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世界のメディアに精通した高城剛さんが、読者からの質問にお答えする、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』のQ&Aコーナー。

今回はアニメ業界で20年以上勤務するアニメーターの方からお悩みが届きました。非効率的なシステムが横行する日本のアニメ制作の現場に限界を感じると言う質問者に、高城さんは「日本の社会全体に通じる問題」と回答しています。

Question

高城さんこんにちは。

私はTVアニメ業界で20年近く働いています。

ここ数年強く感じるのは、日本のアニメ業界(2Dの方)は多くのスタッフの金銭的時間的代償の上になりたっているという事、非常に非効率的で、その制作システムがもう限界に来ているという事です。

まともに物を作りたくても非効率的なシステム

(影響が大きいのはフリーのアニメーターが殆どであり宅急便を介しての素材集配や(原画料より集配費用がはるかにかかっています)、

進行が毎回車で集回収するなどの非効率性、フリー故に原画マンが納期を守らず(単価が安いため沢山仕事を取る)、近年絵の密度、カット内容が異常に上がり、単価据え置きなのに労力の度合いが上がっている)

制作時間の圧縮により正常に工程を消化出来ない事。

原画マンがフリーになって地方に住むのはギャラが安すぎるのが大きな理由です。

アニメーターだけでなくその他の職種もギャラが安すぎ、まともに人生を送れません。

私自身もっとまともな環境でモノ作りが出来ないか海外の会社を調べていますが、例えば数年前に見学したマレーシアの会社は、スタッフ全員社員で同じ社屋で労働、

日本の様に紙と鉛筆ではなく絵コンテ作業からデータで作成、社内の雰囲気も余裕を感じるものでした。

(圧倒的在宅フリーに支えられている日本では東映など一部を除き作画作業のデジタル化が一般的になるのは当分不可能と思います)

同時に感じるのは、複雑で密度の濃い絵柄、FLASHではなく手描きアニメが主流の日本のアニメ業界は世界でも特殊であるという事です。

世界の主流は3Dアニメであり、2Dが主流の日本はかなり特殊です。

また日本以外の海外の2Dアニメ作品はなぜかどれも同じような雰囲気です。

単純な絵柄、とても日本人受けしないような造形のキャラクター、FLASHが主流である事等。

私自身も自分が作りたいと思うのは日本のアニメの雰囲気に近いものになってしまうと思うので、結局日本の業界で頑張るしかないかとマレーシア訪問時は思いました。

ですが私個人の今後を考えると、制作会社を興して元請けとなり、自分が監督やプロデューサーをやり続けるのでもない限り、この業界にいても先が無いと感じ、思案しています。

日本の2Dアニメ業界の将来性について高城さんのご意見を伺えればと思います。

海外の2Dアニメに関してもコメントを頂けると嬉しいです。

高城剛さんの回答

この構造的問題は、もう二十年以上続いていると思います。

かつて、アジア最大のアニメーション会社、東映アニメの元取締役としてデジタル化戦略を担当した身とすれば大変耳が痛い話で、

当時僕は2Dのデジタル・ネットワーク構築後、3Dアニメーションの全面的導入を目論みましたが、わずかしか叶わず、志半ばに僕も欧州に転出していまいました。

しかし、アニメ業界は才能の宝庫だと感じ、貴君と同じように業界の問題を提起して、なかば腐っていた細田守を強引に引き上げルイヴィトンのアニメーション等にキャスティングし、

その後の活躍を見る限り嬉しい限りなのですが、後続の人材が現れないように最近は感じています。

このような経験を通じてわかったことは、既存フレームにハマらない上司やプロデューサーとタッグを組み、同じアニメでも既得権益とは違った場所を目指すか、自身で予算を集め、

プロダクションと言わずとも制作をはじめるしか、業界および貴君の現状を打破する道はないように思います。

そして、その起業地は日本であることを問いません。

なぜなら、この問題は一見アニメ業界の問題だけにも思えますが、実は労働体系から業界的慣習まで、悪しき「日本式システム」そのものだからです。

おそらく、いまお感じなのはアニメ業界だけの問題ではないのです。

ぜひ、新天地の可能性を見出してください。

最近は60代での転出も増えています。

なぜならこの先、あらゆる業界と人々にさらに「余裕」が、なくなっていくからです。

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