【1】伝説的な仰天裁判 そのあらまし

「マクドナルドで買ったコーヒーをこぼして、大火傷した。これは、店側が火傷について注意・警告しなかったのが原因だ。賠償金を払え」

こんな裁判があったという話を、聞いたことがありますか?。いわゆる「マクドナルド・ホットコーヒー事件」です。1992年、アメリカでの話です。ドキュメンタリー映画の題材にもなりました。日本では、NHK-BSで放送された事があります。

事件の概要を説明すると、以下の様になります

●1992年の冬の出来事。アメリカ・ニューメキシコ州で、「ステラ・リーベック」という女性が食事を取ろうと思い、孫と一緒に車でマクドナルドに行った。

●彼女は、ドライブスルーでホットコーヒーを買った。その後、ショップの駐車場でコーヒーを飲もうとしたが、誤って大量のコーヒーを足にこぼしてしまった。

●ホットコーヒーなので、当然熱い。ステラ女史は熱さに耐えかねて大騒ぎした。その様子を見た孫は「これは、ただの火傷ではない」と判断し、近くの病院へ行った。

●病院にて、ステラ女史は「第3度の火傷」であると診断された。
(火傷の症状は1~3度にレベル分けされているが、3は最も傷が深いレベル。大半は手術が必要な重傷。傷跡も残る事が多い)

筆者は、「第3度の火傷」がどれくらいのものか、調べてみました。画像が沢山ヒットしましたが、「見なきゃよかった…」と後悔しました。かなり酷い症状である事が、画像を見ただけで分かります。
安易に見ることをお勧めしません。特に「痛々しい画像が苦手な方」は、検索しない方がいいです。

【2】裁判では、何を訴えたか

ステラ女史は、幸運な事に「その火傷で命を落とす」という状況にはなりませんでした。

彼女は、「火傷の直接的な原因は、自分でコーヒーをこぼした事」であると認識していました。自分が悪いと思っていた様子です。
しかし、第3度の火傷は重症で、治療費もかかります。アメリカの治療費は、かなりの高額になり易い事で有名。ステラ女史は、約100万円の治療費を請求されました。

悩んだステラ女史は、マクドナルド側にその事を伝えました。すると、向こうから返事が。その内容は「約8万円を支払う」というものでした。

失望したステラ女史は、弁護士に相談しました。弁護士との話し合いの中、以下の考えに辿り着きます。

「火傷の原因であるコーヒーの熱さは、かなり異常だった」
「販売店は、コーヒーが熱すぎて負傷する可能性があるにも関わらず、それを防止・是正する義務を果たさなかった」
「今回の火傷で発生した治療費の一部は、販売店が補償するべきだ」

ステラ女史は、マクドナルドを相手にした訴訟を起こす事にしました。

【3】裁判の結果

裁判の結果は、マクドナルドの敗訴。店側に80%・ステラ女史に20%の過失があったと判断されました。店側は、約1600万円の賠償を払う様に命令されます。

判決の決め手は、「同様の苦情が、過去に数百件発生していた」「熱さに関する注意が、分かりにくかった」「提供されたものと同じ温度で行った、再現実験の結果が酷かった」「ステラ女史の火傷が酷く、公開された傷跡写真が痛々しいものだった」等と思われます。

しかし、賠償額1600万円では、この裁判は終わりません。

アメリカの司法制度には懲罰的損害賠償」という制度があります。これは、日本には無いものです。この制度がある為に、アメリカの裁判では巨額の損害賠償が発生するのです。

この「ホットコーヒー訴訟」の懲罰的損害賠償額は、約3億円。

ただ、最終的に和解が成立し、マクドナルドが約5000万円の和解金を支払う事で決着がついた模様です。

【4】彼女の名は、後世に残った…?

このニュースは、アメリカだけでなく、全世界に広まりました。その結果、ステラ女史は「コーヒーで億単位の賠償を取った人」として認識されてしまいます。

ステラ女史の行動は、アメリカの司法に沿ったものであり、突飛な行動ではありません。又、彼女は「同じ事をこれ以上起こさないで欲しい」との思いがあり、「賠償金を大量にブン取って楽しよう」と思っていなかったでしょう。
(そうでないと、和解の道を選ばないでしょうから)

また、先に出た「懲罰的損害賠償額」の計算は、「その店・若しくはチェーン店が、どれくらいの規模で商売していたか」という事が算定基準になります。「売り上げの●日分を賠償金にしなさい」という計算方法で、賠償額を出します。
マクドナルド程の巨大チェーン店であれば、売り上げ金は相当なものでしょう。賠償額も、自ずと巨大になります。

しかし、この出来事はあまりにもインパクトが強く、アメリカ司法の特殊性をアピールする形になりました。結果、トンデモ裁判に送られる「ステラ賞」というものが出来た…なんて話にもなりました。

この「ステラ賞」は、都市伝説の域を出るものではありませんでした。が、コラムニストの「ランディ・カッシンガム」氏が、この話にちなんで「本当のステラ賞」というものを作ってしまいました。

ランディ氏は、元々アメリカの司法に疑問を持っていた様子で、その思いが賞の創設に繋がったと思われます。

【5】まとめ

マクドナルド裁判といえば、以下の記事を見つけました。

国が違えば、法律や思想も違います。その為か、海外の裁判事例は「日本では考えられない方向」に行くことが多い様に見受けられます。

日本にいれば、こういった出来事は「単なるニュース」かも知れませんが、海外と取引がある人や、海外旅行に頻繁に行く人は、他人事で済まされないかも知れません。専門家の方の意見を聞いたり、保険に入ったり等の対策が必要でしょう。

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