記事提供:サイゾーウーマン

六反りょう先生(右)と司会の小林美沙希さん(左)。

女王様とM男の夫婦生活を赤裸々に描いた実録漫画『亭主元気でマゾがいい!』(講談社)をご存じでしょうか。

現在、WEBコミック「モアイ」で連載中の、「SMの神髄がわかる」と話題の良書です。作者の六反りょう先生は、元SMの女王様。M男の旦那様と結婚し、夫婦円満、楽しい結婚生活を送っています。

なんでもSMとは、ただ相手を痛めつけるのでも、相手の嫌がることをするのでもないとのこと。

相手の望むファンタジーを叶えてあげることがSMなのだそうです。パートナーに攻められたいのか、はたまた攻めたいのか。

人によって性癖は異なりますが、相手を思いやり、信頼しあってこそSMの関係は成り立つと、六反先生は本書を通して、自身のSM観を伝えています。

そんな『亭主元気でマゾがいい!』ですが、先日、単行本第1巻の発売を記念して、マンガサロン『トリガー』にて、イベント「元女王様が答える!パートナーのしつけ方(ワークショップもあるよ)」が開催されました。

女性限定のこのイベント、チケット販売開始5時間で完売という人気ぶり。今回はこの濃ゆそうなイベントに潜入取材をしてきました。さて、SM=特殊プレイと思っている人も多いでしょうが、「夫婦円満」には、どんな関係があるのでしょうか?

■Sだってそれ相応の奉仕をしている

イベントでは、読者のSMにまつわる恋愛や性に関する悩みに、六反先生が答えてくれるコーナーが。

例えば「自分はSではないが、付き合っている男性がドM。攻めるばかりではなく攻めてほしいのに、してくれないので満足できない」というお悩みがありました。そんな時はどうすればいいのか…?

素人にはとても思いつかないような、SMを知り尽くした六反先生ならではの答えがこちら。

「例えばスパンキングをしてほしいとしますよね。でも黙っていてもM男はやってくれません。こういう時は、命令口調で『しなさいよ』と言うんです。そうすると、『命令されてこんなことしてる俺』っていうのにM男は興奮する場合もあるようです。

これ、自分の夫が言っていたので、少なくとも1人のM男の心を掴んだ方法です(笑)」

また、「なんでも言うことを聞く奴隷がほしいです」というとんでもなくワガママな質問にも、六反先生は「確かにM男は『奥さんは女王様なんですよ。かっこいいでしょ!』と言ってくれたり、褒めてくれるのでテンションが上がります。

彼のためにかっこよくしていようとか、尊敬される人間でいようとも思えますね。でもM男は本当にワガママなんです。

従いたいのは特定のことだけ。うちの夫の場合だと、家事を命令されてやりたいらしいんですが、自分でやった方が早いので、実は面倒くさいんですよ。命令されたいから命令してあげるけれど、私もその分の労力を払っている。

なんでも言うことを聞いてくれる奴隷を作るということは、それ相応の奉仕をしてあげているということでもあるんです」

と、実際にM男と暮らしているからこそわかる奥深い回答をしていました。「一方的になにかを得るだけの関係なんて、この世にはない」「ギブ&テイクのバランスはイーブンじゃないと成り立たない」。

そういう、基本的な人間関係の考え方がSMを通して見えました。

トークショー後には、緊縛ワークショップも。赤い縄で縛られた女子たちが集団で並ぶというホットな風景。

ワークショップで習った「菱形縛り」を自宅のテディベアでおさらい。縛ってる最中にもベアたちにムラムラと愛情が…!これ、生身の人にやったらとんでもなく胸打ち震えそうです。和久井に縛られたい方募集!

■性癖をさらけ合える夫婦のあり方

イベント終了後、六反先生に、「SMの要素を用いて、夫婦関係を円満に保つ秘訣」を詳しく聞きました。

「道具を購入することは難しい」という人も多いかと思いますが、六反先生いわく「よく私がSM初心者の女王様に言うのが、『SMは道具を使わなくてもできる』ということです。

人間関係を強化するためにSMという上下関係を使うんです。奴隷と女王様というロールプレイングなので、基本は道具はいりません」とのこと。

では実際に、SMを夫婦生活に応用するにはどうしたらいいかという点には、

「通常、自分や相手を奥様、主婦、夫という実際の役割を当てはめて結婚生活を営むと思います。それを一度壊して、『僕の女王様』『私の奴隷』だと思いこんで会話してみるんです。

そういうSMプレイをすることで、今まで自分が体験したことのない立場をイメージすることができます。力のないか弱い状態を男性が体験して、女性に全てを投げ出してみる。一方で女性も、全力で男性を受け止めてみる。

それって結構愛が試されるし、楽しいんですよ。それは確かに円満の秘訣かもしれないですね」。

よく結婚した女性が「△△さんの奥さん」「××ちゃんのお母さん」という肩書きでしか呼ばれなくなり、不満を感じるというのはよく聞く話。

主婦に限らず、「××さんの妹ちゃん」「△△の営業さん」など、私たちは肩書きで呼ばれることが多く、そうやっているうちに、自分の“立場”でしかものを見られなくなってしまうこともあります。

しかしSMというプレイを用いることで、新しい視点を持つことができるようになるのかもしれません。

また、女王様とM男は、自分の“性癖”をさらけ出して信頼し合っている間柄ともいえます。六反先生が、夫婦間で普段人に見せない部分を見せ合うという、究極の関係性を築けていることに、羨ましさを感じている読者も多いはずです。

「『結婚は生活だから、性癖とか持ち込まない』という意見も聞くんですが、結婚への夢が1つ消えますよね。私はそういうのは耐えられないから無理。

相手に自分をさらけ出せないと、外に興味が行っちゃう気がします。SMは、『相手が自分をさらけ出してくれるから、自分もさらけ出すことができる』という関係なんです」

これも、夫婦やカップルにとっての理想のカタチの1つではないでしょうか。マンネリ化してしまったカップルや、パートナーの気遣いのなさに悩む方は、一度SMプレイをしてみてはいかがでしょうか。なにかのブレイクスルーになるかもしれません。

和久井香菜子(わくい・かなこ)

少女漫画マイスター、文筆家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。

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