照射】
数回のレーザー照射で除痛効果が期待できます。

【咬合療法】
原因が咬み合わせの問題とされた場合には、歯列矯正などで咬み合わせを改善する処置をとることもあります。

【外科的療法】
顎関節の一部に明らかな異常があり、手術が有効な場合のみに行われます。

Q.顎関節症を放置した場合、どのようなことが起こりますか。

顎関節症を放置すると症状が悪化します。
・顎関節の変形
・関節円板と関節周囲の膜に癒着が起きる

この時にはカクカクという音は消えますが、重度の開口障害が出現するようになります。しばらくすると「ジャリジャリ」「ピキ」といった関節音が出るようになります。(専門的にこの音はクレピタス音と呼ばれています。)

Q.顎関節症にならないために、日常で気をつけることはありますか。

顎関節症状を訴える患者さんの多くは、歯列接触癖(Tooth Contacting Habit、通称TCH)という習癖があります。TCHとは日中の必要ないときにも、上下の歯を接触させている(咬み合わせている)ことです。

TCHがあると顎関節や筋肉に持続的な負担をかけるため、顎関節症を引き起こしやすくなるとされています。
TCHは顎関節症状に大きく影響する習癖なので、日中このTCHをしない様に意識をして生活する必要があります。この習癖がなくなると顎関節症の症状も緩和されてくるようです。

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最後に医師からアドバイス

日本人の2人に1人以上の人に顎(顎関節)に何らかの症状を経験していると言われています。しかし、治療を受けている人はその10%以下とされています。顎関節に何らかの症状がある人に男女差はありませんが、顎関節症の疑いで歯科を受診するのは、特に20~40代の女性に多いといわれています。

顎関節症は、軽い症状であれば特別な治療をしなくても、少し生活習慣を見直してもらうと症状が緩和されることも多いようです。

ただし痛みがあったり、口が開けにくい、食べにくいなどの症状があり日常生活に支障が出てくるようであれば、歯科や口腔外科を受診して、咬み合わせや顎関節を詳しく検査することをおすすめします。

(監修:Doctors Me 歯科医師)

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