LGBTQといった性問題を抱えている人への理解が、ほんの少しずつではありますが深まってきている社会。レストランやカフェなどの公共の場では男女共同のトイレを設置しているところもあり、LGBTQの人々にとっては不愉快な思いをせずにトイレを利用できるということで、世間的にも好評のようです。

ところが、学校となるとなかなか簡単にはいかないのです。最近、筆者の住むイギリスではこうした性への関心から学校を「ジェンダーレストイレ」にするべきだとの声があるのですが、一方で「男子が使う同じトイレを使わせるのは娘には可哀相だ」などという否定的な声もあがっているのです。

デリケートで微妙な問題が…

Licensed by gettyimages ®

ジェンダーレストイレはこれからの社会、必要不可欠になってくるかも知れません。でも学校施設となると制服ならいざ知らず、更衣室やトイレなどを男女共有するというのは
ある程度の年齢に達した子供たちには不適切という親の声も。

「11歳以下なら多分子供たち自身も気にしないかも知れない。でも思春期になって男女一緒のトイレはまずいのではないか。」と多くの親がジェンダーレストイレに変わることに否定的。

「子供が不愉快だと言っている」

Licensed by gettyimages ®

既にジェンダーレスのトイレを設置している学校もありますが、やはり学校側への苦情も避けられない状態なんだそう。

ジェンダーレスのトイレを別に設置するというアイデアが一番いいように思うのですが、人に言えない悩みを抱えている子供たちがそのトイレを使うと周りに知られてしまうということで、プライバシーや権利を侵害しないためにも男女別々のトイレをなくしてジェンダーレスのトイレにするという動きがあるようなのです。

生徒全員の権利やプライバシーを考慮したいが…

ジェンダーレストイレにすることは、性問題を抱えている子供には快適かもしれないがそうではない子供にとっては不愉快でしかならないのでは、と指摘する親が多いことも判明。そうすると性問題を抱えた子供の親と真っ向から対立するという状況にもなり得るのです。

また、学校側もそんな賛否両論の板挟みにもなるという問題も生じていて、全ての生徒が問題なく更衣室やトイレを利用できるようになるには時間がかかりそうです。

一方でアメリカのウエストシアトル高校ではこんな話が。ある一人の生徒が学校の男女に別れたトイレを使うことに不愉快さを感じていたため、その生徒はトイレに行きたい時には学校から一旦出て、道路を超えたところにあるコミュニティセンターのトイレを使用していたのです。そこでは誰もその生徒に好奇の眼差しを投げかけることはなかったそう。

これを知った他の生徒たちが次々と学校内に「ジェンダーレストイレ」を希望。そして先月、この学校にジェンダーレストイレが設置されました。未使用の女性用トイレの一部を改造し、サインは「All-gender restroom(全ての人用) 」としたジェンダーレストイレを追加したのです。

オークランドの小学校ではジェンダーレストイレが設置

Licensed by gettyimages ®

「全ての子供が安全に感じる学校であるために」と、このほどニュージーランドのオークランドにある、とある小学校でもジェンダーレストイレが設置されることになりました。

この小学校に通う6歳の生徒が性問題を抱えているということで、まだ幼い子供でもあることから「みんなとは違う」という違和感を感じて成長してほしくないというケアの下、今回のジェンダーレストイレの設置となったのです。

学校としては、やはりどの生徒にも不快感を感じてほしくはないと思うのは当たり前でしょう。そして親自身も、現代社会の性問題への理解を深めたいと思いつつも、学校ではやはり自分の子供が関わってくるために、自分の子供が不快に思うような学校生活を送って欲しくはないと思うのが正直なところ。

性問題はいつもデリケートなために線引きが非常に難しいのではないでしょうか。筆者の息子が通う小学校は、低学年の子供は男女兼用のトイレです。でもこれはジェンダーレスを意識してというよりも、性に対する理解があまりない年齢の子供たちゆえの処置だろうと推測しています。

オークランドのその小学校は、6歳というまだ幼い年齢の子供の気持ちを実に配慮した学校だと筆者は思います。ジェンダーレストイレを設置することで、自分の性について困惑しているであろう生徒に「ここは、君が大丈夫と思ってもいい場所なんだよ」と伝えているのです。

イギリスではまだもう少し時間がかかりそうなジェンダーレストイレ問題。でも最近ではイギリスの複数の学校で「男子生徒もスカート着用可」という画期的な規則を設けるところも出てきました。日本もアメリカやニュージランドのように、学校でもジェンダーレストイレが設置される日がそう遠くないかも知れません。

大切なのは子供の権利と子供の気持ちを守ること。学校という団体生活の中においては全ての子供の権利やプライバシーを尊重した教育をしなければいけません。性問題を抱えている子供が苛めにあったりすることにも教師は注意深く見守らなければいけないでしょう。

周りに話しにくいことだからこそ、大人が考慮して、施設の面からでも改善されれば自然と子供も不快感が消えるのではと思います。時に板挟みになる学校や親ですが、子供の気持ちを第一に、子供がスムーズに学校生活を過ごせるような社会になればいいですね。

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス