記事提供:カラパイア

アメリカ、カリフォルニア州に触るものみな傷つけていた野良犬がいた。ジャーマンシェパードが入った雑種のレックスは、他の犬とケンカをしていたとか、猫をかみ殺していたとして保護施設に通報が入り、施設で保護された犬だった。

そんなレックスを引き取ったのが現在の飼い主のエド・ガーノンさんだ。ガーノンさんは当時のレックスについてこう語っている。「彼は野良犬として生き延びなければならなかった。そのためには狩りもしなければいけなかったんでしょう」

ガーノンさんに引き取られたレックスは、とても穏やかになった。暖かい愛情に包まれ、何不自由ない幸せな生活を手に入れたのである。その1ヵ月後、今度はレックスが「恩送り」をすることとなる。

レックスは傷ついて動けなくなっていた小さなハチドリをどうにか助けようとしたのだ。自分が助けてもらったように。

出典 YouTube

レックスはこの日、いつものようにガーノンさんと一緒にお散歩を楽しんでいた。

ふとレックスは何かに気づき立ち止まった。レックスの視線の先にあったのはアリが体中に群がっている小さなハチドリだった。

ガーノンさんはそれを見て、「かわいそうだがもう死んでいるだろう」と思い再びレックスを促し歩き出そうとしたが、レックスは頑としてその場から動こうとしない。

心配そうにハチドリを見つめその場を動こうとしないレックス。そこでガーノンさんがその鳥に近づいてよく見てみると、その鳥はかろうじて生きていたのだ。

全身をアリに覆われ、羽毛もない状態だったが、小さな体ではかない命を必死に繋ぎとめようとしていた。

1ヶ月前までは人々から危険な犬だと言われていたレックスがこれほどまでに気にかけ、心配そうな表情を浮かべている。そんなレックスを見たガーノンさんは全力でこの鳥を救おうと試みた。

ガーノンさんはこのハチドリをすぐさま獣医のもとに連れていき、起きている間は毎日15分おきに特別に処方された薬を与え続けた。

「まさか自分がこんなことをするなんて一生考えられなかったことです。すべてレックスのおかげです。世界中が殺したがっていたあのレックスがハチドリを救いたいと私に訴えてたんですから。

だから、私は最後まで諦めずに頑張ってこの鳥を助けようと思ったんです」

ガーノンさんは数週間つきっきりでハチドリを看病した。その甲斐あって、ハチドリは元気を取り戻し、すぐに飛べるまで回復した。

「まるで家の中にティンカーベルがいるみたいだ」と、ガーノンさんはハマーと名づけたこのハチドリをとても可愛がっている。

ハマーは、レックスが自分を救ってくれたことを理解しているのか、レックスに絶大な信頼を寄せている。隙を見てはレックスにキスまでしようとしているのだ。ハマーはレックスにベタ惚れで、常にレックスの側にいて離れようとしない。

「レックスがどこにいてもハマーは彼にくっついて来ます。レックスが餌を食べている間は、彼の飲み水用のボールで水浴びをしながら食べ終わるのを待っています。

そしてレックスが食べ終わると、一緒に遊ぼうと誘うんですよ。とても不思議な光景ですが、同時に感動的でもあります」

今では完全に犬の王子様レックスしか見えていないハマーだが、彼女が成長するにつれ、自分に相応しいパートナーを見つけてくれることをガーノンさんは願っているという。

「もう巣立ってもいい頃なので、いつも窓やドアを開けっぱなしにしています」

ただ、その日がくるまではハマーはレックスの周りを飛び回って喜びと感謝の気持ちを全身で表現し続けることだろう。

「私は犬を救いました。その犬が鳥を救いました。そしてその鳥は、ある意味で私たち全員を救ってくれています。これは奇跡です」ガーノンさんは感慨深くそう語ったという。

注:ハチドリは野生動物である。今回は非常事態だったようだが野生動物は原則として個人が飼育できないことになっている。もし自分で育てる場合には役所に届けを出そう。放鳥を前提として30日までなら飼育が許可される場合もあるそうだ。

「恩送り」とは誰かから受けた恩を、直接その人に返すのではなく、別の人に送るという意味だ。そしてその送られた人がさらに別の人に渡すし、そうして「恩」が世の中をぐるぐる回ってゆくことで、社会に善の連鎖が起きるのだ。

ガーノンさんに助けてもらったレックスは、もちろんそんなことを意識していたわけではないだろう。だが、人のやさしさに触れたレックスは、確実にそのやさしさを別の生き物に向けたのだ。

誰かに救われた誰かが他の誰かを救う。他者に向けられるやさしさはこうして繋がっていくのだ。

出典:losangeles
出典:thedodo
出典:dailymail

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