インドにおける児童婚

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インドの児童婚における割合は約70%と高く、まだ小学校に行くような年齢の子供でさえも親の身勝手で「伝統」「風習」「しきたり」という言葉で無理やり結婚させられます。

おもちゃで遊んだり他の子供たちと走り回って楽しむ子供時代を過ごすことも、これからの人生の夢や希望も持つことなく、子供たちは児童婚の犠牲者としていわば「社会の生贄」にされているのです。

違法であるはずの児童婚は田舎ではまだ行われている

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インドでは児童婚は違法となったにも関わらず、農村地帯などの田舎ではまだまだ古き悪しき伝統が残っています。インドだけで全世界の児童婚の3分の1を占めているというと、やはり相当な子供が犠牲になっていると考えられます。

生後間もなくして勝手に結婚させられた赤ちゃんもいます。村の長老の一存で子供の人生が決められてしまう理不尽な社会。少し成長して結婚を拒否したりすると村八分にあったり、家族からも嫌がらせをされたり脅されたり、果ては長老に罰金の支払いまで命じられたりとどこまでも不本意で残酷。

そんな子供たちを守るために闘う一人の女性

今、インドでは幼い頃に決められた児童婚を拒否する女性が徐々に増えてきているといいます。とはいえ、風習に逆らうことは親の意向にも逆らうこと。上下関係の厳しいインド社会ではなかなか子供の意志を貫くことはできません。

そんな弱者の立場である子供たちのために闘う一人の女性がいます。クリティ・バルティさん(写真中央)、29歳。彼女はインド初の児童婚廃止活動家としてこれまで900件もの児童婚を阻止してきました。

2011年に「Saarthi Trus」を立ち上げ児童婚を阻止

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バルディさん自身も過酷な幼少時代を送った一人。バルディさんの母親はバルディさんを妊娠中に夫に去られ、母親は親戚中からバルティさんを出産することに反対されました。それでも生まれて来たバルディさんは毒を盛られたりと、不運な境遇と大人の身勝手により、生まれて来たことに喜びを感じられる子供時代を過ごすことはできなかったのです。

自分が辛い子供時代を送っているからこそ、一人でも多くの子供たちを救いたい。そう思ったバルディさん。今日の彼女の強い精神があるのは、子供の頃に耐えた苦難が人生の足かせになっているからでしょう。

児童婚を阻止する活動家として活躍して以来、50件以上もの脅迫もあったと言います。児童婚を行う家族にとってはインドの古き伝統に従っているだけ。それを阻止するバルディさんは迷惑以外のなにものでもないのです。

生後11か月で9歳の男児と結婚させられた女性

サンタデビ・メグワルさん(20歳)は、わずか11か月で近隣の村に住む9歳の男児と児童婚をさせられました。自分が既に誰かと結婚させられていたと知ったのは16歳の時。初めて見た「夫」はアルコール依存症でどうしようもない男だったのです。

大学に行って勉強を続けたいというメグワルさんの気持ちとは逆に、男は主婦になるように強要。更に、大学へ行く途中もメグワルさんを尾行するなど常軌を脱した行動だったために、メグワルさんの両親もついに2人の結婚に反対するように。

ところが2人の結婚を決めた村の長老は激怒。法外な罰金を言い渡しメグワルさんの家族を村から追放したのです。そして去年、「Saarthi Trus」の代表であるバルディさんに助けを求めました。

バルディさんの児童婚廃止の決意は固い

バルディさんは、メディアのインタビューで次のように語っています。「勇気とは恐れないことではないのです。勇気とは不安や恐怖によってあなたの道を閉ざされないこと。」どんなに怖くても、その恐怖に虐げられないことを勇気というのだ、と。

児童婚を拒否すれば、必ずといっていいほど酷い仕打ちを受けるという不公平な社会が出来上がっています。それでも女性や子供の権利を主張し守っていくために、どんなに周りから脅迫されても、それに屈しない鋼の精神を持ち日々活動を行うバルディさん。

これまで児童婚を廃止し、あやうく犠牲になるところだった子供たちの精神は、自身の精神と深く繋がり合っているとバルディさんは言います。辛い経験をしたからこそわかる子供たちの辛さ。自分の親にさえ声に出して言えない恐怖や不安。そんな気持ちを抱えた子供たちにバルディさんはいつも手を差し伸べ、受け止めています。

児童婚から逃れた子供たちは施設で暮らしている

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親が決めた児童婚の犠牲になる子供たちを、親元へ返すわけにはいきません。「Saarthi Trus」はそんな子供たちを施設へ連れて行き保護しています。もちろんこの後は子供の家族と裁判沙汰に。それでも彼女は負けずに闘い続けるのです。

「子供を守る」というのは本来は親の役目。でも、その役目を悪用する親たちと闘うバルディさん。もっとも、親はそれを悪用どころかインドの伝統で良きことと思っているために、尚更、裁判も複雑に。でも、子供たちにとって何が一番幸せで何が一番大切かを考えれば一目瞭然といえるでしょう。

子供たちの将来のために立ち向かい続ける

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「大学に行きたい」「やりたいことがある」「本当に好きな人と結婚したい」子供たちのそんな将来の夢を叶えてあげるためにも、古き伝統は見直す時代が来ているということは否めません。バルディさんは、子供たちが将来強要させられずに人生を歩んでいくことができる手助けをしているのです。

児童婚ほど、子供の権利を踏みにじるものはありません。これからのインドはこの古き風習から脱した社会を築き上げていく必要があると言えるでしょう。その実現は果たして何十年後になってしまうのか…。誰にもわからないことではありますが、バルディさんはその日を目指して今日も児童婚廃止に全身全霊で立ち向かっています。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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