出典 https://www.flickr.com

記事提供:messy

5月11日、ある強制わいせつ事件が小さく報道された。各新聞が掲載した事件概要は、<わいせつ容疑で東大生逮捕>。

東京都豊島区のマンションで、女子大学生(21)の胸や尻を触ったとして、警視庁巣鴨署は強制わいせつの疑いで、東京都内に住む東大工学部4年の男性(22)を容疑者として逮捕したというものだ。

逮捕容疑は11日午前0時すぎ、豊島区にある知人男性の自宅マンションで、男性が女子大学生の服を脱がせて胸などを触った疑いである。

女性は部屋から逃げ出して110番し、駆け付けた巣鴨署員に保護されたという。この容疑者男性は、実名を報道されている。

容疑者と女性は初対面で、7~8人の集団で池袋近辺の飲食店で酒を飲み、そのうち数人で知人男性のマンションに行ったとのこと。いわゆる合コンだったのだろうか。

さて、この事件報道がYahoo!ニュースに転載され、700件以上のコメントが記事についた。そのひとつひとつを上から読んでいき、暗澹たる思いがした。

コメントを拾ってみよう。以下、脚色していないそのままのコメント群だ。

「酔った勢いと悪ノリと男の勘違いってやつだな」

「これは男が可哀想かな。シチュエーションがよくわからんから断定は出来ないけど」

「こういうのそこらじゅうでありそうなのに何故これだけ記事に?東大生だから?」

「(実名報道された容疑者が)なんだか気の毒のような…」

「なんか…ちょっと可哀想だな」

「男の方が自分が思ってた以上に片想いだったパターンね(笑)」

「酒飲んで、マンションに行って、二人きりなら、女性の方も落ち度があると思う。警察まで呼ばなくても。男性がかわいそう」

「飲んで男の部屋に行くのはどうかと…」

「詳しいいきさつはわからないけどこれくらいで逮捕?って思うんだが」

「ホンバンまでやってないならいいんじゃない、そんな時間に男と一緒に同じ部屋にいたら何もしないのは逆に失礼だよ」

「その女子大生も終電が終わりそうなそんな遅くまで、知人宅で何をしていたのか…」

「他の子達がイチャイチャしてたから俺もと思ったけど、拒まれたパターンかな?飲みすぎには注意」

「そんな気がなくても思わせぶりっ子に見える女性もいるので、その点的確に判断しやなアカンね」

「双方未成年でもないし、そんな遅くまで飲んで男とふたりになったら同意の上だと普通は思うわな。SEXが嫌なら最初にしたくないと言わないと!」

「こんなんで逮捕されてたら何もできないって」

「もしかしたらハメられたかも知れないけど軽率だったね」

「完全にこの男性が悪いとは思いません」

「王様ゲームでもしたんだろうな」

「これで逮捕された上、実名報道?ちょっと厳しすぎない?」

「何か変じゃないですか?」

「女子大学生の不謹慎は良いのか。最近のマスコミ、社会の傾向だが、男たちのいる場所で女子大学生があまりに無防備なところは、別の意味で懲罰すべきではないか?」

「昔なら笑い話になるんだけど、今は違うんだよなぁ」

「一緒に飲んだ男達のはからいで二人にしてくれたんだろう。が、しかし女性側は『完全にNG』だったのでしょう。と言うことで、昔の酒の席なら大抵は『やっちゃったけどタイプじゃないからそれっきり』(だったが)、

強制わいせつで被害届を出すという…怖い時代です。私の時代なら間違いなく泣き寝入りってのが多かったけどね。え~嫌だ!ってのも時にはある年頃ですから」

「夜中に部屋に行ったのでしょう?頬っぺた殴っても良いけれど、警察沙汰かなあ?それが嫌なら個室に行ってはいけないよ」

「かばう気はないけど、まだなんとも言えない。酔って友達の家に11時にいたんでしょ?」

「110番するってすごいな。余程強引だったか、余程嫌いだったか」

「世知辛い世の中になった。警察に行く案件ではないだろうに…」

これらを読み、くらくらして吐き気をもよおした。10年以上前、「集団レイプをする人は、まだ元気があっていいんじゃないですかね。まだ正常に近い」と(公の場で!)発言した国会議員がいたが、あのメンタルはヤフコメに生きている…。

合意なき性行為は犯罪であるということは、現代日本社会に生きる我々にとって「自明」ではなかったのか。

被害女性が<飲み会で知り合った初対面の男性に、服を脱がされ胸を触られたので、逃げ出して110番した>ことが、被害者の落ち度や「通報するなんてヒドイ!」と咎められるとは。

昔はおおらかで良かった、というコメントがあるが、昔は“好き勝手ヤリたい男性にとっては”都合が良かったに過ぎない。逆にヤラれ放題の女性にとっては地獄だっただろう。

それにしても「男性が可哀想」コメントの主は、“スーフリ事件”など記憶にないのだろうか。

この事件そのものについてはこれ以上の情報がないので深く追及しない。

問題としたいのは、上記コメント群にあるように、強制わいせつ事件が発生し報じられたとき、「男は性欲のかたまり。それを理解せず警戒を怠った被害者に落ち度がある」とセカンドレイプする向きが未だにあることだ。

これは異常なことだ。加害者側が<その気にさせられちゃったからしょうがない>と擁護される。

男性の旺盛な性欲はナチュラルなものという前提で、自己コントロールが難しいゆえ、女性側が自衛を促される…

いやいや、そんな暴力的な性欲を所有していて飼いならせないなら、男性側が加害しないよう看視を受けるなり、鎖をつけておくなりすれば良いのではないか?

また、女性が深夜に男性の家に行っても、個室で男性と二人きりになっても、それは100%「あなたと今セックスしたいです」の合図ではない。

その合図であるケースも、そうでないケースもあるだろう。

前者の場合で男性側もそういう気持ちならば「合意」して行為に及べばいいし、後者の場合なら男性側がそういう気持ちであっても「ヤらない」。これが正常な行動だと思うのだが、なぜか後者の場合、女性が悪者にされるから不思議である。

セックスしたい、という欲望は、決して男性から女性への一方通行ではない。私自身は、10代後半~20代前半の時期、わりと見境なく遊んだ。

ほぼ初対面程度の付き合いの男性に、とりあえずヤッてみよう、という無防備さで行為をけしかけたことも多々あって、

今振り返ればあのとき、相手男性は別に私と行為をしたくなかったり、さっさと帰りたかったり、嫌だなウザいなという気持ちでいたかもしれない。

それをこちら側が一方的に、「いいじゃんいいじゃん」と押しきってしまったことが、何度かあったのではないか。

そこには私自身の「男なんだから、女から迫られたらヤるっしょ」というあさはかな思い込みがあった。あれは相手の男性に対して失礼な行いだった。

あの奔放時代の自分は罰されてしかるべきだったかもしれない。

途中までして相手から「付き合ってるわけじゃないしやっぱりやめよう」と言われて中断、そのまましなかったこともある。

今思うと、とても誠実な男性だった。にもかかわらず私はそのとき「こいつムカつく!いいじゃん減るもんじゃないし」と怒りを覚えていた。愚かだった。自分の「女としての魅力」を否定されたような気にもなった。勘違いの三重奏だ。

一方で、深夜に男友達の一人暮らしの自宅を訪れて酒を飲んだことも数え切れないほどある。一度も性的な関係を持つことなく、ただただ語り明かした。

彼らに対しては「とりあえずヤッてみよう」と誘いを持ちかけることはしなかった。

会話の中で彼らの人間性をある程度知り、そんな誘いを持ちかけるのがいかに失礼なことか、自然に理解したからだったと思う(だからといって、初対面の他人に対してならその失礼な行為をぶちかましていいということはない)。

そうした自分自身の経験を踏まえてあらためて、無防備な人間に落ち度があるわけではないということを言いたい。

無防備な人間がいるとして、そこに襲い掛かる者が悪いのであって、被害が生じたらそれは加害者の罪だ。

もっと極端なことを言えば、公道を全裸あるいは下着姿で歩いてくる女性がいるとして、では彼女はめちゃくちゃに犯されても仕方がないのかといえばNOだ。

彼女は公然わいせつ罪で逮捕されるかもしれないが、彼女を襲う者がいたとしたら、それはその者の罪だ。「無防備な女がいても襲ってはなりません」。そして「無防備な男がいても襲ってはなりません」。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス