運動会!

私の子どもの頃、運動会といえば、秋というイメージでしたが、最近は春の運動会も増えたようです。初夏は過ごしやすい季節のはずなのですが、私の住む地域でも今の時期から夏のような気温上昇に熱中症が心配です。

そして、運動会は、運動神経のよいお子さんにはヒーロー、ヒロインになれるチャンスですが、音や触覚の感覚過敏もありがちで、変化に弱い発達障害のある子どもたちにはつらいことの多いイベントでもあります。

天候に左右されるスケジュール、スタートの合図、子どもたちの声援。体力的に疲れやすい子も多いので、がんばりたいけどがんばれない、と自己評価が下がってしまうこともあります。周囲の大人は上手にベストを尽くせる手立てを考えてあげたいものですね。

今回は運動会でのエピソ-ドをお話させてください。

スモールステップでがんばった練習

私の子どもは、おおむね実年齢に対して半分ほどの発達年齢と思われ、まず認知することからの努力がはじまります。言葉のコミュニケーションが不得意なので、たとえるならば虫食いの望遠鏡を使って、肝心なところが見えない図を理解するような感覚かなと推測しています。

「このスタートラインに立って、ピストルが鳴ったらゴールまで走るんだよ」

これはふつうの指示、いや、指示以前の問題で、通常就学前から理解しているルールだと思います。でもケースバイケースですが、「スタートラインとはそもそも何か」「音が大きくて怖い」「体力が無い」「並んで待っていることができない」「勝ち負けの認識がわからない」など様々な要因からなかなかひとりで走れませんでした。

いくら子どもの困り感を理解しようとしていても、やはりしっかりゴールする子どもを毎年期待し、がっかりしてばかりでした。

でも、最終学年となった年。彼は、「運動会がんばるよ」と宣言したのです。

昨年まではざらざらした土の感覚がとても苦手で、「できない」「嫌だ」とぐずっていた組体操は、少し戸惑いつつも、しっかりと土台をつとめ、ひとつずつしっかりポーズを決めました。

低学年のころは先生に手を引かれて走っていた徒競走も、決して速くはないけれど、ゴ-ルまでまじめに走りました。

少しずつ、理解を進め、不安に寄り添い、本人ががんばろうと思えるまで、丁寧に関わってくださった方々と、がんばっていた子どもに対して、胸が熱くなりました。

もうひとつの成長

また、この日には印象深いことがもう一つありました。

色々な個性のあるお子さんがいます。あるお子さんは、勝負の勝ち負けが気になって、うまく参加出来なかった他のお子さんへ怒って、怒鳴って、手を出してしまいました。怒鳴られたお子さんは、ただでさえ頑張れなかったことを気に病んでいたのでとても悲しくなり、声をあげて泣いてしまいました。

それぞれ先生たちが駆け寄り、なだめたり慰めたりしています。

そんな中、うちの子どもが泣いているお子さんに「どうしたの?よしよし、いいこいいこ」と声をかけて頭をなでるなど慰めていました。もう高学年なのでそんなことは当たり前。定型発達のお子さんならもっともっと上手に仲裁などまでできるのがあたりまえです。

でも。

この子こそ、お友達とうまく関わることが難しい子でした。

とくに就学前はたたく、押す、ひっかく、同じくらいのお子さんと接するのはいつもひやひや、周囲に謝り通し。他害はその場で状況を確認しつつ対処したいですがなかなか効果的な指導が難しいもの。

いったいどうなるのか。。なんて思いやりの無い子なんだろう、行く末はどうなってしまうのだろうと暗澹たる思いでいっぱいでした。

ときに絶望的な気持ちになり、子どもにあたってしまい後悔したりつつ、「それは痛いよ、だめだよ」「○○だったんだね、でも今は我慢して水曜日にやろう」「がんばったね!○○だったからできたんだね」共感、見通し、ペナルティ。

ありとあらゆる手立てをあちらこちらに相談し、協力してもらい、手探りでなんとかひたすら日々を過ごし。足掻くように過ごした数年後、いつのまにか子どもは「癒し系ですね」「優しいお子さんですね」といわれることが多くなっていました。半信半疑でいるうちに、目の当たりにした光景です。

いまだに言語のコミュニケーションは巧みとは言えず、とんちんかんな返答をしたり、ひとりごとで周囲の注目を集めてしまったりすることもある子ですが、その瞳には泣いてしまったお友達への心から心配な気持ちがあふれていました。

ああ、この子はもうひとりじゃないんだな、周りの人を大事に思う気持ち、心配する気持ちが育ってるんだ。


どんな子育てもそうだと思いますが、子どもはひとりで育つもの、育てるものではなく
色々な人の力を借りながら育ちあっていくものですが、支援が必要な子どもたちは、定型発達の子どもたちに比べて多くの力を借りて育っていくと思います。だからこそ、その少しずつの成長には力を借してくださった人たちの思いが詰まったものになるような気がします。

もし、お子さんの成長に悩むことがあっても。どんなに暗い夜にも、いつか夜明けはきます。心配な気持ち、痛む心。でも、それらも全部明日へ繋がっていきます。しんどくなったら休んで。でもあきらめないで、逃げないで。きっとほんの少しでも前へ進んでいます。大丈夫。

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