常に犯罪者と立ち向かう警察官は、時に暴力でもって相手を制したり権利を笠に着たりします。そしてそんな行為が目立つことで市民から逆に反感を買われたりすることも決して少なくありません。

「警察は横暴」「警察は信用できない」そんな警察のマイナスイメージはきっとどこの国でもあることでしょう。ところがこのほどアメリカで、市民が「これぞ警察官だ」と称賛する素敵な出来事がありました。

米ノースカロライナ州のある学校から通報が

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「自閉症の少年が学校から逃げ出した」という連絡を学校側から受けた警察。警官のティム・パーディーさんは現場に急ぎました。というのも「もしかしたら自殺するかも知れない」ということだったからです。

深刻なうつ病を抱えていた少年

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学校での彼は暴力的な態度を取ったり自殺をほのめかしたりと繊細ゆえに、いつ爆発してしまうかもわからないといった存在のようでした。パーディー警官は少年を発見した時も、無理やり学校に連れ戻すということはせず、まず、少年のことを理解することから始めたのです。

一緒に地面に座って話かけるパーディー警官

出典 https://www.facebook.com

何度も自殺願望がある少年への対応は特に気を配らなければいけません。パーディー警官は地面に座り込んでうなだれている少年の傍に一緒に座り、優しく話しかけました。そうするうちに少年の心に警官への信頼が生まれ、やがて笑顔を見せるまでになったのです。

後にメクレンバーグ警察のFacebookに「逮捕したり法を強要したりするだけが警察の仕事ではない」というメッセージが綴られ、その人情的な言葉に多くの60万以上もの「いいね」が寄せられました。

「小さなことが大きな変化に繋がる」

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これは自閉症の人たちと接する上でとても大切な教訓ではないでしょうか。パーディー警官も同じようにコメントしています。「あの時の自分に必要なのは、少年への理解だった。ちょっとした行為が誰かの人生の大きな変化に繋がることがあるからね。」人としての思いやりがあるからこそできること。

筆者の住むイギリスでも、警察官が横暴だったりするとすぐに「Don't waste of police time!」(警察の時間を無駄にするな)という台詞をよく聞きます。「警察にとっての貴重な時間」というのは何なのでしょうか。

重大犯罪への捜査も犯人逮捕ももちろん貴重な時間でしょう。でもパーディー警官が言うように、些細なことであっても大切で決して見逃してはいけないことがあるのです。そこには警察の権力も法も存在しません。人対人の繋がりのみがあるのです。

「向き合う」優しさを持つ人になろう

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度々自閉症への理解を求める記事を書かせて頂いている筆者。身近に自閉症の子供がいるだけに他人事ではなく、社会に理解を求めるように訴え続けています。はっきりと目には見えなくても、自閉症の子供たちは社会という大きな壁にぶつかり、傷つき、対処の仕方がわからず困惑の日々を過ごしているのです。

自閉症を持つ子供の両親だけでなく、社会の規律を支える立場の警察官もこのように自閉症の子供たちへ理解しようとする態度を見せ、同じ目線で会話をしたということは、きっとこの少年の心を打ったことでしょう。

暴力や権力は全てのことを解決することにはならないという大切な教訓を、パーディー警官自身が私たちに身をもって教えてくれたことは大きいですね。今後、少年がこうした理解ある大人に囲まれて、自閉症と上手く向き合って生きて行くことを願ってやみません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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