記事提供:カラパイア

港湾都市ヘラクレイオンは1,000年間海の底にあった。今、そこにある数多くの神殿には魚が暮らし、ヒエログリフには藻が茂っている。

神々やファラオたちの時間は停止し、砂に埋もれながら静かに世界から消えつつある。

これを2000年に発見したのはフランス人考古学者のフランク・ゴジョ、1933年にイギリス人パイロットによって発見されたカノープスとともに海底遺跡の調査に明け暮れた人物だ。

今月5月19日から大英博物館で始まる海底都市展では、かつて考古学最大とも言われた謎がお披露目される。

ヘラクレイオンあるいはトロニスと呼ばれる都市はギリシャ神話の中で今日に伝えられてきた、かつては伝説の中の存在だった。

出典 YouTube

ヘラクレイオンはなぜ水没したのか?

紀元前700年頃に作られたと考えられているヘラクレイオンとカノープスは、古代エジプトにおいてギリシャや地中海地域との貿易拠点として機能した。

しかし、両都市はやがて滅びる運命にあった。海面の上昇、地盤沈下、地震とそれによる津波といった複数の要因が重なり、最大10m近い深さまで水没してしまったのだ。

古代の神々

水没した都市からは宗教的な偶像も発掘されている。その多くはプトレマイオス期の人間の姿をした神々の像で、エジプト人が動物に与えたものと同じような特徴を有している。

ギリシャでは動物の姿を象った神々や動物への崇拝が行われていなかった。

しかしアレクサンドロス大王の死後にその部下プトレマイオスが創始し、エジプトを支配したプトレマイオス朝では、古代エジプトの牛の姿をした神アピスに人間の姿をしたオシリスを統合した像が作られた。

それがギリシャの主要な神々の特徴と働きを組み合わせたセラピスである。セラピス像の巨大な頭部は、ギリシャ文明とエジプト文明の境界を曖昧にする他の発掘品と一緒に展示されている。

牛の神アピスのセラピス像。

こうした様式の変更は虚栄心によるものなどではなく、政治的な意図があった。

プトレマイオス朝では、エジプトの統治に地元の神官と民衆の支持を得ることが不可欠であることを理解していたのだ。

エジプトの信仰や儀式、図像などが取り入れられたのはそのためである。

今回、最大の展示品は皮肉にも洪水の神ハピだ。全長4.8m、重量5.4tにもなる花崗岩の石像で、ヘラクレイオンが水没するずっと以前の紀元前6世紀頃に作られた。

洪水の神ハピ。

またゴジョの調査チームが海底に残してきたものも注目に値する。そこでは69隻の船が発見されており、これまで発見されたものでは最大のものだという。

ヘラクレイオンとカノープスを結ぶ運河で使用されていた可能性が高い。この運河には、冥界の神オシリスの祝祭においてエジプトイチジクで作られた聖なる船が行き交っていたという。

これほどの発見がされながらも、これまで発掘されたものは全体の5%ほどでしかない。今後もさらなる発見が期待されるところだ。

全長4.8m、重量5.4tにもなるハピ神の巨像。

ヘラクレイオンの石碑。ネクタネボ1世(在位:紀元前378~362年)が貿易や課税について定めたもの。

石碑の高さは1.8mほど。

紀元前4~2世紀のものと見られる花崗岩の庭園用タンク。

カノープスの海底からはアピス神への生け贄に捧げられた牛の遺体が発見されている。

宝石の類も綺麗な状態で見つかっている。写真は金、ラピスラズリ、ガラスペーストで作られた胸飾り。シェションク2世の王墓から発掘された。

中心に象られている船は、ゴジョが発見した69隻の船とは違う種類のものだ。

出典:atlasobscura
出典:dailymail
出典:cnn

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