イギリスのサム・ペイターソンさん(41歳)の人生が大きく変わったのは2014年の8月のこと。1年前に素敵な恋人、レイさんと知り合い仕事もプライベートも順調だった矢先、ちょっとしたことがきっかけで、その後のサムさんの人生を大きく狂わせてしまったのです。

犬を連れて散歩に出ようとしたその時

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サムさんは、妹の犬を連れてレイさんとパブランチをしようとしていたところでした。ランチが運ばれてくるまでの間、犬を散歩に連れて出ようと思い立ったサムさんはレイさんに「ランチが来ても私の分は残しておいてね!」と言い席を立ったのです。

サムさんが覚えているのはそこまで。気付いた時には病院のベッドに寝ていました。実はサムさんは、パブから一歩出たすぐ先の階段で躓き、顔から強打するという事故を起こしてしまったのです。

24時間持たないといわれた家族

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一回の躓きで打ちどころが悪かったために意識不明の昏睡状態になってしまったサムさんの家族に、医師は「24時間持つかわからない」と告げました。それでも奇跡的に数週間後になんとか意識を取り戻したサムさんでしたが、首から下の感覚が全くなくなっていたのです。

自分の記憶が急に途切れ気付けば体が動かず、微かに見えるのは泣きそうな顔をした家族と恋人の姿…。何が起こったか困惑の中で、医師から事実を告げられたサムさんはそれを受け入れることが暫くできなかったと言います。

自力で呼吸さえできない状態に陥っていたために、喉にはチューブを通しかろうじて呼吸が可能になる程度。手足を動かしたくても微動だにしない自分の身体。どうしてこんなことになってしまったのか…。意識が戻ってからも何日も何日もサムさんは泣き続けました。

でもサムさんは本当に運が良かったのです。本来ならば助からなかったであろうサムさんですが、転んだ時にパブにはたまたま助産婦さんがお客としていました。彼女はすぐにサムさんのもとへ駆け寄り蘇生を試みたのです。

そして偶然通りかかった非番の警官も、救急車が到着するまでの間サムさんの救助にあたってくれたそう。命が助かったことが何よりなのですが、脊髄を激しく損傷してしまったサムさんに医師は「恐らく二度と歩けることはないでしょう。」と宣告したのです。

現実に起こってしまった事実を受け入れることさえままならないサムさんに、これからの人生「歩行不可能」と宣告を受け、大きく変わってしまった人生にどう対処していけばいいのか…サムさんの中では生きることができた奇跡よりも今後の人生への不安が大きく、恋人のロイさんのことも考えずにはいられませんでした。

「お願い、私から去って」

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レイさんとサムさんは、インターネットでの売り買いのサイトを通して初めて出会ったそう。ソファを売りたかったサムさんのもとへレイさんが引き取りに来たその時から意気投合し、お互い運命的に惹かれ合ったと言います。レイさんはサムさんより12歳年下でしたが、年齢を感じさせない関係でこれまで順調に愛を育んで来ました。

愛しているからこそ決断しなければいけない。そうサムさんは思いました。「幸い、私たちはまだ結婚していなかったので、これから障がいを患う私のために彼の人生まで台無しにすることはできません。」辛い気持ちを隠しながら「自分と別れてほしい」と口にしたサムさん。

するとレイさんは言ったのです。「君がどんな姿になろうとも、僕は君の傍から離れない。ずっと一緒にいるよ。」と…。レイさんのサムさんへの愛は本物でした。そのレイさんの深い愛が、サムさんの身体に大きな変化をもたらしたのです。

足のつま先に感覚が戻った…!

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ある日、つま先に感覚を感じることができたサムさん。それ以降、彼女の身体は少しずつ反応できるようになったのです。これには医師も驚きと喜びを隠せませんでした。何よりサムさん自身が一番嬉しかったことでしょう。

そして、以降はサムさんの長いリハビリ治療が始まりました。時に辛く投げ出したくなるほどのリハビリをサムさんはレイさんと家族に支えられながらこれまで頑張って来ました。

そんなサムさんの必死な頑張りを見守っていたレイさんですが、ある日、病院の庭で車椅子に乗ったサムさんを押して散歩に出た時に、プロポーズをしたのです。膝をついてロマンチックにプロポーズを捧げてくれたレイさんに、サムさんはもちろん「イエス!」。

「病める時も健やかなる時も」傍にいてくれるレイさんは、既にサムさんにとっては生涯の伴侶でした。

そして結婚式に向けて「やっぱりもう一度自分の足で歩きたい!」という熱意が沸き上がったサムさん。リハビリにも一層集中するようになり、ついに去年4月に自分の足で再び一歩を踏み出すことができたのです。

去年の8月、無事に結婚式をあげた二人

出典 http://www.mirror.co.uk

父親の腕に支えられながら歩き、愛するサムさんと共に誓いの言葉を口にすることができたサムさんは「まさかここまでできるようになるとは思わなかった」と感激。家族と少しの友人だけのささやかなウエディングだったそうですが「最高の1日」だったと喜びを隠せません。

現在は、ハンプシャー州に住んでいる二人。レイさんに支えられてサムさんは日に日に心身ともに強くなっているようです。今では家の中を歩き回ることも可能になったそう。ゆっくりではあっても、少しずつ歩く距離を伸ばしていく練習を欠かさないサムさんは、きっととても精神の強い人なのでしょう。

思わぬ事故のために中断していたビジネスも再開させる予定だというサムさん。「じっと家で座っているだけなんて嫌なの。」奇跡的に助かった命。これまで挫折もあったことでしょうが、命ある限り精一杯の努力を忘れないサムさんはとっても素敵。

「愛」の力はやっぱり何よりも強いのだと認識させられます。これからもレイさんと幸せに素敵な人生を過ごしてほしいですね。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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