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世界の富裕層によるタックス・ヘイブンを利用した節税対策がパナマ文書によって続々と判明する中、タックス・ヘイブンに無数に存在するペーパーカンパニーの設立に、世界中の「プライベートバンク」が関わっていたことも明らかになっています。

メルマガ『辛坊治郎メールマガジン』では、「プライベートバンクとはそもそも何物なのか?」、そして「なぜ彼らが世界の富裕層とタックス・ヘイブンを結びつける存在でいられるのか?」を辛坊さんが詳しく解説しています。

プライベートバンキング講座

プライベートバンキングとは、簡単に言うと金持ちの資産を預かって運用し、資産維持、資産形成、資産相続の相談などに乗ることで飯を食う業務の事で、これを仕事にしているのがプライベートバンクです。

日本の銀行は、この分野では世界の中で全く目立たず、近年大手都銀などが「金持ちを相手にしないと儲からない」ってことに気が付いて力を入れ始めてますが、

そもそものノウハウが無いので、殆どが外資系のプライベートバンクと提携して営業しています。

世界的にこの業務で上位に名を連ねるのは、スイス、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの大銀行です。

日本の銀行がこの分野で立ち遅れたのは、旧大蔵省の護送船団方式で長年自由な営業が出来なかった事が大きいですね。

何せついこの間まで、日本の金融機関はどこに預けても同じ金利でしたし、株式を扱ったり、投資信託を売ったりなんていう欧米の銀行なら当たり前にしている仕事が禁じられていましたから、

金持ち個人のためにオーダーメイドのサービスを提供するなんて発想自体が生まれなかったんです。

また日本の銀行は、現在でも税金に関する相談を受けることが法律で禁止されています。

プライベートバンクの最大の仕事の一つが節税対策ですから、日本の銀行はこの業務への進出のしようがありません。

世界の大銀行がこの分野で莫大な収益を上げていることを考えると、日本の規制の典型的な負の遺産です。

でも多分この状況が、戦後日本の「一億総中流、みんな平等」の意識に合致してたんでしょう。

それではいったい、いくらくらい財産があると、プライベートバンクの対象になるのかというと、これは各銀行がちゃんと発表しています。

例えば「クレディ・スイス」は金融資産10億円というのが最低基準です。

日系だと、「三井住友フィナンシャルグループ・バークレイズ」が金融資産5億円以上、「三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券」が金融資産1億円以上、世界最大のプライベートバンクであるUBSは預入資産2億円以上です。

UBSに続く世界第二位の預かり資産を持っているのがアメリカの「モルガン・スタンレー」、三位が「バンクオブアメリカ・メリルリンチ」、四位が「クレディ・スイス」、五位が「ロイヤル・バンク・オブ・カナダ」です(日経BPより)。

こうしてみると、スイス勢の強さが分かりますよね。

スイスが金融大国なのは皆さんよくご存じですが、いったい何故、アルプスの小国が世界中の富を集めることになったのか?

その理由は意外なことに、軍事力の強さにあったんです。

スイスに世界的な銀行が多い歴史的な背景とは?

ウィリアム・テルって知ってますよね。私が初めて買ったクラシックのレコードは、ウィーンフィルのウィリアム・テル序曲でした。

私くらいの年代の日本人なら、ロッシーニのこの名曲、サビの部分は必ず口ずさめます。私たちが子供の頃、アメリカのテレビドラマ「ローン・レンジャー」が大人気で、このテーマソングがウィリアム・テル序曲だったんです。

このウィリアム・テルは日本でいうと鎌倉時代の人物で、スイス独立の英雄です。この頃既にスイスには弓(クロスボー=石弓)の名手が沢山いて、その後もヨーロッパ各地の紛争に際して傭兵として働きに行っていたんです。

傭兵が稼いだ金をふるさとスイスに送金して家族に届けるために、スイスには銀行が沢山出来、ヨーロッパ各地からお金が集まり始めます。

さらにスイスは地形的に天然の要塞みたいなところがありますから、資産を安全に戦乱から逃避させるには絶好の場所って事が、欧州の金持ちに認識されるようになります。

そして19世紀の初めには、ヨーロッパ諸国の間で「スイスは永世中立・不可侵」とする条約が結ばれ、暗黙の了解として「金を置いておくならスイス」ってことになって行きました。

何せスイスは今世紀に入るまで国連加盟国じゃなかったですからね。スイスの国連加盟は2002年、世界で190番目なんです。

こうして世界の富を集めることになったスイスの銀行は、お金持ちの個人的相談に乗るのがメインの仕事になって行きます。

スイスの銀行に口座を作ると、あらゆる金融サービスを提案してくれるんですが、

例えば「税金の安い国に資産を移したい」とか「タックス・ヘイブンに会社を作りたい」なんて相談をすると、あっという間に現地の法律事務所を紹介してくれて、会社設立まで面倒見てくれます。

個人で世界のどこかの税金の安い国に会社を作るなんてハードル高すぎますが、近くのスイス系銀行に口座を作るだけなら簡単ですからね。お金さえあればですが。

今回流出した例のパナマ文書で判明したタックス・ヘイブンの会社設立に、世界中のプライベートバンクが関わっていたのはこういう理由です。

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