日本ではまだまだ「タトゥー」に関する偏見が残る国。昔の「入れ墨」文化が私たちの心に根強く残っているために、入れ墨と言わずタトゥーと横文字で呼ぶようになって久しいにも関わらず、芸能人がタトゥーを入れると、意外なら「ショック」と悲しみ、一般人は「社会人として不適応」の烙印を押されてしまう始末。

日本では「アート」として認められていない

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社会対応が厳しい日本では、いくら欧米文化が浸透するようになってもこのタトゥーだけは頑なに受け入れ拒否の姿勢を貫いています。個性の象徴やアートといった感覚で欧米人がタトゥーを刻むのに対し、日本では「普通ではない行為」とネガティブに見られることが多く、タトゥー=否定的なイメージが出来上がってしまっています。

確かに、島国日本では昔からの忌みた文化を欧米のようにオープンにはできないところもあるのでしょう。でも、ほんの少しだけでも日本人のタトゥーへの考え方を見直してもいい時代になったのではないでしょうか。このほど、筆者が感銘を受けた二人のアーティストをご紹介しましょう。

ニュージーランド在住のベンジャミン・ロイドさん

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ニュージ―ランド、オークランド在住のベンジャミン・ロイドさんは、自身の火傷のせいで子供の頃いじめにあったそう。ある日、火傷の痕の上に落書きをしたベンジャミンさんは自分に妙な自信が芽生えたことに気付きました。

その出来事がきっかけで、アートに興味を持つようになりエアーブラシのアーティストとしてはや10年。このほど、ベンジャミンさんはFacebookで「病気の子供たちに、僕のエアーブラシでタトゥーをしてあげたいんだ。もし、いいねが50集まれば実行するよ。」と投稿。

すると翌日にはなんと40万件以上もの「いいね」と1万件近くのコメントが寄せられていたそうです。この企画を投稿したきっかけは、たまたまベンジャミンさんが友人の子供にエアブラシでタトゥーを施してあげたことがきっかけでした。

インスタントタトゥーを施してもらって喜ぶ子供たち

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10分以内で完成するこの即席タトゥーは、もちろんインクではなくエアーブラシなのでシャワーで洗い落とせるというもの。とはいえ、見た目にもど派手なデザインのフェイクタトゥーなので親子共々苦い顔をするかと思いきや…子供たちは大はしゃぎ。とってもハッピーな表情でベンジャミンさんにタトゥーを施してもらっています。

Facebookで多くのユーザーに後押しをもらったベンジャミンさん。早速、地元オークランドの病院を廻る予定だそう。病気の子供たちに少しでも笑顔になってほしいと、エアブラシでパワーを送る計画をしています。

子供が笑顔になることが一番嬉しい!

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近頃は、子供の長袖シャツがタトゥーのデザインだったりと、タトゥーそのものを「楽しむ」大人も子供も欧米では増えています。本物のインクはもちろん将来、万が一除去したい時には手間と費用がかかりますが、フェイクならあくまでも「楽しい」感覚でできるので一般化している理由ではないでしょうか。

「タトゥー=野蛮」というイメージが残る日本も、こうした少しの許容態度で子供たちに笑顔が見られる国になるのでは、と思う筆者。海外ではフェイスペイントも人気ですが、いずれもアートの一環として子供たちを楽しませる親が多いようです。

日本には、こんな子供にいくらフェイクタトゥーでも、将来本当にタトゥーを入れたくなったらどうしてくれるんだ…という反感を買う親もいるかもしれません。でも今後どんどんグローバル化が進む時代。子供の人生は子供に任せる時がいずれやってくるでしょう。そしてタトゥーを入れるということはあくまでも自己責任の問題。

ベンジャミンさんは、Facebookでの宣言通り、今後子供たちの笑顔を求めてこのフェイクタトゥーをいろんな病院でしていきたいと語っています。

ブラジル在住のフラヴィア・カルヴァロさん

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DVや自殺未遂の傷跡、手術痕に無料でタトゥーを施すブラジル在住のアーティスト、フラヴィア・カルヴァロさんは、これまでDVで犠牲になって傷を受けた人たちのトラウマを軽減させるために、その部分にタトゥーを入れるという仕事を無料で提供してきました。

2年前に立ち上げたプロジェクト「A Pele da Flor」が好調

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フラヴィアさんは、メディアがこんなに反応するとは予想もしていなかったと驚きの口調で自身が2年前に立ち上げたプロジェクトについて語りました。「A Pele da Flor」は英語でThe Skin of the Flower(花の肌)を意味します。

不慮の事故や過去の恋愛関係において傷つけられてしまった身体に、もう一度綺麗な花を咲かせよう、自信を取り戻そうよ、という意味を込めてタトゥーを施しています。

子供の頃から絵を描くことが好きだったというフラヴィアさんは、大学で美術を専攻。プロのタトゥーアーティストとしてコンテストでも優勝歴もある実力派。2年間続けているこのプロジェクトに参加したあるDV被害者(女性)からは、タトゥーが完成した後に感極まって涙された経験も。

病気でできてしまった手術痕や、乳がんのため乳房切除をしなければならなかった女性にも、フラヴィアさんは傷跡に素敵なタトゥーを刻み付けて彼女たちの勇気とプライドと強さにリスペクトを示しています。

「DV被害者や、手術でできた傷を負った人たちが抱えて来たものは、とてつもなく大きく苦しいものだと思います。その事実にいつも直面しなければいけないから余計に辛い。でも傷跡に綺麗なタトゥーを施すことで、そのトラウマに打ち勝つだけの価値が私達にはあるんだということを知って欲しい。」フラヴィアさんはそう語ります。

ネガティブなイメージばかりではない

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一度刻むとなかなか消せないという事実から、それをするにはよほどの理由があるに違いない、そして体にインクをわざわざ入れるというのは尋常な人のすることではない、という考えがある日本。

でも、それを100%ネガティブに受け止める必要は決してないのではないでしょうか。理由付けがあって、深い意味があってタトゥーを一生刻む人もいます。なかなか消えないものだからこそ、辛い記憶を引き起こす傷跡をカバーしてくれる素晴らしいアートにもなり得るのではないでしょうか。

筆者は、タトゥーを推奨しているわけではありません。ただ、タトゥーをする意味を100%否定的にとる偏見はなくした方がいいのでは、と思うだけです。タトゥーは人を笑顔にし、トラウマを除き、個性を主張する素晴らしきアート。ほんのちょっとだけでもそんな風に考えることができれば、あなたの世界観は広がるかもしれません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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